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315話 大事の前の大事 3

今回はだいぶんに悩みました。賛否有ると思いますが人間避けては通れません。

 「・・・・1つ聞きたいのだが?」


 マコトは神妙な顔で3人の妻に問う。


 「「「何?」」」


 「久し振りに会ったら何で3人ともお腹が大きいんだ?妊娠2~3か月じゃあ無いだろう。何で自分が知らないんだ!」


 マコトはこの数年、富国強兵政策の為に確かに家を空けることは多かった。しかし、妻達を(ないがし)ろにしているつもりはなかったが流石に妊娠にここまで気付かなかったこのショックは大きかった。


 「マコトは仕事が忙しそうで、この事を知らせたら気が散るでしょう?」


 冒険者時代からの相棒であるアリシアが『何言ってんの?』みたいな顔で返事をして他の2人も頷いている。


 「それで、何で(かえで)(さくら)も居るんだ!」


 3人揃った妻達の世話をする為か数人居る普通の侍女の他に武装侍女も居たのだがその中に日本からの転移者の長門楓(ながとかえで)神宮寺桜(かみのみやじさくら)の2人も居たのだ。


 流石にジークハルトの姿はなかった。


 「私達はアリシアさんの教育も終わって公国での仕事を探していたのだけれど軍で地方警備での軍の仕事をしていたらアリシアさんの警護のできる信頼出来る人材を探してたので立候補したの!」


 「私も(かえで)さんのような攻撃系の技能(スキル)は得られませんでしたが、『治療(リカバリー)』を授かり、病院でお手伝いをしていましたら同じ話を侍女隊の方から聞きまして名乗りを上げました」


 公妃の妊娠という重大事を周囲に、更に公王にも秘密裏にするために裏で動いた者達がおり、公王の関係者ということでこの2人にも声がかかったようだ。

 

 「同じ日本人なら分かるだろう?妻に妊娠をずっと秘密にされていた旦那の気持ち!」


 2人にも思いをぶつける。


 「え~っと、流石に不味いかな?って思ったんだけど、アリシア先生のお願いだったし」


 「同じ女性からの強いお願いでしたし、何より奥さんが3人って日本じゃ考えられませんので異世界(こちら)の人の意見を参考にしました」


 「グハァ!!」


 (かえで)の意見、そして(さくら)の正論にマコトはダメージを受ける。そもそも2人は元は学生だったのだ。夫婦の問題を言うのは理不尽だった。(お嫁さん達も同年代だが)


 「分かった。確かに3人がそこまでになるのに気付けなかった自分に大いに責任が有る。この戦争と魔物の問題が解決したら家族の時間をしっかりと取ることを約束しよう」


 マコトは仕事にかまけて家族への配慮が足りなかったことを謝罪した。妻達は故国へのマコトの対応に納得したのか生活スペースの奥へと入って行った。


 


 公城 公王執務室


 「お呼びでしょうか!」


 ゲシュタルト王国への援軍編成の指示を出した軍事省の職員とは別の職員が執務室を訪れる。


 「魔物の国内での被害発生が増加しているそうだが?情報は入っているのか?」


 国内の治安維持、冒険者の情報を取り扱う軍事省の対応を確認する。


 「はい。各地の冒険者、衛兵、軍の駐屯地からの報告によりますと、魔物の討伐部隊や冒険者の数が足りない地域での魔物の出現頻度が上昇しています。群れや巣の見逃しかとも想定されましたが、上昇率、そして各地での同時期の発生ということで人為的なものとして捜査しております」


 「それで、その成果は」


 「以前に陛下が目にされたことの有る『魔香』それと同成分の薬物の痕跡が一部で確認されております」


 「・・・・・『魔香』か。これまた懐かしい物の名を聞いた」


 魔香はマコトがエルフ至上主義国の故アレフガルド王国との争いのなかでエルフが使用した魔物を誘引する効果の有る薬物だった。


 「同成分というのは、何か違いが有るのか?」


 「以前に確認された物は散布すれば雨には弱いですが、それだけでそこそこの効果を発揮していました。しかし、今回の物は燃焼させることによりその効果範囲を4倍にし、雨や風でも効果は落ちません」


 「それは厄介だな。しかし散布では無くて燃焼ということはその燃えカス周辺に魔物は固まって集まってしまうのではないか?」


 「それが今回は利点なのです。発見された痕跡は交易路や中小集落の直近でしたので魔物が留まるのは好都合なのです」


 「分かった。地方への軍の増員、冒険者へ地方限定の討伐報酬の増額などで人手自体を増やせ、そして専従の捜査班を編成して調査するように」


 「了解しました」


 軍事省の職員が退室するとしばらくして、


 コンコン


 執務室の扉がノックされる。


 「入りなさい」


 「「失礼します」」


 商業省と特務省の職員が2人入って来る。


 「陛下、何故特務と商業省が同時に呼ばれるのでしょうか」


 特務省の職員、記章から見て親衛隊員だ。


 「秘密を守れて、医療に詳しい者を呼んだのだ。それでな・・・・良い胃薬知らんか?」


 「「・・・・・・」」


 流石に執務室に呼ばれるクラスの職員達だ。目線が游いでいるところを見るとマコトにも隠されていた公妃達のことも知っていたのだろう。


 「陛下、即答致しかねますので、ストレス性の胃痛に効果の有る物を調べて参ります」


 「自分もです」


 「分かった。下がってよい」


 職員達が退室する。


 「嗚呼、胃が痛い」






 

 


性別的に微妙な表現は避けたつもりですが、気になる点などありましたら感想の気付きで教えてください。いつもありがとうございます。

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