239話 魔王 23
魔王編がちょっと想定より長くなっています。なんとかせねば!!仕事が忙しくて1週間に1話がギリギリです。週休2日が守られていれば、もう1作品ぐらい書けるのですが、休日出勤させられる。(T-T)コロナも収まらず、暑い中にマスクもう嫌になります。作者の愚痴でした。
旧アマゾニア王国 大森林地帯 森林火災現場から100km地点
そこでは、魔導動甲冑部隊が近接戦闘刀で、工兵部隊が爆薬を使用して樹木を伐採して森林に空白地帯を作り出して火災の延焼を食い止めようとしていた。幅50m、横2kmが既に切り開かれていた。そこへ空中戦艦比叡が到着する。作業をしていた公国軍の魔導動甲冑の操縦士も工兵部隊のドワーフ達を始めとした工兵達も手を止めて、その勇姿に見とれていた。
『勇敢なる公国軍将兵の諸君、自分は君達の最高司令官ヒイラギ・マコト・フォン・ドリンドル公爵だ。これより環境干渉魔法「恵みの雨」作戦を実施する為に君達の設営した地域を使わせて欲しい!これが聞こえていれば延焼地域方向と反対側に皆移動してくれ!!』
公国軍の公共周波数の無線と空中戦艦比叡の外部拡声器を使用したマコトの呼び掛けに、作業をしていた公国軍兵士達は一斉に移動を開始した。
空いたスペースに空中戦艦比叡が降下して、儀式魔法を行うエルフ達や機材、海龍ゾディアックの魔石等を降ろして行く。
そして、強い魔力干渉に対抗する為に、抗魔法装備に身を包んだマコトが降りて来る。
空白地帯の真ん中に海龍ゾディアックの魔石が置かれ、その前にマコトが立つ。それを囲むようにしてエルフの精霊魔法使い1000名が世界樹の枝を核とした短杖を構える。そして、彼らを護衛する為に重火器で武装した親衛隊500名が配置に就く。彼らは森林火災に追いやられて森林から現れる魔物対策として待機していた。
マコトもエルフ達も道中の艦内で配られた作戦概要のメモを必死に見直している。ここに集められたエルフ達は旧アレフガルド王国出身と言っても儀式魔法「恵みの雨」に参加するのは初めての者ばかりであった。増してや魔石の魔力充填役のマコトも初めての経験で緊張でガチガチであった。更にハイエルフ並の魔法耐性を得る為に抗魔法装備を全身に身に纏い移動も覚束無い状態であった。
腕時計で時間を確認していた武装親衛隊の中佐が拡声器で叫ぶ。
『作戦開始まで後3分!!』
作戦に参加する将兵はメモを読み返し、自分の役割に抜けがないかを確認する。
『後5秒!4・3・2・1環境干渉魔法「恵みの雨」作戦開始!!』
作戦はマコトの呼び掛けから始まる。海龍ゾディアックの魔石へと手をかざして呪言を唱える。
「魔力よ、大いなる自然に宿りし魔力よ。今ここに集いて形とならん。魔力よ、大いなる自然に宿りし魔力よ。今ここに集いて形とならん。」
ただひたすらに魔石に魔力が集まるように呪言を唱え続ける。始めは変化の無かった魔石だが、次第に風が渦巻き始めて魔石が光り出した。最初は鮮やかな青空色だった魔石の色が濃くなり始めて、5分もすると深い深海色へと変化していった。魔力濃度の濃さにマコトの周囲のエルフ達から体調不良者が続出する事態となった。
双眼鏡で魔石の状態を確認していた武装親衛隊の中佐が拡声器で再び叫ぶ。
『魔法詠唱部隊、詠唱開始!!』
10名程の脱落者を出したエルフ部隊だが、一斉に古代エルフ語による詠唱を開始した。海龍ゾディアックの魔石を中心に地面に魔方陣が浮かび上がった。精霊魔法に適性が有る者が見れば魔方陣の中を上級から下級までの水の精霊と風の精霊達が乱舞しているのが見て取れたことだろう。
しかし、詠唱により一時的に精神異常状態に陥っているエルフ達には、それを確認することができない。だが、空中戦艦比叡から特殊な魔法装備で状況を確認していた技術者達は大慌てであらゆる観測機器を使い儀式の記録を録っていた。
儀式は順調に進んでいた。しかし、ここで邪魔者が現れる。強大な魔力に惹かれた魔物達である。
「森の中から小鬼の群れ出現!!一部に中鬼等の上位種も確認、100匹を超えています!!」
「想定されていた事態だ。落ち着いて対応せよ、重機関銃班弾幕を張り近付けさせるな!!」
ドドドドドン!!ドドドドドン!!ドドドドドン!!ドドドドドン!!
森からは狂ったように小鬼達がわきだしてくる。
ズドン!! ズドン!! ズドン!!
空中戦艦比叡からの援護砲撃も始まった。
着弾地点では、小鬼、中鬼、戦闘鬼等の上位種も含めた魔物達が四肢をバラバラにして吹き飛んで行く。
儀式が始まり1時間程が経ち、薄い雲しかなかった大森林の上空に灰色の雨雲がかかり初めて来た頃それは現れた。
「下位竜種!!下位地竜だ!」
「まさか、下位とはいえ竜種が出るとは!!」
「2頭居ます!!番の模様!大きさは体長6m、500年級ですよ!」
「対戦車班前進、110mm個人携帯式対戦車弾用意!!1頭に同時に2発発射せよ!!1頭ずつ確実に仕留めるぞ!焦ってプローブを伸ばすのを忘れるなよ!」
「対戦車班、1班、2班準備ヨシ!!」
「目標、先行の下位地竜!発射!!」
「「発射!!」」
200m程離れた場所に居た、下位地竜に対して左右から挟撃する型で発射された弾頭は、1発が下位地竜が急にしゃがみ込んだ為に外したが、もう1発が頭部に命中して炸裂し、倒したが番のもう1頭は臆することなく突進して来たが再装填を終えた対戦車班の前に骸を晒すことになった。
2頭を下位竜種を撃破し終えたと同時に、公国軍将兵を雫が濡らした。そして、それは程なく大粒の大雨となっていった。
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