236話 魔王 20
コロナは収まる気配が見えませんね。自分の住んでいる地域では先日聖火リレーが行われましたがオリンピックもどうなることやら。前回質問したフリガナのやり方出来るようになりました。ありがとうございます。
ヤマト公国 公都 地下統合作戦指令本部
「テトの街の冒険者ギルドマスターと天駆騎士団の幹部の捕縛に成功し、身柄はモーラスギルドマスターに移管されました」
「テトの街の冒険者ギルドで回収された依頼の中にヤマト公国内を走る国営バスの襲撃計画書が有りました。国営バスに乗り込んでいる警護官に警告を出すと同時に増員を指示しました」
指令本部には各地から様々な情報が集まって来る。
「旧アマゾニア王国地域の森林火災はどうなっているか?」
火災が発生してまる1日が経とうとしている。参謀の1人がオペレーター達に問い掛ける。
「現在古き森まで約150kmの位置まで延焼を確認。小規模な飛び火による延焼は消し止められていますが、本命の延焼地域が依然健在です」
「現在は、古き森から50kmの位置に延焼防止の為の森林の空白地帯を造るべく、可能な限りの魔導動甲冑部隊と工兵部隊が森林の伐採作業にあたっています」
与えられた情報を吟味するかのように、マコトは腕を組み瞑想する。
「閣下、ここは以前使用した大型爆弾で空爆して真空状態を生み出して消火すべきです」
「私は反対です。延焼地域が広すぎる上に何発必要になるか分からない、その上で古き森付近では、火災によるものと思われる小規模な魔物氾濫が発生して防衛隊が戦闘中という情報もある。あの深い森をこれ以上刺激するのは不味いです」
「では、どうするんだ!魔導動甲冑部隊と工兵部隊が森林の木を1本1本切り倒して行くのを黙って待っているのか?世界樹は今後の外交戦略の要だぞ!今、失う訳にはいかない!!」
「分かっている、問題なのは下手に森を刺激すれば大規模な魔物氾濫が古き森を襲いかねんということだ!!」
「・・・・・以前、旧アレフガルド王国の戦後処理の資料に目を通していた際に儀式精霊魔法『恵みの雨』という枯れた大地に豪雨を降らせた魔法を旧アレフガルド王国が保有していたという記載があった。我が軍には旧アレフガルド王国出身のエルフも多い再現は可能か?」
マコトがボソッと参謀陣に問い掛ける。
「め、『恵みの雨』ですか?あれは王族のハイエルフが魔力を貯めて、多数のエルフがそれを媒介に水の精霊を集める大規模儀式精霊魔法です。王族が居ない現状、大量の魔力を集める方法が・・・・」
「海龍ゾディアックの魔石、アレならば代用可能なのでは?」
「た、確かに。魔力量ではハイエルフにひけを取らないと思いますが、制御できる者が居ません」
「自分がやろう」
「閣下自らですか?危険が大き過ぎます。閣下は魔法があまりお得意ではない筈では?」
「以前の洗脳魔法の1件で調べてもらったよ。潜在的魔力はかなりのモノだが、それを使いこなす技量がないと。しかし、今回は魔力を大量に集めれば良いのだろう?自分は適任だと思うが?」
「儀式精霊魔法は天候等にも影響されます。望んだ結果がすぐに現れるかは不明ですが?」
「ただ指令本部に詰めているだけではつまらないだろう?飛行戦艦を1隻用意せよ。ドリンドルの工廠からゾディアックの魔石を取り寄せるのも忘れるな。連れて行くエルフの兵はどのくらい必要だ?」
「古き森自体に多数のエルフが居ます。500人も連れて行けば充分かと」
「良し、準備の手筈は任せた。自分も執務室に戻って準備して来る」
「準備?何の準備ですか?」
「古き森にも魔物が押し寄せているんだろう?火災現場に向かえば、死に物狂いの魔物達が押し寄せて来る筈だ」
「・・・・!?やっぱり駄目で・・」
「準備よろしく!」
マコトは秘書官兼護衛の2人を連れて統合作戦指令本部室から出て行った。慌てて何人かの参謀が付いて行く。残されたエルフの参謀は、置いて行かれた怒りに拳を震わせながら、各方面へと根回しをして行く。
執務室に戻ったマコトは、ガンロッカーから防弾チョッキやボディアーマーや19式自動小銃カスタム等を取り出して装備していく。護衛官の2人も控え室で準備をしている。
「あ~、式に遅れないようにしないとな。ミナサリア嬢とアナスタシア嬢に刺されてしまう」
そんなことにはならないだろうと思いつつも、マコトは笑みを浮かべていた。
「さて、一丁やりますか!!」
本心ではぶっつけ本番に足が震えだしそうだが、マコトは護衛官の2人と合流すると飛行戦艦に搭乗するべく、滑走路へと歩き出した。
森林火災って、ニュースとかでヘリコプターから水を汲んで来たのを散布するのを見たことがありますが、焼け石に水ですよね。アレ?自衛隊にいた時にグランドに水の入った容器を用意してヘリコプターがそれを吊り下げて運んで行くのを見たような記憶が?テレビで見たのかな?はっきりしません。年ですねw




