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234話 魔王 18

お待たせしました。2週間振りの投稿です。会社が残業を強要してきて、とある事情から逆らうことも出来ず休日出勤の連続です。助けて~!!

 ヤマト公国領都ノースガルド ヤマト公国軍作戦司令本部 最高指揮官執務室


 「う~ん!?」


 執務室ではマコトが黒いきらびやかな軍服に身を包み、書類と格闘していた。


 ドンドンドン!!


 執務室の扉が、手荒く叩かれる。室内に待機していた秘書官兼護衛の2人の女性兵士が動き、1人がマコトを執務机の陰に押し込み、1人が扉の死角になる壁に背を付けて自動拳銃を抜く。


 「あ~、いいよ。そこまですることじゃあない」


 マコトが執務机に頭を突っ込みながら言うが、2人は警戒を緩めない。


 「閣下失礼します!!」


 1人の男性兵士が入室して来る。緑色を基調とした軍服、陸軍の将兵だ。護衛の1人が自動拳銃を背後から突き付ける。


 「官職、姓名を」


 冷たく言い放つ。


 「今は、それどころじゃありません!司令官閣下は?」


 「ここだよ~、ここ、ここ」


 マコトは執務机の後ろから手を振る。


 「閣下、何故そんなところに?緊急事態です!!」


 「緊急事態?結婚披露宴を2週間後に控えて全軍の警戒態勢を5段階の警戒レベルを上から3段目の準戦争態勢を取らせているんだよ?それより結婚披露宴のスピーチやら、引出物の輸送計画やらやること一杯で結婚式逃げようかな?どうおも・・・」


 「古き森(オールドフォレスト)近郊で戦闘です」


 「情報統括は統合作戦司令本部だな。今から向かう、警戒レベルを1段階上げて全軍に戦闘態勢を取らせて。行くぞ」


 マコトは机の下から這い出すと秘書官兼護衛の女性兵士2人を引き連れて執務室を後にする。先頭は執務室に連絡にやって来た男性将校だ。2人の兵士は自動拳銃を手にしてマコトの左右をかためつつ、1人は携帯無線でマコトの指示を各関係部署に連絡する。

 階段を下りてエレベーターに乗り込む。男性将校が階層のパネルを複雑に操作するとエレベーターは下層に向かって動き出す。


 エレベーターは10秒程で目的地に到着した。厚い自動扉の前には完全武装の短機関銃(サブマシンガン)を手にした憲兵2人が立って居た。マコトの顔を確認すると指紋認証機を使い、扉を開放する。


 マコト達が中に入ると扉はすぐに閉まった。そこは既に統合作戦司令本部であった。100人近いスタッフが居て、情報の収集や分析にあたっている。

 正面の大型ディスプレイには、今まさに空戦中と思われる制空戦闘機のパイロットカメラの映像が音声付きで映し出されていた。


 「FOX2、FOX2!!」


 パイロットカメラの端をミサイルが白い帯をたなびかせながら直進して行く。

 

 ド~ン!!


 スピーカーからわずかにミサイルの爆発音らしきものが聞こえる。近接空戦(ドッグファイト)をしているのか?


 「状況説明を」


 マコトが説明を求める。

 眼鏡をかけた女性エルフの将校が進み出る。ライトブルーの軍服、空軍の将校だ。しかし、目が命のエルフに眼鏡をかけさせるとは相当激務なのだろうな。後で何らかの気持ちを差し入れないとな。

 マコトの視線で察したのか女性エルフは、


 「あ、この眼鏡は伊達です。似合うと言われたものですから。状況を説明します、2時間前に旧アマゾニア王国方面の空域を警戒中であった空中管制機(スカイホーク)が領空侵犯する天馬乗り(ペガサスライダー)17騎を発見。付近を哨戒中であった魔導動甲冑小隊を対応に向かわせました。また、空中管制機(スカイホーク)からの報告を受けた方面軍指令部は2機の制空戦闘機とバイパー多目的攻撃ヘリ4機の増援を指示しました。その後、目標を捕捉した魔導動甲冑小隊の外部スピーカーにより警告を実施したところ、目標は個別に逃走を開始その為これ以上の侵犯を防ぐべく実力行使に出ました。応援部隊も間もなく到着し、現在正面ディスプレイに有りますように空戦中であります。しかし、魔導動甲冑小隊の1機が森林から黒煙が上がっているのを発見。その位置が各目標を撃墜した箇所と一致したことから目標が何らかの可燃物を搭載して領空を侵犯したものと思われます」


 マコトは少し考え込むと、


 「天馬乗り(ペガサスライダー)の所属は?」


 「映像解析から冒険者ギルド、銀級、軍団(レギオン)天駆騎士団に間違いないと思われます。また、同 軍団(レギオン)のホームのあります街の冒険者ギルドにて未確認情報ではありますが、イージス聖教国教会が依頼者の我が国への攻撃を示唆する依頼が掲示されたという情報があります。同様の報告は複数に渡ります」


 「戦闘地域と古き森(オールドフォレスト)の距離は?近いのか?」


 「およそ200kmになります。火災地域は広がりつつあり、影響が出るのは避けらないかと・・・・」


 「・・・・。ゲシュタルト王国へ連絡すると同時にこれより指示する命令をヤマト公国においても行うように。冒険者ギルドは冒険者の活動の支援と公共の安全の為に在ると謳いながら、一部の国家権力と癒着し他国侵攻の手助けをした。これは重大な冒険者ギルド憲章違反である!!よってS級冒険者ヒイラギ・フォン・マコト・ドリンドルの名のもとにヤマト公国とその意思に賛同する国家において冒険者ギルドの一時閉鎖を実施するものである!!この宣言を各国へと急ぎ通達せよ!尚、同人の結婚披露宴は予定通り2週間後に行うことも合わせて通達せよ」


 「閣下、それでは冒険者ギルドと敵対することになりますがよろしいので?」


 「私がここまでの地位を得るきっかけとなった組織だが敵対するというならば容赦はしない。天駆騎士団だったか?そのホームと依頼を掲示した冒険者ギルドをいつでも制圧できる準備はしておけ。あと、閉鎖の際はなるべく死傷者は出さないように念押ししておくように。我が国の機嫌伺いにギルドを焼き討ちする国も出かねん」


 「了解しました」


 「冒険者ギルドには各施設を結ぶ魔導通信機があるという。果たしてどのように動くか・・・・・」











冒険者ギルドと対立姿勢を打ち出したマコト。冒険者ギルドはどう対応するのか?次回をお楽しみにください。誤字脱字報告、感想、評価、ブックマーク大歓迎です。作品を読み終わった下の⭐⭐⭐⭐⭐で評価ができます。どうか5つ星でお願いします。

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