29話 コダの森にて 7
「HQよりA4、人族と接触出来たか?」
「A4からHQ。肯定。HQの予想通り、冒険者ギルドの斥候でした。」
「HQ了解。」
「A4からHQ。気になる情報が、どうやらオークナイトの1体がオークジェネラルに進化している模様です。オーク自体の総数は約60体。オークナイト1体にオークウィザードが1体も確認しているそうです。」
「HQより各ユニット最初の報告よりも大分戦力が拡充されているがやることは一緒だ。包囲し、殲滅する。以上。」
『了解!!』
オークどもは、森の中に広場を作り、円形にまとまり中央に上位種が集まっているようだ。スキル、マップ作成で確認した。
総数は46体と聞いていたより少ない。
恐らく、10体程度が狩りにでも出掛けているのだろう。
作戦はどうするか?この場に居るオークを殲滅して、残りのオークを待ち伏せして全滅させるか。
それとも、別動隊のオークが戻って来てから殲滅するか?
迷いは、一瞬だった。まとめて殲滅しよう。オークは豚野郎と言われるだけあって鼻は良い。
ここに居るのを殲滅させた際の血臭で悟られて逃げられたら、厄介だ。
時刻は正午を少し過ぎた程度、マコトは各ユニットに広場を囲むようにして木に登らさせた。
円形に広がった以上、別動隊が何処から戻って来てもおかしく無く、鉢合わせになるのを防ぐ為だった。
マコトもなんとか手伝って貰い木に登った。
樹木の上で昼食だ。今回は、ちょっと固めのパンのようなクッキーだ。
仕事では、なかなか使う機会の無いスキル、異世界マーケットだが、マコト達の食生活の改善には大いに寄与している。
エルフの女性が多い為か豊富な調味料に刺激され、時折、宿の調理場を借りて、調理に励んでいる。
このクッキーもその成果の1つで、普通の冒険者が食べる携行食のクッキーと違い、ドライフルーツや、砂糖、チョコレートで味付けも様々で飽きることが無い。
塩も隠し味に使われており、塩分の補給も兼ねることが出来た。
そんな食事を終えて、1時間も経った頃、無線が入った。
「A5からHQ。」
「HQよりA5送れ。」
「A5の監視方向よりオークナイト1、オーク10が接近中。」
「HQ了解。HQより各ユニット攻撃用意。A1、オークジェネラルは、確認出来るか?」
「A1、肯定。」
「HQよりA2、オークウィザードは確認出来るか?」
「A2、肯定。」
「HQよりA3、広場のオークナイトは確認出来るか?」
「A3、確認。」
「HQよりA5、戻って来たオークナイトはまだ確認出来るか?」
「A5、肯定。」
「よし、HQより各ユニットA班の狙撃後、各個に射撃開始。繰り返すA班の狙撃後に攻撃開始。」
『了解!!』
「HQよりA5、獲物は網にかかったか?」
「A5からHQ、最後のオークが広場に入るまで後10秒。」
「HQ了解。5カウント後にA班は射撃開始。それを合図として攻撃開始とするぞ。5・4・3・2・1ファイヤ、ファイヤ、ファイヤ!!」
ターン、タターン、ターン
「A5、ヘッドショット、ダウン!」
「A2、ハートショット、ダウン」
「A3、ヘッドショット、ダウン!」
「A1、ヘッドショット、ア、アライブ!?」
「総員攻撃開始!!」
タン、タン、タターン、ドタタタタン、タタターン
銃声が響きわたる中、マコトはA1が仕留め損ねたオークジェネラルの姿を探し求めた。
広場の中央、冒険者から奪った物だろうか、金属鎧を着込んだオークジェネラルがそこに居た。
A1の狙撃によるものか、頭から血を流しながら、斧をがむしゃらに振り回していた。距離は約150mマコトは単発射撃で5発叩き込んだ。
胴体から頭にかけて、がく引きも利用したこの射撃で、オークジェネラルは鳴き声をあげること無く倒れ込んだ。
オークジェネラルの最後を認めると、視界を周囲へと広げた。戦場は既に掃討戦へと移行していた。B班、C班の中には広場へと歩を進めている者も居た。
葬送曲の初作戦は、大成功をおさめた。
戦果
オークジェネラル1体
オークウィザード1体
オークナイト2体
オーク53体
マコト達は冒険者ギルドから派遣された斥候と合流し、狩人ギルドの遠征隊を襲ったオークの群れの壊滅を確認しあった。
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次回更新は2月16日午前7時を予定しています。