297話 ドワーフの大洞窟 4
寒くなって参りました。皆さんも体調に気をつけて下さい("`д´)ゞ
「陛下、工兵隊より中和剤の予定量は散布が終了したとのことですが、効果が表れるまで少々時間がかかる模様です」
「マルコ少尉の小隊だけでその時間は稼げそうなのか?」
「腐敗死人の大半は掘削野郎の死骸に群がっている様子ですので今のところは可能です。しかし、この腐敗死人は普通のモノと違い生きている人間に興味が薄いことが観測されています」
マコトは考え込む。
「中和剤の効果が出次第に戦闘部隊は突入して大洞窟内の掃討を行う。その上で死骸の解体を行う」
「「「了解しました!」」」
3時間後
「毒ガスの中和剤の効果で防護服無しで活動出来るレベルまで毒素は薄まりました」
「先行突入小隊からは散発的な腐敗死人の襲撃があるも突破は許していないとの報告です」
「派遣軍第1・2軍から選抜された突入部隊2個中隊が順次突入を開始しました。既に戦端は開かれた模様です」
大洞窟内
「正面に敵3、各自、単連射!」
タン!タン!タン!タン!タン!
腐敗死人の弱点である頭部を狙って19式7・62mm自動小銃が単発射撃で集中する。たちまちのうちに頭部を吹き飛ばされ、再び死体になった3体が倒れる。
『第51分隊、前方100m付近に敵6を確認しました。第23分隊が付近にいます。共同しての対処を』
大洞窟内はドワーフの国の首都ということもあり内部が入り組んでいる為に近距離での戦闘を強いられていた。そこで複数の無人機が洞窟内を飛行し、状況をオペレーターが各戦闘部隊に伝達していく。
マコトの司令部の2人のオペレーターだけでは情報を処理しきれないので派遣軍第1・2軍からもオペレーターが集まり、地上の司令部天幕内はモニターが複数並び、移動式特別指揮車からもケーブルが伸びて、そこだけ電子戦をしているように見える。
「陛下、洞窟内の約30%を制圧、もう少しで竜の死骸に到達します」
大洞窟内は順調に制圧されて行く。しかし、腐敗死人の大半は死骸の周囲に集中している為にそこが激戦区になることだろう。
「激戦区になるであろう地区には限定的ではあるが砲弾、爆薬の使用を許可する。こんな勝ちの見えた戦場で死ぬのは馬鹿らしい、圧倒せよ」
洞窟竜、掘削野郎の周囲には1000近い腐敗死人が集まっていた。中には上位種である死霊騎士、死霊魔術師、死霊鬼なども含まれていた。
そこを包囲するように数百の公国軍が包囲網を構築していた。地下であるが天井が高いので迫撃砲まで持ち込んでいた。
「少佐、各砲座の準備が完了しました。約300名で包囲、残る兵力は周囲の敵の掃討、奇襲に備えています」
「よし、攻撃開始せよ。竜の損傷は考慮しなくても良い。速やかに一掃するぞ」
「了解」
「半装填!」
「「半装填!!」」
ポン!!ポン!ポン!
攻撃は81mm迫撃砲の攻撃から始まった。
ドーン!ドーン!
着弾して複数の人型が人形のように吹き飛ばされた。しかし、恐怖や恐れといった感情を持たない死者に動きはなく、敵を求めて彷徨くだけだった。
パン!パン!パン!
タタタタタッ!タタタタタッ!タタタタタッ!
砲撃に合わせて、自動小銃や軽機関銃による攻撃も開始された。下位の腐敗死人などはどんどんと数を減らしていく。上位種にも物理的な攻撃である銃弾によるダメージはあるようだが何処から持ってきたか鎧を着込んでいたり、魔術による防壁を作りダメージを押さえていたが、
パーン!
銃弾、砲弾、飛び交う戦場で1発の銃声が響いた気がした。
ガクン
1体の死霊鬼が倒れ伏した。
「・・・・ヘッドショット、ワンダウン」
大洞窟内の比較的高台に数人の兵士が伏せていた。
「しかし、『世界樹の雫』を内封した弾丸の効果は凄いな」
「怪我の治療に良し、呪いの解呪に良し、不死者の討伐に良し、ホントに万能だな」
「しかし、我が国の影響力が広まるにつれて需要も高まっている。どんどん価値が上がっていくだろうな」
「無駄話はあとにしろ、敵を倒せ」
「「了」」
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