282話 新婚 18
お久し振りです。先週実はコ○ナに罹患してダウンしていました。世間から隔離した生活をすることになり自分の時間が持てる!と甘い考えでいましたら、高熱、頭痛、咳etcで本当に大変でした。近況報告でしたm(_ _)m
「やけに飛竜の素材にこだわりますね、何か理由が?」
会談していた公国軍の将校は文官長のドワンに訊ねた。
白髭を撫でながらドワンは頷いた。
「儂らの街『熾火』では金属加工よりも魔物やその他の素材を使用した加工品が得意なんじゃ。職人一人ひとりが自分で使う分だけならまだしも街中の職人が仕事するには材料を外部から輸入せにゃならん。しかし、首都と連絡がとれんくなったうえにあの飛竜騒ぎじゃ、」
ゴホン、と咳をすると、
「おかげで街から加工用の素材が無くなり、職人達が仕事が出来なくなり材料に飢えておる。職人としての意地から奪い合いにはなっておらんが禁断症状がのう・・・」
「禁断症状?」
ドワンは黙ってその太く短い腕を持ち上げて見せた。手は握られておらず開いていたが、細かくプルプルと震えていた。
「腕が仕事を求めておるのじゃ。酒を飲めば一時的には収まるがその酒も今は不足しておる。街中の職人達の為に儂は文官長として素材を手に入れなければならん!」
(((格好いいこと言っているけど、アル中が酒が切れているだけなのでは!?)))
ヤマト公国側の会談の参加者は一斉に内心で突っ込んだ。
そんな内心を表情に出さないように押さえ込みつつ会談を続けた。
「ではあの3頭の飛竜はそのまま『熾火』の皆さんにお譲りします、」
それを聞き、ドワンが何か発言しようとするが、
「勿論、無償で、とは言いません。これにより皆さんに貸しが1つともう1つ・・・・」
それを遮り、会談にあたっていた将校は勿体振るかのように発言を伸ばすと、
「飛竜から作られた品で最高の物を私達に売って頂きたいのです」
決まった!そんな顔でそう言った。
「グフ、グフッフフフフフ・・・」
何処かで、大きなカエルが鳴いているかのような音がした。
「ド、ドワン翁?」
道先案内人のドドンが心配そうにうつ向いたドワンの肩を揺さぶっている。
「ええぞ、ええぞ、おんしら。見せちゃろう儂らば本気をば!」
顔をあげたドワンの目は煌々(こうこう)と光っていた。
「し、少佐。何しちゃってるんですか!話しをややこしくして!」
「交渉で都市近郊の交通権を得るだけでよかったのにドワーフの職人魂に火を点けてどうすんですか!」
「え、だってドワーフと交渉するんだったらこの方法だってマニュアルに・・・」
「それは時間的余裕のある時です!ああ、もうこれだから促成栽培のマニュアル人間は!」
ドワーフ側だけでなく、ヤマト公国側内でも内輪揉めが発生していた。
「はい、はい、了解しました!では」
会談に臨んでいたヤマト公国側の将校の1人がこっそり持ち込んでいた無線機を切る。
「皆さん聞いて下さい。ヒイラギ陛下の御言葉です!」
その言葉にまずヤマト公国側が静かになる。その様子を見てドワンゴ王国側のドドン、ドワン達も話しを聞く姿勢になった。
「ヤマト公国より都市『熾火』に贈り物として飛竜3頭の素材、貴金属のインゴット10本を進呈する。代わりではないが公国は都市近郊の街道の通行権を求めたい、返答いかにか!とのこと」
「儂らとしては外から素材や食糧なぞが入って来て流通してくれればそれでよか。その点を保証して再度話しあいばあれえば異存なか」
公国の最高指導者の名前が出たからかドワン氏の表情も落ち着きを取り戻し、文官長としての顔で返答した。
「交渉の詳細を詰めることはこちらも異存ない。ただ・・・・」
無線機で密かに臨時司令部と連絡をとった将校は一言。
「カイ少佐は速やかに臨時司令部に顔を出せ、とのことです」
と伝えた。それを聞きマニュアル人間と呼ばれた将校は項垂れた。これも急速に拡大した公国の抱える人材育成の闇なのだろう。他の将校達は少佐の肩を優しく叩いた。
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