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263話 合同結婚披露式典 IN王都 12

記録的な寒波です。皆さん体調に気を付けられて下さい。

 夜会は何事もなく閉会した。ゲシュタルト王国、ヤマト公国の2か国が金貨に糸目を着けずに古今東西から酒類、食材、銀食器の類いを集め華美になりすぎない程度に演出した夜会は参加者達に両国の力を見せ付けた。


 王族クラスの参加はほとんど居なかったが他国からの参加者、普段は領地に籠り国内の情勢に疎い地方領主達も夜会にかかった予算を想像して(おのの)いた。


 夜が明け、式典のクライマックス、誓約の誓いが行われる日が来た。


 陽が昇る前から王都の民達はざわめき、その熱気は王城にも及んでいた。寧ろ王城こそ発生源であった。


 式は本来であれば王都内の大教会で行われるはずであったが、ヤマト公国は密かにイージス聖教と決別を決めており、ゲイボルグ到着と同時にダモンクレスト枢機卿に対し宣告して正式に決別した。そもそも大教会に対して式を行うことも連絡していなかったが大教会側が慣例通りに行われると思い込んでいただけであった。


 その為に王国と公国は密かに王城に隣接した練兵場を改装して準備を進めていた。勿論、式場を作っているとは言えないため市街地戦闘用の障害を作っていると表向きは説明していた。


 この世界で誓約の誓いの儀は本来であれば場所はどこでも関係なく、将来を誓いあった者同士がその想いを確かめ合い、その者達を周囲の者で祝福することで成立していた。しかし、文化が発達してイージス聖教のような宗教が幅を利かせはじめて誓いの儀は宗教がその権威を信者達に奮う格式ばったものになっていた。


 日本から転移したマコトはそもそも自分も結婚の経験がなく、参加した知り合い達の結婚式を見て当人達が幸せであれば格式ばる必要はあまり無いのではないか、と考えていた。


 無論、古式ゆかしい神前式、人前式を否定するつもりも無いし、キリスト教のように教会で行う式も否定するつもりはない。


 しかし、今回はちょうど地域の最大宗教イージス聖教と袂を(わか)った直後であり、何らかの宗教じみた式を行えばまだ事情を理解していない国民達からの反発を招くことを危惧して古式ゆかしい人々の前で誓約の誓いの儀を行う形式をとることになった。




 元の練兵場は綺麗に整地されて訓練で使用したり、装備を保管しておく小屋などは撤去されて城壁に囲まれた林の中に参加者達がいるようになっていた。


 低い人工の丘が作られて、マコト、アリシア、アナスタシア、ミナサリアそしてハイマン国王がその上に立っており、その周囲には数人の従者が控えていた。その丘を囲むようにして他の参列者達がいる。


 昨夜遅くになって到着した、と主張する他国の王族の姿も見える。密かに入国しており、夜会の出席者から話しを確かめて式典に参加することを表明したと考えられた。


 人生の先達たる年長者が人生とは、夫婦とは、という事を語りそれに対して夫婦となる者達が協力して歩んで行くことを誓うという流れだ。


 ハイマン国王による語りがクライマックスに達する。


 「では余、ハイマン・ゲシュタルトはこの者達が互いを尊重し助け合い、将来に向かって歩んで行くことを切に願う。ソナタ達はここに集いし者達に誓えるか?」


 「「「誓います」」」


 「では、この誓いに異議があるものはここで名乗り出よ。異議なくば沈黙でもって応えよ」


 「「「・・・・・」」」

 

 「・・・ではこの者達はここに夫ふ・・」


 『異議あり!!』


 参列者達が驚きを(あらわ)に練兵場の出入口を見る。


 そこには武装した聖職者や市民というには荒事慣れした者達を引き連れたダモンクレスト枢機卿が居た。


 「この場は(けが)れに()()ちておる。神の不在の誓いなど認められる道理があろうはずがない。無効だ!!!」


 狂信者ならではの場の空気の読めない主張をする。


 ハイマン国王のこめかみにハッキリと血管が浮き上がっている。

 激怒だ。


 「ダモンクレスト枢機卿、貴方を式典に呼んだ覚えは無いが。この形式はゲシュタルト王国成立以前からの古式ゆかしいものだ。穢れと言われる筋合いは無い。何より・・再度言うが何故我が城に居る!!」






今回もネタらしきものを仕込んでみました。

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