283話 新婚 19
まだまだ後遺症か身体の不調が続きます。戦闘場面をもっと出していきたいです。
「今現在、連絡が再開した都市は3つ、中小の村や町はそのほとんどが疎開か魔物の襲撃によるものと思われる襲撃で無人となっていることが確認されました。現状、魔物の活性化、他国による侵略、都市間の流通が途絶えたことによる治安の悪化が懸念材料です」
『円卓』の近郊にある臨時司令部ではマコトが周辺地域の偵察結果の報告を受けていた。
「本来このような時に対応すべき国軍は洞窟竜対策の為に首都圏に集められ、その後は援軍だったはずの他国の軍勢を牽制する役目もあり地方は手薄となっております。また冒険者ギルドに所属する冒険者も洞窟竜対策の為に召集された後にそのまま洞窟竜の眷族狩りで残る者、人同士の戦闘を忌避して国を出る者が多く、これもまた人手不足の原因となっております」
報告を受けていた公国軍の幹部が挙手する。
「陛下の率いておられました冒険者の軍団、葬送曲とその提携する軍団をこちらに派遣して地方の治安維持任務に充てることは可能でしょうか?」
マコトは少し考えて答える。
「葬送曲は確かにその武装は公国の正規軍と比較しても遜色無く、装備面で言えば確かに可能である。しかし、公国軍設立時にその精鋭達は国軍の基幹となり軍団を離れている。現在は新規の団員が加入して教育と練度の向上に励んでいる状況だ。一国の治安維持の任務を行えるだけの人員が確保出来るかどうか・・・」
「可能です!!」
臨時司令部の天幕を勢いよく捲り、数人の人物が入って来る。入口で立哨していた兵からは誰何の声は聞こえなかった。何故ならば
「アリシア、ミナサリア、それにアナスタシアまで!何故このような場所に?そもそもどうやってここまで来たんだ!?」
マコトの新婚ホヤホヤの新妻達だった。
「マコトが周辺偵察に臨時司令部を離れていた時に飛行艦で来たのよ。(※278話末尾参照)留守の間に状況を聞いたら人手が足りないと聞いたから国家予算がかからない軍団の団員を呼び寄せたわ。葬送曲、突撃の団員およそ15000名、輸送には公国軍の飛行艦を借りたけど費用は軍団の運営費から出しているわ」
と、軍団の団長職に就いているアリシア。
「公国軍の増援は首都圏に進行するまで人件費がかかり過ぎるので控えている、とノースガルドの財務の方から聞いておりましたので国庫を開かない方法を取らせて頂きました」
と、大貴族の令嬢として領地運営のノウハウのあるミナサリア。
「各都市から魔物の討伐依頼、薬草類の採取依頼等を出してもらい採算は確保する計画ですが、現在都市の財政は苦しいところもあるということで公国から都市に臨時で資金援助して貸し付けて頂けると軍団として助かります。本来であれば先にマコト様にお話しすべきですが、私達は放置した仕返しでもあるんですよ?」
とは元王女のアナスタシア。
彼女達としては新婚なのに外国に行ってしまったマコトを驚かせるだけのつもりだったようだが、妻として国母として現地でマコトの手助けをする方針に切り替えたようだ。
地球の常識から考えると彼女達がしたことは公私混同の気があるがここはまだファンタジーであり貴族や平民といった身分格差のある世界だ。寧ろ代価を考えているだけマコトの教育の成果であろうか?
とにかく、マコトが偵察から帰還して今までの間、3人とそのお供の者達が隠れていることは不可能だ。手引きした者がいるな?と視線を走らせると、目線を反らす者、慌てて否定する者、やってやりました!とサムズアップする者などさまざまであった。
「分かった。治安維持の方法はその方針でいく。これにて本日の会議は終了する。それとアリシア、アナスタシア、ミナサリアは私の天幕に来るように。じっくりと話し合う必要があるな」
確かに、新婚早々に花嫁達を放置した自分にも大いに責任はあるが、王妃として自覚してもらう為に彼女達とはしっかりとしたコミュニケーションが必要だとマコトは覚悟を決めた。
以前から説明しようと思っておりましたが葬送曲=ノクターンのようですが自分はレクイエム(本来は鎮魂歌)ですがもうこのままで行きます。当て字ということで!




