表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/356

25話 ドリンドルにて 13

 ドリンドルの街に帰り着き、冒険者ギルドを訪れる頃には夕方になっていた。

 冒険者ギルドに入ると何やら空気が重苦しかった。

 受付嬢と話しをして、その謎は明らかとなった。

 何とかの牙のマックスが厚顔無恥にも本当に、ギルドに対してマコト達が獲物を横取りして、更には武器を振りかざして成果まで横取りしたと訴え出たのだ。

 マックス達は仮にもCランク冒険者だ。ギルドもその訴えを無下に出来なかった。

 しかし、マコト達は、何処吹く風だ。ギルド裏手に回りマーカスのところにスタンプボア3頭、マッドボア4頭、オークナイト1体、オーク26体をアイテムボックスから取り出して提出した。勿論依頼書も忘れずに。

 マーカスは嫌疑が晴れるまで受け取れないと言おうとしたが、マコトは言いきった。

 「マーカスさん、貴方の解体職員としてのプライドにかけて査定をして下さい。貴方達は先日のビッグボアの致命傷を見ている筈だ。これらの獲物にその傷以外の刀傷等があるかきちんと調べて下さい。私達の無実は貴方達の腕にかかっています。」 

 マコトはマーカスを正面から見つめた。

 マーカスは髪の無いスキンヘッドの頭を掻きながら、

 「(おとこ)マーカスそこまで言われて黙っちゃ居られねぇ。しっかり査定をこなすぜ!」

 「宜しくお願いします。」 

 マコト達が、ギルドのロビーに戻ると、受付嬢のアリアが現れ、

 「マコト様、アリシア様、ギルドマスター室までお越し下さい。」

と言って来た。

 「何です?自分達は依頼を行って帰って来たところで疲れているんですが?」

 「そのご依頼についてです。」

いつの間にかギルド職員がマコト達を囲むようにして立っていた。

 「はいはい、分かりましたよ。ついて行けば良いんでしょう。」

 マコトは残りの6人に対して、すぐに戻ると告げて、アリアの後ろを歩き出した。



 ギルドマスター室に到着すると、アリアは、ノックして、

 「Dランク冒険者のマコト様とCランク冒険者のアリシア様をお連れしました。」

と告げた。

 「良いよ~。入ってもらって。」

 心無しかギルマスの声も不機嫌そうだ。

 「失礼します。」 

 挨拶して中に入るとギルマスの他に見たくも無い顔が5つ揃ってあった。

 「それで、マコト君この人達に見覚えは有るかな?」  

 ギルマスが問うて来たので、

 「今日の昼頃、オークに襲われていたので、承諾を得て援護した面々です。」 

 「嘘だ!!我々だけでオークは討伐出来たのに横取りして来たのは君達だ!!」

 「マックス君今話しを聞いているのは、マコト君に対してだよ。」

 「ギルドマスター、由緒有るプラス男爵家の次男の私とこの平民達どちらの肩を持つのかね?」 

 「ギルドはいつも公平な立場にあります。今回は指名依頼に支障が出そうなのでこのような場所を設けただけです。」

 「貴族である私が嘘を付くとでも?宜しい。では、衛兵に狩りの成果を盗まれたと被害届けを出そう」 

 マコトは反撃する。

 「それでも宜しいですが、その前にギルドマスター、こちらをご覧下さい。」

 マコトは、アリシアの被っていたヘルメットに装着された小型カメラと、アイテムボックスから取り出した液晶テレビとを接続して映像を流し始めた。

 「マコト君この動く絵は何かね?長年冒険者をしていたが、こんなアーティファクト見たことも聞いたことも無いよ。」

 「それは、秘伝ですからね。」

 「また、それかい?いっそ君の出身の村は古代文明の末裔と言われても信じるよ。」

 映像が進むに連れてマックス達がそわそわし始めた。場面は戦闘音を聞いて戦闘態勢に入った頃合いだ。

 アリシアが樹木の上を移動して戦場に到達した。そして、

 「こちらはドリンドル所属の冒険者だ!援護は必要か?」

とアリシアが叫ぶと、マックスが、

 「見て分からないのか?さっさと助けろ!!」

と叫び返したところでマコトは映像を止めた。

 「っとまぁ、我々は冒険者の流儀に従って戦闘に参加した訳です。」

 マックスは大声で、

 「しかしだ!我々の仕留めた獲物を横取りしたのは間違い無い!!これは事実だ!!」

 そこで、ギルドマスター室の扉がノックされた。

 「解体部門のマーカスですが、マコト様達のパーティーの提出した魔物の査定が終わりました。」

 「良いよ~、中に入って。」

 「失礼します。」

 マーカスがギルドマスター室に入って来た。流石に血塗れのエプロンは外している。

 「査定の結果、提出された魔物の致命傷はマコト様のパーティーの使う武器による物のみで、刀傷によるものは軽傷のみで有ることが判明しました。」

 「う~ん、ウチのギルド職員の証言もマコト君達の主張を裏付けている。マックス殿の主張は証拠がまったく無い。これでは、マコト君達に利が有るね。」

 「これは陰謀だ!!私を陥れる策略だ!!」

 マコトは追い打ちをかける。

 「では、衛兵に判断して貰いましょう。幸い今のドリンドルは王家直轄領。王家による厳正な審判が下されることでしょう。」

 「お、王家だと!?」

 「ギルドマスターとして、ウチの職員の証言とマコト君のアーティファクトの証拠としての有効性は保証しよう。と言うか僕が王家の一員だからここで判決を下そう。」

 『えええええっ!!!』

 「マコト君今更ながら姪のミナサリアを盗賊から救ってくれてありがとう。それではプラス男爵家の次男マックス、ギルドに虚偽の報告を行い、貴族の地位を悪用しようとした罪は重い。貴族としての地位の剥奪とギルドからの追放を申し渡す」

 「そ、そんな。」 

 「連れ出せ。それとギルドとしての処罰はパーティーメンバーにも及ぶ。」

 マーカスが、無言で、マックスを摘まむとギルドマスター室から連れ出した。

 モーラスが、言った。

 「これにて一件落着。しかし、マコト君良くあんな映像を用意出来たね?」

 「は、パーティーメンバーの教育の為に全員同じ物を身に付けております」

 「はぁ、やっぱりそうなっちゃうか。一応王家に籍は残っているけど、現国王に王子がいるから、居ないも同然の王族だから今までの通りで良いよ。但し内緒にね?」

 「分かりまし・・・分かった。これで良いのか。」

 「うんうん、その調子。どうせ若い頃から王城を飛び出した不良王族だからね」

 ちょうどマーカスが戻って来て、

 「それでは、買い取り査定ですが、スタンプボア3頭で300万円、マッドボア4頭で320万円、オークナイトが400万円にオーク26頭で5200万円総額が6220万円。白金貨62枚に大金貨2枚になります。」

 「だいぶ稼いだねぇ。いっそ軍団(レギオン)でも作って拠点でも買ったら?」





誤字脱字報告、感想、ブックマーク大歓迎です。応援宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  ギルドマスターの モーラスが 自分の出自を マコトに 秘密にするように 言っていたが この事は マコト以外の 鉱山都市ドリンドルに いる者 若しくは 関わっている 人間全員が 知っている …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ