265話 新婚
なんとか結婚式編終わりました。知らないことを文章にするのは難しいです。
ダモンクレスト枢機卿の一件以来、ゲシュタルト王国の国民への御披露目中には問題は起こらなかった。
細々とした騒動はあったようだが王国の騎士団とヤマト公国の黒をはじめとした部隊が秘密裏に処理してしまった。
マコト達はその足で王国内を行脚して各地の貴族へと顔見せと圧力をかける案もあったが、婦人の一人が王族でマコト自身が王国の公爵であると言っても実質的に公爵領は既に一国に匹敵する規模になっており『公国・公王』という名称を使っていることからも他国の王族が国内を練り歩くのは問題だろう、とマコトから断った。
イージス聖教もヤマト公国からの関係断絶、ハイマン国王との会談、ダモンクレスト枢機卿の愚行、もろもろの問題の対応の為に教皇からの特命を受けた他の枢機卿が王国を訪問するという話しになっていたがマコトは接触を拒否し、自国での式典があるとして早々にゲシュタルト王国を離れた。
ゲシュタルト王国~ヤマト公国国境地域上空 空中戦艦比叡艦内
「それで?廃棄予定の武器・弾薬の一部を兵器厰の保管庫から持ち出した訳か・・・」
「はい」
マコトの前には臨場編成された黒の班長の男性将校が直立していた。
「あれらは私が失敗だと判断して処分する為に一時的に保管していたんだ。我が国の兵器は他国に流出させる訳にはいかない物ばかりで厳格に管理されねばならない。それを君は持ち出した、厳罰を覚悟しなさい」
「お言葉ですが閣下、私達はそうは思いません。実際に今回の非殺傷弾薬は対象を殺傷せずに無力化しました」
「辛うじて生きているというだけで神経を損傷して首から下が麻痺して神聖魔法の効果も不明だという。秘密裏に世界樹の雫の提供の交渉の話しも来ている。待て、私達、だと?」
「はい!私達は公国こそが大陸を、世界を統一する存在だと確信しています。その為に同志達はあらゆる手段を使い・・・・」
「連行!!」
部屋の入口の扉の両側に立っていた2人の女性親衛隊員が将校の両腕を掴み室外へと引き摺る。
「待て、私の陛下へのはなS・・・」
叫ぼうとする男の右腕を左手で掴んでいた隊員が右手で鳩尾を容赦なく殴る。
「グベェ!!」
「黙れ、公軍の恥さらしが。その臭い口を閉じていろ」
3人が廊下に出ると、廊下で待機していた侍女さんが2人入って来る。いや、2人共にスカートの右側がやや膨らんでいる。武装した武装侍女隊の侍女だった。
1人がマコトの座る椅子のそばに立ち、もう1人が備え付けの備品を使い茶の準備を始めた。
『しかし、軍の中枢にあのような危険な思想を持った過激派が居たとは。冒険者の軍団、葬送曲の頃から奴隷紋を使い命令に反せないようにしてきた筈だが国軍規模になり、紋に改良を加えたせいで不具合が生じたか、もしくは異常な思想の持ち主には効果が薄いのか?親衛隊の捜査報告書が待たれるな』
熟考するマコトの前に湯気たつ金属製のマグカップが置かれる。
「ヒイラギ様、表情が優れませんが」
「先ほどの男のせいですか」
2人の侍女が心配そうにしている。
「いや、だいじょうB・・・」
「「ちょっと掃除して来ます」」
2人はハモってスカートから小型の自動拳銃を取り出すと外へ行こうとする。
マコトは慌てて熱い茶を飲み干すと、
「もう一杯もらえるかな」
と言って2人を呼び止める。
「・・・・! はい只今」
そう返事をするといつの間にか手の拳銃は無くなっており、マコトの手からマグカップを受けとる。
1人がマグカップを片付け、もう1人が新しいマグカップを用意して茶を淹れている。
『紋の効果は主として情報、技術の漏洩防止。他に奴隷紋の名残で上位者には逆らえない、危害を加えれない、がある。この場合の上位者とは私を指すが最近、どうも身の危険を感じるような気がする・・』
「お待たせ致しました」
先ほどとは別のマグカップに入って茶が目の前に置かれる。
この茶は、茶色をしており少し焦げたような香ばしい匂いがする。飲んでみると少し苦いがほんの少しの甘味もして飲むと気分が落ち着くとして、考え事の際などに飲むと良いとされている。
用意してすぐに出てきたことを考えるとこれは軍用の粉末状になったインスタント品だろう。金属製のマグカップといい軍艦内らしく質実剛健の精神はマコトの好むところである。
決して武装侍女隊が茶を入れるのが苦手だとか、マコトに茶を淹れるのが面倒だとかそういう理由ではない筈だ。
マコトは机の引き出しから報告書の類いを取り出して目を通していく。
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