281話 新婚 17
なんとか今週は予約投稿出来ました。拙作ですが宜しくお願いします。
「おお、あのはぐれ飛龍が討伐されるとは」
ワイバーン3頭の死骸を集めてその処理について、周辺警戒を継続しつつ話し合っていると、採掘鍛冶都市Bー8ーLに赴いた道先案内人のドワーフが別のドワーフを引き連れて戻って来た。
そのドワーフは車両に牽引されて集められていたワイバーンを見て開口一番に驚愕を口にした。
「ドドンさん、紹介してもらえますか?」
ヤマト公国兵がドドン(道先案内人)を促す。
「ああ、こん人はBー8ーLの・・・・」
「ドワンじゃ。そんなことよりあの飛龍の素材は売ってくれるんかい?」
「ドワン翁、説明が先じゃて!」
「そうじゃった、そうじゃった。久しく原料が入って来んかったもんじゃからついやのう」
そう言うと、そのドワーフは軽く咳をすると、
「改めてBー8ーL、通称『熾火』の文官長のドワンじゃ。こんだびは都市の街道を脅かしとった飛龍を討伐してもろうて感謝しとる。ドドンからも聞いたがそん話しも含めて中で茶でもどうじゃ?」
一気に言った。すんなり話し合いの場が持てそうでヤマト公国側に否は無かった。
採掘鍛冶都市Bー8ーL 通称『熾火』 都市内
「スマンのう。茶言うて出せるんは白湯なんじゃ。ただでさえ物流が途絶えとったのにあの飛龍が彷徨いておったんで外に出れず、井戸ん水と貯蔵しとる黒水で沸かしたんじゃ」
公国軍は都市に入り都市側が用意した噴水の有る広場に臨時に展開して代表者数人が話し合いの場に赴いた。ワイバーンは都市が派遣した人達が都市内に運ぶ手立てを整えている。(一部獲物を狙う目をした技術者らしいドワーフ達も居たが)
「ワイバーンや物流も気になりますが、黒水ですか?」
「・・・?ああ、都市から十数キロ程の岩場に凄い臭いのする黒いどろどろの液体が湧く場所が有ってな。なかなか使い道が分からんかったが熱を加えると変化が有ってのう!燃えやすい液体が取れることが分かって今は試行錯誤中じゃよ!!」
「ドワン翁!前の地域技術会合ん時その話しばせんかったな!」
「うるさい!まだ確立もしとらん技術、外に出せるわけなか!」
「そう言うて抜け駆けば狙ろうとろうがよ!」
どうやら近隣都市である『円卓』にも内緒の話しだったらしく、うっかり洩らしたドワン氏にドドン氏が掴みかかろうとして公国軍側が止めに入った。ドワーフ達も訛りがキツくなっていく。
(燃える黒い水、原油か?魔石という強力なエネルギー源があるとはいえ他の物が有っても困ることはない。我々の車両もヤマト公国内で採れるガソリンで動いているしな。これは報告が必要な案件だ)
「街道を脅かしていたワイバーンを討伐することが出来て我々も嬉しく思います。先ほど話しがありましたが王都の混乱によりこのドンナー王国では物資が必要な場所に送られていません。我が国はそれを解決する為に軍を派遣しました。『熾火』の皆さんにもご協力頂きたいのです」
ドワン氏が白い髭を撫でる。
「部隊の都市近郊への駐留、必要物資、人手の提供、見返りとして都市が必要とする物資の販売、か。この提供する物資というのはなんじゃ?言うておくが儂らには食糧なぞ無いぞ」
「ええ、理解しています。取り敢えず現段階では飲料水を想定しています。我々も行軍していますので『円卓』近郊で用意して輸送するよりも手間がかからないのです」
(本当は都市が用意できる物資が少なくて、そのままではこちら(公国側)が損失が大きいんだよな)
「まぁ、良かろう。正式な契約・交渉はまた後日じゃな。では本題じゃが先ほど見た飛龍を売ってくれんか!」
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