277話 新婚 13
おはようございます(投稿が朝なので)なんとか今週も投稿出来ました。
ドンナー王国 採掘鍛冶都市Bー7ーR近郊 名もない街道上
「町長!魔物どもは道の片側に居るんだから円陣を解いて戦った方が良いんじゃないかの?」
「儂の冒険者時代の経験じゃと魔物の群れは1つとは限らんのじゃ円陣は解くでないぞ!!」
町長と呼ばれたドワーフが重そうな大斧でゴブリンの頭をかち割りながら同じく魔物と戦う人間の男に答える。
「何だかよく分からん緑色の服の男達が牽制してくれとるおかげで大鬼やウルフに騎乗した狼乗りどもが戦いに参加しとらんおかげでなんとか持たせとるが厳しいのぉ」
「町長!一部の魔物に回り込まれる!」
「無理じゃ!なんとかせい!」
街道上に縦に伸びた円形の型をした円陣で避難民達はなんとか魔物を食い止めていたが、戦闘のできる者が少なかった為に当初は均等に散らしてあった戦闘経験者達は段々と魔物と戦っている側に集まり始めており、反対側の戦力が薄くなっているのを気付かれたのかもしれなかった。
「隊長!大鬼1、狼に騎乗したゴブリン8が迂回しています!」
「無理だ!目前の大鬼やホブゴブリンまで圧力をかけて来た。回せる戦力が無い」
「それじゃ・・・・」
ドドドドドン!ドドドドドン!!
第2偵察隊の7・62mm小銃よりも重低音が響く。
「援軍だ!12・7mm重機関銃!」
重機を装備した軽装甲機動車が5両、円陣を回り込もうとしていた魔物に発砲しながら突っ込んで来た。
「まだ生きてたか馬鹿ども!」
偵察バイクに乗った上級軍曹が先陣を切る。どうやら部隊を誘導して来たようだ。
「降車!」
「「降車!!」」
大鬼が集中砲火を浴びて倒れると、残った魔物に対して車両から降りた兵達が銃弾を浴びせていく。ゴブリンの狼乗りはたちまちの内に全滅した。
「掃討しろ」
歩兵は避難民の円陣と合流して魔物に銃弾の雨を降らす。次々と倒れていくが一部の魔物や小銃弾が効き難い大鬼などは逃走を図るが回り込んだ軽装甲機動車が魔物が自棄にならない程度に逃げ道を塞ぎ、倒して行った。
「町長、なんとかなったな?」
「魔物どもがまた来るかもしれん、気を抜くな。一番厄介なのはあの者たちじゃ。手助けの見返りに何を要求されるか分からん」
避難民達の心配を他所に第2偵察隊と援軍が合流する。
「第2偵察隊隊長グレン曹長です。援軍感謝します」
「臨時即応部隊の小隊長のアルフ少尉だ。グレン曹長、君には仮司令部へと出頭指示が出ている。速やかに帰還しなさい」
「そうなるとは思っていましたが即時、ですか」
「即だ。『命令』ではなく『指示』なのを陛下の恩情だと思え」
アルフ少尉の口調が荒れる。彼女はこの沙汰に不満のようだ。第2偵察隊は避難民達への挨拶もそこそこに現場をあとにした。
「あんたらはわしらを助けてくれたんかの?見返りは何を求めるんじゃ?」
町長が残ったアルフ少尉に話しかける。
「我々はヤマト公国軍の部隊です。この先の採掘鍛冶都市Bー7ーR付近に滞在しています。我々の事情も複雑なので一旦貴方方は都市に身を寄せて改めて話しができればと思います」
アルフ少尉の判断で無償としても良かったがドワーフは義理堅い、アルフ少尉は軍内のドワーフとの付き合いでその事を熟知していたので交渉は後回しにした。
そんな2人の背後では避難民や兵士達が街道脇に穴を掘って魔物の死骸を埋めていた。素材の採れる魔物ならば剥ぎ取りを行ったが魔石も無く、ウルフの毛皮ぐらいだったが穴だらけだったので諦めて処分していた。
戦闘の後片付けが終わり、数人いた怪我人の手当てが終わると小隊が避難民達を護衛して都市へと向かった。怪我の治療には「世界樹の雫」は使用しなかった。重篤者がいなかったのもあるが軍も他人にはそこまでするつもりもなかったのだ。
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