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289話 進撃 5

いつも応援ありがとうございます。今のところ毎週の投稿が行えていますが、仕事が忙しくなりそうです。事前にストックするなどして欠かさずにしますのでこれからも宜しくお願いします。

 「陛下、下級地竜(レッサーグランドドラゴン)他の魔物の調査ですが、やはり洞窟竜(ケイブドラゴン)との関係性は判然としませんでした」


 戦後処理(クリアリング)と平行して戦闘工兵、憲兵の臨時チームが魔物の死骸を調べていた。同じ魔物でも生息圏によっては極僅かにだが変化が現れる。


 例えば、火山地帯に生息する魔物は余程のことがなければ身体に火傷(やけど)の跡が見られる。森林などに生息する魔物は擬装(カモフラージュ)なのか身体に植物の汁や樹液を塗っていることが多い、などが挙げられる。


 今回はマコトが下級地竜(レッサーグランドドラゴン)洞窟竜(ケイブドラゴン)と同じ地属性の竜ということで気にした為に関連性を調べていた。洞窟竜(ケイブドラゴン)は長年地下で活動することから目が退化し、聴力や嗅覚が発達する傾向が見られる。また、穴を掘ることが多い為に前足の爪硬かったり欠けていたりする。それに追随する眷属の魔物にも同じ傾向が認められた。


 臨時チームはその点をふまえて下級地竜(レッサーグランドドラゴン)大鬼(オーガ)を中心に調査した。しかし、これと言った成果は見られずに調査は終了した。戦闘直後で時間がなかったという理由も有るが下級地竜(レッサーグランドドラゴン)は比較的栄養状態が良かったのに比べて他の魔物が栄養失調気味だったのが判明したが食性の違いもあり異常とされなかった。


 

 「出発!!」


 処理が終わり部隊が進撃を開始する。車列が長い為に時間がかかる。マコト達の乗る特別移動指揮車も順番待ちで待機しているなか車内では妙な空気が流れていた。心配のあまりにマコトを押し倒した2人は今さらながらの羞恥心か表情を無表情にしているがマコトとの距離は微妙に前よりも近い。それをベテラン幕僚やオペレーターの片割れは温かい目で見ているがもう1人のオペレーターは羨ましそうな顔を隠せていなかった。


「ヒイラギ陛下、空中艦隊司令部より報告です。残存する魔物の規模の大きな群れはなし、数匹で逃げる敵は放置して追撃を終了するとのことです」


 「了承した、と返信を。巡洋艦についての報告はあるか?」


 「少々お待ち下さい・・、緊急修繕が終わり問題無く戦線復帰する模様です」


 羨ましそうな顔をしていたオペレーターが割り込む。


 「陛下、出発するとの報告が運転席から来ております」


 「了承した」


 先には触れていなかったが、この改造車両は運転席と荷台とが防護扉により仕切られている。運転席が攻撃された際にマコト達、荷台の人員を守る為だ。その為に連絡は車内回線を用いて行っている。まだ戦火燻る戦場跡を後にする。




 「陛下、今夜の夜営候補地に前衛が到着した模様です。敵影なし、夜営地の設営に入るとのことです」


 しばらく問題無く走行しているとオペレーターが報告してきた。ほぼ機械化が終わっているこの部隊であれば運転手(ドライバー)が交代すれば昼夜を問わずに走行することができる。しかし、ここは外国で地理が不安内で魔物が出現する戦闘地域でもある。


 不利な野戦をする羽目になるよりも確実な休息を取ることをマコト達は選択した。しばらく走行すると兵士が誘導している場所に到着した。周囲の視界の妨げや邪魔になりそうな樹木は先行した大隊が伐採したようだ。日没まで少々時間はあるが既に炊事の煙りが上がっている。


 マコトの率いるヤマト公国軍では部隊行動を行う際にはなるべく炊事車両を同行させて将兵に同じ食事を提供している。小規模な部隊や隠密作戦中には難しいが士気の維持の為に携行食糧(レーション)ではなく温かい食事が必要だという方針だ。


 他国からは(友好国であるゲシュタルト王国を含む)将兵が同じ食事を与えられるという考えに懐疑的であった。マコト自身は前世の考え方も有るが、このヤマト公国自体がもとは軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)であり、その初期メンバーは冒険者であるマコトとアリシア、奴隷の身分にあった仲間達だった。


 マコト自身は冒険者と奴隷という身分を殊更意識せずに活動してきて今に至った。奴隷だった彼ら、彼女らは今でも公国の中で活躍している。『同じ釜の飯を喰った』その関係を忘れない為にもマコトはこの方針を変えるつもりはなかった。


 ちなみに炊事車両はマコトが自衛隊の頃を思い出して試行錯誤してこの世界の物で1から作った。炊事車が作業をしているところは見たことがあったが構造までは分からなかったので相当に苦労した。火力は電気は無理なので車両にも使用している液体燃料か、炭や薪の固形燃料かで迷ったが現地調達も考慮して固形燃料にした。


 旅先で(かまど)を作らずにすぐに大量に炊事出来るということで、炊き出しを行う世界樹(セフィロト)教や冒険者ギルドからは購入検討の話が来ている。








読んでいただきありがとうございました。感想、評価、いいね等貰えますと励みになりますのでどうかお願いいたします。

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