271話 新婚 7
リハビリで今回は少し短いです。
「公王様、ドンナー王国内は周辺国家による草刈り場と化している様子です」
王都が壊滅したとの情報を得てから2週間、更なる調査を命じてから最初の報告が届いた。
「王国の要請により進行した各国の軍は王都が壊滅したとの連絡を受けた後に、王国内の主要な鉱脈や都市を占領しつつある模様です。王国軍は地下坑道に拠点を移していますが洞窟竜の掘削野郎を討伐するか、各国の軍を撃退するかで方針の違いから内輪揉めしているようです」
マコトは報告を聞きながら紙の書類にも目を通す。それによると援軍から侵略者へと変貌した国は2つ、もう1か国いたが王都壊滅と同時に撤退したとのことだった。
援軍のはずが一転、火事場泥棒だ王国もやりきれないだろう。軍を動かす費用も少なくない。負担を補うにしてもやり方はあったはずだった。
「ドンナー王国からは何か発表または連絡は無いのか?」
王国の対応が待たれる。
「今のところまだ公式なものはありません。しかし、掘削野郎により住む場所、仕事を失った難民が少しずつですが周辺国家に流れているような情報があります。流石に侵略した国には向かっていないようですが」
ヤマト公国も険しい山脈に隔たれて今まで交流は少なかったがドンナー王国とは一部国境が接している。ゲシュタルト王国時代はしてなかったが旧アレフガルド王国、旧アマゾニア王国を統治した結果だ。
険しい山脈という障害は有るがもしかすると難民が来るかもしれなかった。普段であれば陸路の在る他国を経由して入国するが万が一がある。
「一応国境付近の山脈を航空部隊に警戒させる。国境警備隊も巡視警戒時には難民が居る可能性を考慮するよう命令を出す」
マコトは報告をした将校以外にも待機していた秘書官に伝える。
「ドンナー王国からの要請がない限りこれ以上は出来ない。しかし・・・・」
マコトは悩んだ。全く関係ない国であれば良かったがドンナー王国、旧ドワンゴ王国は軍団、葬送曲創立時のドワーフメンバー、『ドンゴ』と『デン』の故郷である。いろんな事情で国を出た彼らだが故郷の危機をどう感じるのだろうか。
「工兵連隊長と商業省の技術開発課長を呼び出してくれ、最優先事項だ」
マコトは2人の話しを聞くことにした。
20分後に課長になったデンが、30分後に連隊長になったドンゴがマコトの執務室に出頭した。
「組織改革中の忙しいところを呼び出してすまない。懐かしい顔ぶれで酒でも飲みたいがそういう訳にもいかない」
そう切り出すとマコトは2人に現在の彼らの故郷の状態を説明した。
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