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313話 大事の前の大事 1

宣言通り連続投稿です。

 『地球』へと帰還するためにマコトが駄目元でスキルで作成した『(ゲート)』が開通して約3年。軍事、経済、人口、治安等々の面で建国当初から各々の数値は倍増した。


 特に軍事力に至っては6倍近い数値を示し、兵数は全軍で20万にも届こうかという数だ。


 隣国で友好国であるゲシュタルト王国が市民も動員して10万を揃えるのがやっとに対して職業軍人で約20万というのはこの異世界でも異常であった。


 国内ではどこに暮らしていても週に1回は軍用航空機の飛行音を耳にし、1月に1回は飛行艦を目にする頻度だ。


 街と街は乗り合いバスが走って繋がり、武装した護衛が魔物対策で同乗しているが、街の外を走っていると乗客は度々に兵士を乗せた軍用車両とすれ違う。


 国民の生活も豊かになり豪商などは車両を自分達も使えないか?と考えるが、まがなりにも車両が走っているのはヤマト公国とゲシュタルト王国のみである。


 その有用性から市民が所有すればたちまちのうちに盗まれて国外に運び出されてしまうことだろう。盗んでも燃料が調達出来ずに直ぐにガス欠になるであろうが。


 そして、国営のバスの走っていない町や村などへは未だに冒険者の護衛する馬車などが走っている。しかし、軍が任務として頻繁に魔物を討伐していることから年々魔物被害は減少している。


 そんな治安が良く、経済的に豊かに成長しつつあるヤマト公国へは移民も増加している。政治的に友好関係にある国とは軍の飛行艦が定期的に往復しており、交易品や資源だけでなく、移民希望者も同乗する。


 国境警備隊は国境の警備だけでなくそうした移民希望者、入国者管理などの業務が増加し、準軍事組織として軍に次ぐ規模を誇り大抵の国との武力衝突ならば軍の支援を受けずとも撃退するほどであった。


 それほどの軍事力を有しながらも公国軍兵士募集の掲示は毎年のように行われており、数は少ないながらも移民からも志願者が採用されるようになっていた。


 地球の某合衆国では無いが、移民が家族が国に受け入れられるために愛国心を示す場としても選択肢に選ばれるようになっていた。


 ヤマト公国 公国空軍基地隣接の入国管理所


 「はい、次の人。乗艦時にもらった書類を出して下さい」


 国境警備隊の入国管理官が入国希望者の書類審査と最終面談を行う。審査は各国の出張所で既に行われているがここでは聞き取りによる申請の矛盾点の検査やマコトも受けたことの有る水晶による判別も行われる。(第5話参照)


 「農家の八男坊で後を継げないから一旗揚げようと領主が告知していたヤマト公国への移住者募集に参加、ね。何か特技はありますか?体力だけが取り柄?今は貴方の母国語で会話していますがヤマト公国公用語は?」


 管理官は余計な考えをさせる間もなく質問していく。


 「駄目?入国は1人で?兄が2人一緒に来てる。そうですか。こちらの水晶に触れて私の質問に答えて下さい」


 最後に水晶による選別を行う。


 「はい。面談は終了です。事前に説明が有ったと思いますが貴方はこれから3ヶ月間に我が国について学んで貰います。その間の生活費は国がみますが罪を犯せば強制送還若しくは奴隷堕ちとなります。ようこそヤマト公国へ」


 

 ヤマト公国 公都ノースガルド 公城 執務室


 「経済省からは先月分の報告ですがほぼ計画書通りで問題ありません」


 「軍事省ですが、ゲシュタルト王国がいよいよ開戦前夜の様相です。王国も様々な外交努力を続けて来ましたが周辺国は蜜に群がる蟻のように不当な要求をしています。群れて気が大きくなっているのでしょう」


 各省庁からの報告をマコトは受けていた。本来は各省庁から1~2人で訪れているが今日はやけに人数が多い。軍事省に至っては5人だった。


 「陛下が公国として独立を果たしたことで各国が王国の軍事力が低下したと誤認している可能性が有ります。元々王国の主力は国軍のみで貴族が軍を持っていませんでした。その穴を冒険者で埋めていたのですが、」


 軍事省の職員は息継ぎをする。


 「有力な軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)が実質居なくなったことで各国が思い違いをし、軍事力が低下したが交易や我が国からの資金援助で王国が太った豚に見えたと軍事省では予想しています。そこで、」


 コンコンコン!!


 報告会中にも関わらずに執務室の扉がノックされる。扉の前には常時武装した親衛隊員が2人立っているので余程の急用でなければこのような事は無い。


 「入りなさい」


 マコトが許可を出す。1人の軍事省の職員がマコトに一礼し、上司の元に行き何やら耳打ちをすると先程まで報告していた軍事省の職員の顔が強張る。


 「何か起こったようだな。携帯通信機も使えないような重大事が。直答を許す、報告しなさい」


 マコトが入室してきた職員に直接報告するように促す。


 「はい」


 職員は室内の人間の視線が集まるのを感じて姿勢を正す。


 「外交省からも同じ情報が入って来ておりますがゲシュタルト王国に対して3か国が同時宣戦布告、衛星でも確認しましたが既に王国国境での戦闘が始まっております」







 

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