230話 魔王 14
イージス聖教国編(仮)もいよいよ本題に入って参りました。いかにして強大な宗教国家であるかの国と対峙するのかお楽しみに。世間ではサクラの開花宣言が続いておりますが今年もコロナの影響で歓送会や花見の自粛が叫ばれています。お財布には良いですけど、寂しいですね。
イージス聖教国の大司教はパニックになっていた。
「か、か、か、開戦じゃと!?貴様、我が国がどのような状況にあるのか知らんのか!!」
アリシアは用意されたヤマト公国産のコーヒーを飲みながら頷いた。
「いえいえ、勿論存じあげておりますとも。小国に宗教戦争を仕掛けて魔法の才能のある少年の村を焼き討ちして、その少年が魔法の才能を開花させて魔物とレジスタンスと共に貴国に反撃していることはね?そして、その哀れな少年を魔王と称して他国からの援軍を得ていることを。連合軍を構成している国々の首脳部が聞いたらどのように思うでしょうね?魔王とは家族を奪われた戦災孤児だと聞けばね」
「き、貴様、なぜ教団幹部しか知らないその情報を?」
アリシアは、カップを置くと、
「聞いたんですよ。恥知らずにも勇者召喚という他世界からの誘拐行為をして勇者を洗脳して操ろうとした貴国の枢機卿殿にね」
大司教はテーブを叩いて立ち上がると坊主頭を真っ赤にして怒鳴り出した。
「聖都でのあの騒ぎは貴様らの仕業だったのか!!」
ポン!とアリシアは自由になった両手を打ち合わせると、
「そう言えば開戦の理由がもう1つ有りましたね!勇者の誘拐行為と洗脳未遂ですよ。勇者本人にも被害申告の意思が有りますからね。我が国は代わりに制裁を下しますので」
大司教はますます激高していった。
「そんなものが理由になるものか!!」
アリシアは、視線を細めると大司教を睨み付ける。
「ところで、貴方のような雑魚に教えるのも強腹ですが貴国に伝わる勇者の特徴とは?」
「いきなり何を・・・?黒目黒髪、不思議な異国の衣を纏い神から祝福されし強大なスキルを操りし・・・・!!??」
「そう、貴方の知る人にも1人居らっしゃいます」
「き、き、貴様等の主が勇者だと!?」
「厳密に言えば少し違うけど、まあ似たようなモノかな?」
「あ、あり得ん、断じてそのようなことあり得ん!!!」
「貴殿らがどのように思うか何て関係無い、彼は同郷の者を守る。武力を行使してでも」
「アヤツが勇者だと言うのであれば、救わねばならないのは神に祝福されし我がイージス聖教国だろう!!」
アリシアは面倒臭そうに、
「あんたらの国が神に祝福されたって証は?聖遺物のほとんどは他国からの略奪品でしょう?神聖魔法とか言っちゃってる魔法は、水、火、土、風、の四大属性と光と闇の属性魔法、そして精霊魔法の内の水魔法と光魔法をそれっぽく言っているだけじゃないですか」
「き、貴様~!!」
アリシアは追い討ちをかける。
「今度、あの方とゲシュタルト王国王族との結婚披露宴が執り行われるけど、イージス聖教国からは1人も招待しないから。そして、その式典で発表するヤマト公国の国教を八百万の神々を信仰する世界樹教とすることを。聖地は世界樹の存在する我が国の都市オールドフォレストです。貴殿らが世界樹の雫欲しさに間者を送り込もうとしていた都市ですわ」
「ウグ!!」
「それと同時に貴国の悪行も全て白日の元にさらす。貴国を支持する国がどれだけ残るか見物ですわね」
「わ、我々には長い年月の実績と信仰がある、そのようなにわか宗教すぐにボロが出て・・・・」
「世界樹教には高位の術者が命を削らねば行えない部位欠損の回復が代償無しに行える、勿論代価はかかりますが」
「ぐぬぬぬぬ!!」
「同じ、「神の奇跡」でも信じるのと目の前で実践されるのとでは寄付をする者達の印象も段違いでしよう?」
「待ってくれ!その発表、中止にするつもりはないか?金なら払う!!」
「いつまで上から目線なのですか?宣戦布告と新宗教の発表は1ヶ月後の予定です。貴方にできることは事実のみを聖教国上層部に報告することだけで嘘偽りを報告してもすぐに分かってしまいますわ?」
「き、貴様は何者のつもりだ!このようなことをして只で済むとでも・・・」
「衛兵、客人はお帰りだ。丁重に玄関までお連れしろ」
客室の扉を開けて全金属鎧の騎士が2人現れてイージス聖教国の大司教を脇を抱えて引き摺って行く。大司教は何かまだ叫んでいたが扉は閉じられた。あのまま帰国しても大司教の首は危ういだろう。それはイージス聖教国全ての幹部に言えたことだが。
いよいよ、転位者であることを公的に明かして聖教国と対峙するマコトとそれと共に迫る結婚披露宴。婚約発表は既に根回し済みということで特に回を設けませんでした。しかし、結婚披露宴は知人や兄弟のに参加経験があるのみで自分にはありません。上手く表現できるだろうか?応援宜しくお願いします。




