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23話 コダの森にて 5

 「HQよりA2、目標はそちらに向かっている視認できるか?」

 「A2、確認。狙撃します。」

 パーン

 進行方向の遠方から銃声がした。

 「A2より各ユニット、目標ヘッドショット、ダウン確認を。」 

 「HQ了解。B2確認を。」

 「B2了解。」 

 


 今マコト達は、コダの森で追い込み猟をしていた。

 スキルマップ作成で、適当な獲物を見つけるとB班とC班とで、狙撃ユニットのA班の待ち構えいる箇所まで追い立てて、狙撃で仕留めている。

 今追い立てていたのは、Dランクのスタンプボアだ。

 以前仕留めたビックボアの子供のようなものだが、それでも大型犬程はある。


 パーン

 銃声が、B2ユニットが向かった方角から、聞こえた。

 「B2より各ユニット、瀕死であった為止めをさした。危険無し。」

 「HQ了解。回収に向かう。C1、現在位置で待機。3時の方向に獲物が居る距離約200m。」

 「C1了解。待機する。」

 「HQから各AユニットB2と彼我の位置が分かるユニットは居るか?」

 「こちらA3、B2はHQの1時方向200mの位置。」

 「HQ了解。」

 マップ作成のスキルを使えば、各ユニットの位置はすぐに分かるが、訓練の為に時折こうしてユニットの技術向上を計る。



 「HQより各ユニット目標回収。次の目標に移る。C1、方位変わらず距離170mマッドボア。Aユニット方向に追い立てろ!」

 「C1、了解。威嚇射撃を開始する。」

 タタタン!

 「B3、そちらに向かった!!」

 「B3了解。」

 タ、ターン!!

 「良し、A3、そちらの射界に入った。目視したか?」

 「A3、了解。射撃する。」

 ターン、ターン!

 外したのか?連続する銃声にマコトは思った。

 「A3より各ユニット、ハートショット、ダウン。いや、動き出した。B3に向かっている!!」

 「B3了解。射撃態勢に入る。今入った射撃開始。」

 タ、タン!!

 「B3より各ユニット、ヘッドショット、キル。HQの到着を待つ。」

 マッドボアはスタンプボアと同じような体躯だが、名前の通り何時も泥を身に纏っている為にA3は視界が鈍ったのだろう。マコトはそんな事を考えながらB3の元に向かった。


 「この周辺の食用可能な魔物は大体狩り尽くした。午後より狩場を変更する。大休止に入る。昼食だ。」

 午前中にスタンプボア3頭、マッドボア4頭を狩った時点で正午近くになっていた。

 普通の冒険者ならば切り上げるところだが、マコト達には狩猟を続けることが出来た。

 1つは、獲物の量だ。大型犬程もある獲物を7頭も8人では運べないがアイテムボックスがある。

 1つは、銃火器の使用による体力の温存。

 1つは、メンバーの殆どが森の民であるエルフである点。

 1つは、マコトのマップ作成のスキル。

 以上4つの理由のおかげで、マコト達は他の冒険者より有利な状態にあった。

 昼食は、屋台で買った焼肉と野菜のパン挟み、要するにサンドイッチだ。

 マコトは昼からもコダの森の中層に沿って狩りの範囲を広げるつもりでいた。

 因みに、この世界のエルフは肉を食べた、それも好んで。

 マコトの漫画やアニメから得たエルフのイメージだと、森に住み、火や肉食を嫌い、鉄等の金属を身に付けるのを嫌う。っとあったが、実際には人と変わらず肉も食べたし、金属製の鎧を身に付けていた。アリシアに一度聞いて見ると、菜食主義のエルフも少数派ながら居るが、後の事はそれで、どうやってまともな生活を送るのかと、逆に呆れられてしまった。

 異世界の意外な知識は、置いておいて、マコト達は2時間の大休止をまったりと過ごしていた。

 しかし、1人のエルフが戦闘の金属音がすると言い出した。

 1人が言い出すと他の者達も言い出し、マコトはマップを確認した。

 すると、普段使っている周辺500mを写し出すマップの端に人間と魔物が戦っているのが分かった。魔物はまだ出会った事の無い種類なのか詳細は分からないが30体は居る。対して人間は5人程だ。

 事前の情報と戦闘に金属製の武器を使うという情報から魔物はオークと思われた。

 ただ30体のオークを相手にするなら完勝する自信があったが、人間の冒険者と思われる勢力と混戦状態だ。冒険者にも、仲間にも犠牲者を出さずに済む自信は無かった。

 しかし、仲間達は情報を耳にするや、移動の準備を始めていた。アリシアがトコトコとやって来て、作戦は?っと聞いて来た。

 仲間達は迷い等無かったのだ。



 マコト達は走り出していた。A班は少しでも有利なポジションを確保するために

樹木上を移動していた。残りのマコト、B班、C班は地上を駆けた。

 先行したA1、アリシアから一報が入った。やはり、冒険者とオークの戦闘のようだ。オークナイトは1体だけオークの壁の向こうに居るようだが、普通のオーク相手でも、数の差で防戦一方のようだ。

 「HQよりA1、冒険者達に援護は必要か呼び掛けてくれ。冒険者の礼儀だからな。」 

 昔から問題になることだが、冒険者と魔物が戦っている最中に援護のつもりでも割って入ると、獲物の横取りだと後で揉めることがある。

 そこで、ギルドでは、割って入る前に一言戦っている冒険者に呼び掛けることを推奨している。

 「A1、了解。」

 暫し無線が途切れる。呼び掛けているのだろう。

 「A1よりHQ、「さっさと助けろ」だそうです。」

 「良し、各ユニットオールウェポンズフリー。A1オークナイトを狙撃出来るか?」 

 「A1よりHQ、肯定。」

 「良し良し!!各ユニットA1の狙撃と少し遅れて突入するぞ。大将が殺られて混乱したところを叩く!!A1始めろ!!」

 「A1了解。フェイスショット、ダウン。」

 「良し、5カウントで突入する!5、4、3、2、今!!」

 3丁の狙撃銃、4丁の自動小銃、1丁の軽機関銃が30体のオークに向かって放たれる。

 タタタタタン、タンタン、ターン、タタタタタン、タタン、タン。

 2~3分程だろうか銃声のハーモニーの後に残されたのは、数十体のオークの死骸と冒険者と接近していた為撃てなかった数体のオークのみだった。

 そのオーク達も数が劣勢になると冒険者達に討ち取られていった。


 

 戦後処理で銃創のあるオークとオークナイトとを集めてアイテムボックスに収納していると冒険者の代表らしき人物がやって来た。

 「やあ、援護ありがとう私は飢狼の牙のCランクのマックスという。」

 「Dランクのマコトだ。」

 ランクを聞いてマックスの目がイヤらしく濁った気がした。

 「え~、援護の際は倒した魔物は倒した冒険者の物だというのは分かっているかなぁ?それからすると、少し君らの取り分が多過ぎるんではないかと私は思うのだが。」

 マックスの仲間達も集まって来て、俺は5体は倒した。イヤイヤ俺こそ6体倒した等と言い出し、マコト達は殆ど倒して無いような数字を言い出した。

 マコトは黙ってオークナイトの死骸をアイテムボックスから取り出すと、マックスの前に投げ出した。

 貰えるものと近付いたマックスは後ろから伸びた腕に首を絞められた。

 「な、何をする!?」

 「顔面を良く見ろ。一撃で仕留めている。お前達の中に同じように出来る奴が居るか?」

 腕をほどきマックスを解放するとオークナイトの死骸をアイテムボックスに収納する。

 「貴様~、人が優しくしてやれば図に乗りやがて!!」

 「優しく?泥棒の間違いだろうが。」

 「この事はギルドにも報告してやるからな!!」

 マックスは捨て台詞を吐くと仲間達が解体したオークを担いで森の外へと向かって行った。

 

 アリシアが近付いて来た。

 「どうしたの?揉めていたみたいだけど?」

 「何でも無いさ、ちょっと面倒になるかもしれないけど。」






 

 

 

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