253話 合同結婚披露式典 IN王都 2
最近、自信が無くなりつつ有ります。作品も山場が見えて来ましたけど、継続するかは不透明です。
空中戦艦比叡 艦内のとある一室
その室内には背もたれのある椅子が一脚だけ置かれた殺風景な部屋だった。その椅子には軍団、葬送曲時代から考えてもあまり使われなかったような荒縄でマコトが縛り付けられていた。
「「「・・・・・」」」
その前にアリシア、ミナサリア、アナスタシアの3人の女性が立っていた。他の元団員や艦の乗組員、侍女達は付き添っていなかった。
「ヒイラギ様・・・どうしてこのような事を、私共の事をお嫌いになられたのですか?」
アナスタシア王女は今にも泣きそうな表情をして言った。嫌、既に泣き出していた。
アリシアはただ無言でマコトを見つめている。しかし、その瞳は何かの色を映していた。
「マコト、貴方が理由もなくこのような事をするとは思わない。私の考えを述べさせてもらっても良いでしょうか?」
ミナサリアはマコトを見て、他の2人の婚約者を見渡し異論がないことを確認すると話し出した。
「私達の出逢いはドリンドルの郊外で魔物に襲われていたのを貴方が助けてくれた時でしたね。あの時はたった一人の冒険者が魔物を薙ぎ倒すのを見て乙女心がときめいたものです。初恋でした」
ミナサリアは一息つく。
「しかし、同時に恐怖、そうですねアレは恐怖でした。剣も槍も何も持たない人間が魔物を次々と倒すのですから。貴方を想うと共に恐れていました。だから少々心にもない行動をしてしまうこともありました」
そう言って無理に痛々しくニッコリと笑う。おそらくマコトを壁に追い詰めて『壁ドン』した時のことだ。
「時が過ぎ、貴方の人柄を知り、お父様づてに貴方のことを聞く度にその恐怖の氷は氷解して行きました、しかし新たな疑問も生まれました」
「マコト、貴方のことが好きです、愛しています、世界中の誰よりも貴方のことを想っています。だから問います貴方は誰なのですか」
ミナサリアは声を震わせ、泣き出しそうな表情をしながらもマコトの顔を見つめる。そんなミナサリアをマコトはずっと視線を外さずに見ている。二人の視線が交わる。
「気付かなければ良かった、考えなければ良かった、でも私の頭から離れない。貴方の考え、知識、持ち物。そのほとんどがこの国、いえ、この大陸にはあり得ないモノです。だから初めは貴方は外の大陸からの訪人なのかもしれないと思いました。しかし、お父様の話しを聞いてその考えを否定しました。直接言われた訳ではありませんけど、お父様が貴方のことと我が国の初代建国王陛下の話しをされた時に嬉しそうでした。異世界人であった建国王陛下、マコト、貴方も・・・・異世界人なの?元の世界に帰りたくて私達と一緒になれないから逃げようとしたの?私は貴方のことを何も知らない」
一気に喋り終えるとミナサリアは両手で顔を覆い、両膝を折り床にしゃがみ込む。声には出さないが彼女も泣いていた。
「ミナサリア、私は・・・」
マコトは視線を彼女達から外さずに口を開こうとした。
「ええ、そうよ。マコトは異世界人よ、でもそれがどうしたの?」
黙っていたアリシアが言う。
「マコトは異世界の品、知識を持っている。でも貴女達はそんな物ではなくヒイラギ・マコトという雄を好きになったのでしょう?そうでないなら今すぐに婚約を破棄して頂戴、この人は半端な気持ちの人には渡さない!」
そう言ってアリシアは椅子ごとマコトを抱き締めた。
「私はドリンドルの森の中で彼と出会った。ゴブリンに幼馴染み2人を殺されて私も死ぬんだ、と覚悟した直後に彼に助けられて私は雷に打たれたかのように直感したわ、私は彼が死ぬまで添い遂げてハーフエルフの人間よりも長い人生の残りを彼への想いと共に生きるのだと」
アリシアは身動きできないマコトに対してキスをした。
「マコトが秘密裏に『回天』という施設で何かをしていることは知っているわ。恐らく異世界に関するモノであるということも。でもおあいにくさま、貴方が例え異世界まで逃げてももう逃がしてなんかあげないから!マコトはもう私の物で、私も貴方の物なんだから絶対に追い詰めるから!」
キスしてからはマコト一人に対しての告白になった。
「アリシア、少し離れて、苦しい」
マコトはアリシアに促す。アリシアは素直に腕を緩める。
「アリシア、アレグリア公爵、ハイマン国王陛下以外には少しの人しか知らないがそうだ私は異世界人だ」
改めて言われ、ミナサリアとアナスタシアは動揺する。
「私は以前居た世界から事故のようなモノでゲシュタルト王国へとやって来た。元の世界では兵士のようなことをしていた。事故とはいえ私もむざむざと死ぬつもりもなく、スキルで使っていた武器に近い物を作成して冒険者になった。あとは君達も知っている通りだ。アリシア、『回天』についてはまだ話せない」
アリシアは頷く。
「今まで君たちを騙すような形になって本当にすまなかった。元の世界では私はこちらの下級兵士のような立場で平民だったんだ。だから複数の美しい女性と結婚することになりこんな魅力のない男が結婚して本当に良いのか?と不安に襲われて現実逃避しようとした。こんな情けない男と結婚できないなら婚約を破棄しても大丈夫だ。私が一方的に破棄したことにするから君たちの評判は傷付かないようにする」
ミナサリアはマコトを縛っていた荒縄を解く。そして、マコトの左頬を思い切り平手打ちした。
本当はもう少し書きたかったですが長くなりそうでしたので一度区切ります。応援、励ましの感想お願いします。褒められれば調子に乗りますw




