3話 異世界転移 3
なんとか2日連続投稿出来ました。拙い作品ですが応援お願いします。
18式サブマシンガンを肩からスリングで下げ、森の散策を開始した。
真っ直ぐに伸びた木もあれば曲がりくねった木もあり、日本で見たことがあるような木もあれば、全く見たことの無い木もあった。
視界は良好とは言えず、少し薄暗い感じであった。鳥の鳴き声も聞こえて来たが、判別の付けようも無く、サブマシンガンで撃ち落とす自信もなかったことから、放置して先を急いだ。
先を急いだと言ったが、明確な目標も無く、ただひたすら真っ直ぐに歩いていた。
マップ機能のおかげで、同じ所をぐるぐるすることも無く真っ直ぐに歩く事が出来た。
すると、マップの未踏破領域に赤色のマーカーが、1つ現れた。自分の位置が青色で示されていることから、これは、敵意を持つ者だと当たりを付けて、18式を構えて慎重に接近した。
赤色のマーカーの存在の見える位置まで近づくと、そこには、子供ほどの背丈の緑色の肌をした二足歩行の生き物が居た。
恐らく、あれはゴブリンだろうと当たりを付け、鑑定を実施すると、フォレストゴブリンと出た。
ウサギのような生き物を捕らえて、生で食べていたが、そちらはホーンラビットと表示された。
恐らく、魔物であろうから先制攻撃で倒しても良いだろうが、ここは未知の異世界である。
実はゴブリンが絶滅危惧種で、殺すのが禁止されている可能性もある。
そこで迂回しようとしたが、ここは森の中、落ち葉や枝も沢山落ちており、音を出してしまった。
すると、ゴブリンはこちらを見つけ餌を奪われると思ったのだろうか?威嚇の唸り声を上げて棍棒を振り上げて襲って来た。
流石に殺られてやる訳にはいかないので、18式を構えると単射でゴブリンの頭を狙って発砲した。
3発撃った弾は全て頭に当たり、ゴブリンは倒れた。うつ伏せに倒れた為、半長靴でひっくり返しあお向けにしたが、ピクリともしなかった。罪悪感が襲って来るかとも思ったが、そういうことはなかった。
前世での体験が他人に対する感情を冷たくさせたのだろうか?この世界では役に立つが、いささか悲しいな。
どこが、討伐証明箇所になるか分からないので、ゴブリンをアイテムボックスに収納した。
棍棒やホーンラビットの死骸は売れそうになかったことから、放置した。
更に、真っ直ぐに進んで行くと、街道らしき場所に出た。馬車の轍らしきものも有ることから、間違いないだろう。
転移(産まれ変わったという感じがしないことから、このような表現になる。)した場所から、約4時間ゴブリンとの戦闘以外はずっと歩きづめだ。この距離は少し遠いんじゃないかな菫さん。
街道の道端で座って休んでいると1台の二頭立ての荷馬車が通りかかった。
「お兄さん、冒険者かね?」
50歳位の男性と娘か孫か分からないが10代半ば位の女の子が御者台に乗っていた。
「ああ、さっきもゴブリンを仕留めたところさ」
「ゴブリンだって!!奴らこんな森の浅い所まで出没するようになったのか。
お兄さん、大した礼は出来ないが、街まで乗っていかんかね?
護衛をしてくれれば、ありがたいが?」
「それは、ありがたい。こちらこそお願いするよ」
「儂は商人のアラドン、こっちは孫娘のソフィアじゃよ」
「自分はマコトだ。冒険者と言ったが、田舎から出て来たばかりだ」
「ゴブリンを倒せる実力が有れば十分じゃよ。宜しく頼む」
アラドンと柊は握手して、柊は馬車の御者台に乗り込んだ。代わりにソフィアが荷台に移った。
荷馬車での道すがらの会話で、この世界の通貨が円であることに柊が驚いたり、冒険者ギルドが存在することを教えてもらったりした。
道中、一応護衛ということでマップを確認していたが、100mほど先の曲がり角で、緑色のマーカーを取り囲む複数の赤色マーカーを見つけた。
「アラドンさん、この先で誰かが襲われているみたいです」
「マコトさん、本当ですか?この先というと見通しが悪くなっていて、良く賊が出るというので有名な場所なんです。先日騎士団に討伐されたということで安心していたのですが」
「残党が居たのかもしれませんね。応援に向かっても良いですか?」
「本当は護衛に専念して欲しいところですが、強くは言えません。おまかせします」
「では、様子見がてら応援に行ってきます。無理なようなら戻ります」
18式のマガジンを新しいものに替えて、柊は襲撃現場へと向かった。
襲撃現場では、装飾の立派な馬車が丸太の直撃を受けて横転しており、護衛の騎士らしき者達が下馬して、薄汚れた男達と戦っていたが、数の差か少なからず騎士が倒れていた。
薄汚れた男達はマップで確認したところ明らかな赤色で、どう見ても善良な市民に見えなかった。
「助太刀いたす!!」
大声で自分の存在をアピールして、騎士に攻撃されないように言葉使いにも気をつけて参戦する。
騎士に当たらないように射線を取りつつ、18式の銃口を男達に向ける。
フルオート射撃をセレクトして、指切りで弾数を調整する。
男達は革鎧で防御している者も居たが、構わず9mmパラベラム弾が襲いかかると5分もしない内に挟撃された形の薄汚れた男達は、皆地面に倒れ伏した。
何人かは敢えて生かしてあり、うめき声を上げている。
男達が無力化されたのを確認したのか、生き残りの騎士達が半分は横転した馬車に向かって、残りがこちらにやって来た。
「救援感謝する。貴殿は?」
「田舎から出て来たばかりの旅人のマコトと申します。商人の荷馬車の護衛中にこの襲撃に気付き、助太刀した次第です」
アラドンに説明した作り話を事実も交えて説明する。
「なるほど、しかし、あの強力な弩は・・・・・・」
「自分の家に古くから伝わる家宝のアーティファクトです。お譲りは出来ません」
馬車に向かっていた、騎士の1人がこちらにやって来て、会話していた騎士に耳打ちする。
「我々の主人、侯爵令嬢ミナサリア様が直々にお言葉を授けるとのことだ。受けてくれるな?」
いや、侯爵家の人間を無下に扱ったら、恩人でもヤバいでしょう。
受けるしかないな。
「はい、光栄の極みです」
横転した馬車から助け出されたばかりであろう、10代半ばの金髪の少女がお付きの者に世話をされている場所に連れて行かれる。
「姫様、助太刀を致したマコト殿をお連れしました」
少女はこちらを見つめると、屋外にも関わらずカーテーシーを行い、一礼すると、
「ミナサリア・アレグリアと申します。我が騎士団の窮地をお救いありがとうございます」
「ご丁寧な挨拶痛み入ります。旅人のマコトと申します。お力になれて何よりです」
「お礼を致したいのですが、なにぶん旅の道中にこの襲撃、今、近くの街まで早馬を飛ばしておりますので、それからとなりますが、宜しいでしょうか?」
「いえ、窮地を見逃せず、助太刀致しただけのこと、礼には及びませぬ」
「しかし、それでは、私の気が収まりません。
こちらのメダルをお持ちになって下さい。
我が家の領地を訪れることがありましたら、このメダルを提示なされば便宜を図っていただけるでしょう」
そう言うと令嬢は家紋と思われる紋様の入った銀製のメダルを手渡して来た。
流石にこれは断れず、受け取ることになった。
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