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290話 進撃 6

今週もなんとか投稿出来ました。次回から仕事が忙しくなりそうでして、予告無しに休むかもしれませんが辞めるのではないのでご安心下さい(*>∇<)ノ

 ドンナー王国 名も無き平原 ヤマト公国軍 派遣軍夜営地


「今日の晩飯は麦飯とオーク肉の生姜焼き、豆みそ汁、キャベッツの千切りとアプルの実(149話登場)がデザートだ。お残しは許しませんで~!!」


 身長が2m近い人間の男性兵士が森林迷彩の戦闘服の上から白いエプロンをしてオタマを手に仁王立ちしている。複数有る炊事車両の前には長蛇の列が出来ている。


 この男性兵士は元冒険者であったが仲間が引退したのを機にヤマト公国軍に入隊した経歴の持ち主だ。服の上からも分かる筋肉の身体を持ちナイフ1本でオークを生きたまま解体したこともある人物だが、将来の夢は自分の酒場を持つことで今の自分は開店資金を稼いでいるのだと豪語して(はばか)らない。


 ヤマト公国軍の兵士は明るい顔で食事用プレートに盛り付けられた夕食を手にして行く。男性兵士セガールはその様子をオタマを包丁に持ち変えて嬉しそうに見守っていた。


 「うん?」


 列の途中で何かあったようだ。オーク肉の生姜焼きを盛り付けている場所で誰かが盛り付けをしている兵士に懇願している。


 「コラ、お()わりは一度食事を終えてから来い!お前もきちんと拒否しろ!まったく、何処の部隊のへい・・・・!!」


 セガールは盛り付けをしている兵士を怒りながら懇願していた兵士を見た瞬間に


 「へ、陛下。何をしていらっしゃるんですか?怒」


 呆れたような、怒ったような顔をした。そう、そこに居たのは国家元首たるヒイラギ・マコト公王その人だった。


 「イヤな?ルールは知っていたが一度席に着いたら戻って来るのが難しそうでな?ちょっと大盛りにしてくれるように頼んでいたんだよ?」


 マコトは引け目があるのか視線を反らしながら言い訳する。


 「でしたら、副官なり何なりに命令すれば良いでしょう!まったく!オイ、大盛りにして差し上げろ、あとアプルを追加とキャベッツは特盛だ」


 「キャベッツは普通でいいんだが?」


 「肉と野菜はバランス良く摂って下さい。あと飯の席で気を使って頂けるのは良いんですが立場というものも考えて下さい!」


 「・・・・はい」


 一兵士が国王を説教していたが、周囲の兵士達はその様子を好意的に受け止めていた。国家元首が自分達の中に入り込んでいたのには驚いたが、その食事は彼が計画してくれている物だ。マコトの兵士達に対する思いやりは届いていた。


 兵士採用の際は他人の心が分かる人物を選択していたし、何よりマコトが兵士達に紛れ込むのは初めてではなかったのが大きい。



 「はあ、セガールに見付かるとはな」


 「御気持ちは理解出来ますけど、やはり食事は私達が取りに行った方が宜しかったのでは?」


 食事の際は組み立て式の机や椅子も用意されるが人数分は流石に厳しい。そこで時間帯をずらしたり、地面に座って食事する兵士達も居た。今日はマコトは特別移動指揮車の面々と食事することにした模様だ。


 女性4人、男性4人で輪を作って地面に座っている。オペレーターの女性2人、参謀、武装侍女の2人、男性陣はマコト、参謀、運転手が2人だ。


 夜営地は投光器でかなりの範囲が照らし出されている。魔石は貴重品で使えない為にマコトの異世界ショップで呼び出した発電機と投光器を使用している。光が届かない場所ではランタン等を使っている。外周には獣避けも兼ねて火が燃やされていた。


 食事の際は基本的に飲料は真水だ。個個人の好みで用意された粉末ジュースの素等を使用している。これは水は貴重品で、個人に合わせて飲料を用意するのは大変なのと、いざという時に真水は傷の洗浄などにも使えるので備蓄は真水でしている為だった。


 「それでは、いただきます!」


 マコトは粉末ジュースの素コーラタイプ、を使い作ったコーラを手にして食事を始めた。


 

お読み頂きありがとうございました。評価など貰えますと嬉しいです。

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