261話 合同結婚披露式典 IN王都 10
ネタあり。
「「・・・・」」
少女達は一言もなくマコトを狙う。ナイフを手にした2人はひたすらに直進し、弩を構えた少女はマコトの挙動を凝視する。広いとは言え室内である、フェイントのないその動きは自らの帰還を省みずに対象の抹殺を目指していた。
「昭和の映画のヤクザか!少女にこのようなことをさせるとは」
マコトは自らの身の危険よりも少女達にこんなことをさせたであろうイージス聖教国に怒りを燃やした。
マコトは軍刀を右手で持ち柄を逆手に握ると腰の高さで身体で隠すように構える。
前衛の少女達が左右から同時に襲いかかった。
「・・・、Aバンストラッシュ」
マコトがただ右から左へと軍刀を横一文字に振るう。別に斬撃が空中を翔ぶわけではない。○イの大冒険の勇者の決め技の名前が出たのはあまり関係なかった。
「グッ!」 「カハッ!」
軍刀の峰が少女達を捉える。マコトから見て右側の侍女姿の少女を捉えるとそのまま振り抜き左側の少女をも2人まとめてなぎ払う。
逆手、横一文字、峰をあてる、2人まとめて、と本来ならば長身の軍刀でやる動作ではない動きばかりだが敢えてマコトは強行した。
「・・・・」
ヒュ!と音がしたような気がすると同時に弩から矢が放たれて飛んで来た。マコトはそれを左手で掴んだ。
前衛の少女達はなぎ払われて壁まで飛び2人とも倒れて呻き声をあげている。直接軍刀が当たった方は肋骨ぐらいは折れているかもしれない。
弩の侍女姿の少女は前衛が失敗したのを見てすかさず発射したが失敗した。どうやら連射式ではないようだ。一瞬躊躇うと扉に向かって逃走を図る。
「どこへ行こうというのかね?」
マコトは某○スカ大佐のようにゆっくりと追いかける。
暗殺者の少女がドアノブに触れようとした瞬間、
ドン!!
勢いよく扉が開いた。この扉は有事の際に室内に立て籠りやすいように内側に開くようにしてあった。その方が荷物等で扉を押さえやすいのだ。
扉の開く勢いは明らかに人がいることを意識してのものだった。
「・・・・!!!」
少女はドアノブを掴む為に出していた右手を強打してしゃがみ込んでいた。どうやら指が複数折れているようだ。
声をあげたり倒れないのは暗殺者としての訓練のせいだろうか。
室内に武装した親衛隊員が数人突入して来る。マコトは軍刀を床に落として両手を上げる。床は厚い絨毯だから大丈夫のはずだ。無駄に隊員達の仕事を増やさない。
しゃがみ込んだ少女が蹴り倒されて床にうつ伏せにされた。壁際で倒れていた2人もうつ伏せにされて銃口が向けられていた。素早く結束バンドで親指が結ばれて拘束される。
「目標確保」
「対象1制圧」
「2制圧」
「対象3制圧」
「「クリア」」
指揮官らしき親衛隊員がマコトに近付いた。
「司令、お怪我は?」
「見てたんだろう。大丈夫だ」
そう言ってマコトは室内を見渡す。突入のタイミングからおそらく隠しカメラがあるはずだ。でなければこれ程早く制圧部隊が送り込まれないだろう。
「突入してすぐに対象を制圧したのは良かったが拘束は室内の安全を確認してからで良かったのではないか?隊員の注意が拘束に向くと不意の事態に対応が遅れるぞ」
「検討します」
「それで背後は?」
「既に部下と武装侍女隊、王国騎士団が城内のダモンクレスト枢機卿の確保に向かっています。『王国の影』が枢機卿の部下と今回の暗殺者の接触を確認しました」
「うん?親衛隊、侍女隊の両方が行ったのか。過剰戦力じゃないか?」
「司令、部下は武装侍女隊の押さえ役です」
「・・・・ああ」(察し)
武装侍女がダモンクレスト枢機卿を殺しかねないのだろう。
「同時に王都内のイージス聖教の教会にも王国騎士団が向かっています。枢機卿が逃げ込む、教会から戦力が出てくるのを防ぐ目的です」
「王国は聖教国を見限るかな」
「恐らく難しいかと。上層部は我が国と関係もあり前向きですがまだまだ信者や教会と利権で裏で繋がっている貴族もいるでしょう。今回の件も枢機卿の独走として処理されるでしょう」
「そうなったら、ダモンクレストを聖教国に送還などさせるな。消せ」
「了解しました」
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