223話 魔王 7
コロナの非常事態宣言解除されるんでしようか?実は自分も熱が続き、もう少しで保健所のお世話になるところでした。ただの風邪でも最近は会社がうるさいですからね。
皆さんも気を付けて下さい。
小都市国家連合領 港湾都市郊外
夜になりヤマト公国軍所属の空中戦闘艦は、哨戒中の空中駆逐艦1隻を除き全ての艦が集結して錨を下ろしていた。
地上には臨時の数万の兵士を休ませる為の野営地が設営されていたが、司令部は収容能力に余裕のある空中空母艦内に設けられていた。マコト達は、その空中空母艦内の大会議室内に集まっていた。集まったのは各艦の艦長、参謀級、地上部隊の指揮官や、その参謀達であった。
大会議室内と言っても、数万規模の軍勢の頭脳が集まっており、本来ならば30人は余裕で集まれる室内も手狭に感じられて、多くの将官が立って会議に参加していた。
「諸君、今夜は良く集まってくれた。まずは短い期間とはいえ最高司令官たる自分が戦場を離れたことを謝ろうと思う。すまなかった」
マコトは、頭を下げた。しかし、マコトが戦線から離れることは事前に協議されており、将官達に動揺はなかった。
「イージス聖教国での作戦行動について報告しよう。結果から言えば勇者召喚の儀式は妨害することが出来なかった」
ここで、将官の一部がざわめき立つ。
「しかし、勇者の身柄はこちらで保護することに成功した。紹介しよう、神宮寺桜嬢だ」
マコトは背後に隠れるように立っていた少女を、自らの横に立たせる。彼女のセーラー服は一度洗濯に出されて綺麗になり今回の御披露目の為に着てもらっていた。
「し、神宮寺桜と言います。こちらでの言い方だとサクラ・シングウジになります。お世話になります!!」
そう言って、お辞儀をするとマコトの背後に隠れてしまった。将官達からは、まばらに拍手が起こり、自然と全員が拍手していた。
「こちらの世界に来て、まだまだ知らない事ばかりだろうから彼女の身柄はしばらく鉱山都市ドリンドルの新兵訓練場に預けようと思う。年齢の近い者も多いし、座学で一般教養も行っているし、彼女の勇者としての資質も図ることができるだろう」
御披露目が終わり、彼女は大会議室内から連れ出された。
「諸君!くれぐれも彼女の存在は極秘で頼む。イージス聖教国も現場に居た者達は全員死亡しており、勇者召喚の儀式の成果の可否も分からない筈だ。我々の介入も当然疑っているだろうが、召喚の儀式の遺跡に居た聖教国の関係者は全員死亡するか捕縛した為に証人は居ない。遺跡も跡形も無く吹き飛ばしたからな。こちらを追求することはできない筈だ」
将官の1人が手を挙げる。空中戦艦の艦長の1人だ。
「質問を許可する」
マコトが告げる。
「はい!ドリントの魔王とイージス聖教国の戦はどのような状況なのでしようか?」
「魔王の侵攻速度は早く、既に聖教国の領土の半分を占領しているようだ。聖都カラバから教団首脳部は脱出しており、隣国に亡命政権を立てるつもりのようだ。魔王の侵攻は、聖教国第2の都市マルスで援軍に来たイージス教を国教とする国々の軍勢とにらみ合いになっているようだ」
「我々は介入しないのでしようか?」
マコトは首を振ると、
「確かに、聖教国は我々に取って目の上のたんこぶだが、魔王軍の目的も分からない状態では迂闊には動けないな。親聖教国の国々を敵に回すのも面倒だ。そこら辺は諜報部隊が調査中だ」
「了解しました」
将官が席に座ると、マコトは手を叩き、話題を変える。
「では、これからは、この港湾都市を襲っている魔物対策についての話しをしようか、参謀総長説明を」
エルフの女性参謀がマコトの横へと進み出る。彼女は先の戦で戦死した参謀の後任であった。
「ハッ!説明させて頂きます。現在この港湾都市を攻め立てているのは、魚人、サハギン、リザードマンといった両生類系の魔物約2万とシーサーペントといった水棲系の魔物数百、そして海龍ゾディアックです。この中で一番厄介なのが海龍ゾディアックになります。1000年近くを生き、その知恵は人間に近いとも言われており、獲物に襲いかかるまでは海中に潜み、その姿を晒しません。前回の戦闘で魔導動甲冑部隊が片眼を奪うことに成功しておりますが、水中に設置したソナーによると、まだ近海に潜んでいる模様です」
説明が終わると、マコトが立ち上がった。
「ありがとう参謀総長、現在の状況は以上だ。そこで魔物を叩く為に港から1kmまでの地点を無人地帯として、このエリアをキルゾーンとして上陸して来た魔物を殲滅する。海龍ゾディアックには既存の兵器が効きにくいということで、こちらを用意した」
大会議室の机の上に設計図を広げる。
「対水中大型魔物兵器、魔導爆雷。Cランクの魔石を使った兵器で海中に投入した後に、一定以上の魔力を感知すると炸裂するようになっている。これを10個用意したので、これで海龍ゾディアックを海面に浮上させて電磁投射砲で仕留める!!」
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