296話 ドワーフの大洞窟 3
タブレットが復活しまして投稿も再開しました。最近のタブレットは買い換えようと思いましたが以前の物と大差無いと言うことで同じ物にしましたが微妙に違いがあり執筆が大変です。また宜しくお願いします。
「音がするとはどういうわけだ!取り残された人間が居たのか?それとも洞窟竜の眷族が今更来たというのか!?」
『分かりません。最初は聞き取れないほど小さな音だったのですが段々と大きくなってきています』
「工兵隊ならば工作のプロだろう、音から何か推測できないのか?」
現場の工兵と参謀のやり取りが加熱する。
『確証はありませんが、大きな生き物の出す音ではないように感じます。小さな生き物が何匹も穴を掘っているような・・・・』
「現場の工兵隊は直ちに退避を、地上の工兵隊に毒の中和剤の散布を至急開始させろ。あと地上にいる戦闘部隊に大洞窟突入の準備を急いでさせろ!」
マコトが矢継ぎ早に命令する。
「陛下、一体何が?」
「穴が開通する前に大洞窟内で通常戦闘ができる態勢を整えさせるんだ。自分の想像が正しければガスが充満したままだと不味いはずだ」
『こちら観測班、運べない機材は破棄する。これより退避を開始する、待て、開通するぞ!』
観測班の工兵隊が退避を始めたと同時に爆破されて封鎖された通路との穴が開いたようだ。
『あれは、十字を持ったドワーフ?それに人間もあんなに沢山・・・・待て、今は毒ガスが充満しているはずだ!おお~い、来るんじゃない!戻るんだ!』
※十字=ツルハシのこと
「観測班を急いで退避だ!恐らくそれは生き残ったドンナー王国人なんかじゃない。ゾンビだ、化学防護服を着た戦闘部隊をありったけ送り込め、中和剤の散布も発破をかけさせるんだ!」
『武器を携行してた兵が発砲している!奴ら毒ガスの中を平気で走ってる!一人が組み付かれたが引き剥がした!応援を送ってくれ、数が多すぎる!』
「大洞窟入口で待機していた小隊が重火器から携行火器に装備変更して突入します。竜対策の重火器ばかりでしたので周囲の部隊から小火器をかき集めましたので第二陣には少々時間がかかります!」
「観測班の救出を第1目標にせよ。その後は遅滞戦闘に専念させよ。自分も行こう」
マコトがそう言うと、司令部の何人かが準備を始める。
「へ、陛下これは一体?」
ドンナー王国人の司令部で戦況をモニターで見ていた者達が困惑していた。
「腐敗死人だ。ドンナー王国では発生したことが無いのか?恐らく掘削野郎の騒動で坑道内や戦闘で死亡した者達が成ったモノだろう。恐らく悲惨な最期を迎えて無念などの怨念も深かったはずだ。あの様子では上位種も居るかもしれんな」
「では、あれは同胞達の成れの果てだと・・・なんと、なんと言うことだ」
「陛下、突入した小隊の指揮官から報告が入っております。回線をスピーカーに出します」
『派遣軍第2軍、マルコ少尉です。時間がありませんので部隊名は割愛させていただきます。ゾンビは少なくとも500は超えておりますがかなりの数が竜の死骸に向かっております。遠目には攻撃していたように感じました。そのおかげで観測班と合流に成功し退避の際に転倒等した2名以外に負傷者行方不明者はおりません』
「少尉、戦闘はしたのか、そして、その感触はどう感じたか」
『・・・はい、何体か観測班を追い掛けて来ましたので倒しました。人族、ドワーフが居りましたが動きは緩慢ということはなく、かなり早く感じました。先ほど、竜の死骸に向かったと報告しましたが、かなりの生前の想いに引き摺られている印象です』
「そうか、良く分かった。引き続きゾンビが外にでないよう遅滞戦闘をしてくれ」
『了解しました!』
前線との通信が終わった。
「毒ガスの中和作業が終了次第に大洞窟内の敵勢力を殲滅する、以上!」
読んでいただきありがとうございました。




