291話 進撃 7
今回はかなりバタバタして書いたので変な箇所があるかもしれませんので御気付きがありましたら感想の「気になること」などでお知らせ下さい。
下級地竜の一件以降、ドンナー王国派遣軍は然したる障害に遭遇することなく進撃していた。各地に散った軍団の冒険者達からも対した問題は報告されていなかった。
「なのに、どうしてここにきてこんな大問題が発生するかな?」
マコトは思わず天を仰いだ。ドンナー王国の王都たる大洞窟まであとわずか、という地点で先行偵察機が地上部隊の前方に複数の軍勢を確認したのだった。撮影された航空写真の画像を拡大したところ援軍から火事場泥棒へと変貌したグ王国軍、カナン諸王国軍がドンナー王国軍の残存部隊と対峙していたのだ。
「グ王国軍約3000、カナン諸王国軍約1500に対してドンナー王国軍は約300といったところです。ドワーフが勇敢な戦士といっても多勢に無勢です」
女性参謀が戦力分析結果をマコトに報告する。
「各地の軍団の団員から他国の軍勢の情報が無かったのは一ヶ所に集まっていたからのようです。ドンナー王国は洞窟竜から王都を奪還する為に国境以外の国内の軍を王都に集めていたようですが各地からの援軍要請を断り切れずに戦力の逐次投入をしてしまい、数が減ったところへ連合軍が押し寄せた状況です」
ベテラン参謀も調査した情報を報告する。
「我々はある意味、ドンナー王国に引導を渡して国を併合しようとしている。各都市は併合後も必要だからテコ入れしたが国軍が残っていると後々の争いの種になるかもしれない。どうするべきか・・・・」
マコトが悩んでいると、
「陛下、派遣軍の後続部隊からドンゴ氏とデン氏が面会を申請しています」
オペレーターが報告する。彼らはマコトに母国の併合をマコトに進言したマコトが軍団、葬送曲を率いていた時からの古参人物だった。
「会おう。通してくれ」
マコト達は前線に近付いたことから改造トラックから降りて臨時野戦司令部となった天幕の中にいた。
入口から2人のドワーフが入って来た。
「久し振りだな。どちらかが来るだろうとは思っていたが2人で来るとはな」
「陛下、このドンゴ、居ても立っても居られずに志願させていただきました」
「同じくデン、故郷と陛下が心配でありまして。ドンナー王国派遣軍第2陣3000名到着しました」
そう、補給やドンナー王国民への配慮等からマコトと共に来たのは約2000名の兵力であった。しかし、王都近郊へと至ったことから王都の地下、大洞窟に潜む洞窟竜を討伐の為に後詰めとして新たに兵力が空中艦隊を動員して送り込まれた。彼らはそれに便乗したようだ。
「ちょうど良かった。現在ドンナー王国軍と連合軍が対峙していてどう対応するかを検討していたところだった」
マコトはそう言って航空写真を拡大した物を見せた。
「こ、この旗印は!!」
ドンゴが唸る。デンも顔をしかめている。
「・・・・?」
「陛下この旗印は今もそうか分からんが儂らを嵌めたいけすかん武官が率い取った部隊だと思う。こんなもん残しとった方が後々問題だ」
ドンゴが怒りを見せる。
「陛下、儂らを行かせてくれんかの。このドワーフの部隊を見極めてみたいんじゃよ」
デンもマコトに頼む。
「分かった。2人の実力は疑っていないが潜入の為の陽動は必要か?」
「儂達は夜目が効く、闇夜に乗じて行って来るわい」
デンが愉快そうに笑う。
「しかし、もしかしたらそのいけすかんヤッてそのまま部隊を掌握するかもしれん。その時はタイミングを合わせて連合軍へ攻撃して欲しいですな」
ドンゴが物騒なことを言う。どうやら件の人物には殺意がありふれているようだ。無理もない、奴隷にされて国外へと追放されたのだ。恨むな、と言う方が難しいことだろう。
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