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220話 魔王 4

遂に、再度の緊急事態宣言が出てしまいましたね。また、給付金が出ると良いんですが?どうなることやら。

 聖都カラバ郊外の廃墟


 「跳弾に配慮しつつ、撃ちまくれ!!」


 小さな体育館程の広さの広間に100人近い人間が密集して混戦となっていた。

 19式7・62mm自動小銃には浸透任務の為に消音器が取り付けられており、広間に響くのは、イージス聖教国の聖騎士の叫ぶ雄叫びだった。

 既に30人近い数が撃ち倒されているのに、その数は減ったようには見えない。恐らく、野営地の人員も叩き起こされているのだろう。


 『地上部隊より待機中の空中駆逐艦へ、廃墟周辺の野営地を吹き飛ばせ!その後残りの部隊を降下させて、敵の増援を叩け!』


 『こちら、空中駆逐艦白波、了解!!』


 すると、マコト達が交戦している広間まで聞こえて来る轟音が廃墟を包み出した。

 イージス聖教国側は慌て出して、聖職者達が呪文の詠唱を始めた。待ってやる義理は無い。


 「敵後方の魔法使いを優先して攻撃せよ!」


 敵陣後方の白い衣服を着た聖職者達が倒れ出す、しかし、イージス聖教の狂信者達は倒れながらも詠唱を続けた。


 「ホーリーランス!!」


 「エナジーボール!!」


 「治癒(キュア)!!」


 しかし、唱えられた呪文に統一性は無く、攻撃魔法から治癒魔法まで様々であった。暗闇に一応、聖魔法になるのだろう。白い魔法は目立ち、簡単に回避することができた。治癒魔法で地面に這いつくばって居た聖騎士も数人が起き上がり再びマコト達に向かって来た。

 そんな膠着状態が20分も続いた頃だろうか?敵陣の後方から聞き慣れた銃声が聞こえ出した。


 『手榴弾(グレネード)!!』


 ドン!!隣の間つまり、勇者召喚の儀式の間から数人の聖騎士達が吹き飛ばされて来た。既に絶命している。それに続くようにして、黒い装備に身を包んだ、ヤマト公国軍の兵士達が姿を表す。


 「撃ち方止め!撃ち方止め!」


 マコトは周辺の第1班の兵士達に射撃中止を命じる。同士撃ちなんぞ真っ平ゴメンだった。マコト達と対峙していたイージス聖教国の聖騎士や、聖職者達はあっという間に殲滅されていった。

 降下して来た第2班であろう援軍は、敵を死者と負傷者に分けて拘束していった。

 1人の将校がマコトの方へやって来る。


 「第2班第2小隊のアームストロングであります。廃墟周辺及び、内部はほぼ制圧しましたが、聖都カラバの方角で松明(たいまつ)とおぼしき光が多数確認されて数が増加しつつあるとの上空の白波(しらなみ)からの報告です。それと・・・・」


 アームストロングが何か言いたげに、召喚の儀式の間を振り返る。

 マコトは、嫌な予感がしつつ、先程まで戦闘をしていた広間を出て、隣の儀式の間へと歩いて行った。

 そこには、ヤマト公国軍の兵士に囲まれた1人の少女が気絶して横たわって居た。服装はセーラー服であり、革鞄も落ちていた。

 マコトは、黙って召喚の儀式の間の壁を力任せに殴った。レベルアップによる身体強化されたマコトの拳は、石の壁に穴を開けていた。


 「すぐに、担架を用意して移送せよ。なるべく女性兵士で対応するように。意識が戻れば、すぐに自分を呼ぶように。撤収だ!!」


 マコトの周囲では、工兵達が召喚の儀式の間に遺された魔法陣を撮影したり、神具を回収したりしていた。


 「何か分かりそうか?」


 工兵隊長は首を振ると、


 「我々の把握している魔法や、精霊魔法とは全く違う系統の魔法ですな。幸いなことに魔法陣は無傷で記録出来ましたし、祭神具もほぼ確保出来ました。再現しろと言われてもほぼ再現できるでしょう」


 「分かった。敵の増援が迫りつつある。急いで撤収だ。爆薬の設置を急がせるように指示するように」


 「了解しました!」


 マコトは空中駆逐艦白波との合流地点に向けて歩き出していた。そして、歩きながら独り言を口にしていた。


 「ジークハルト、自分、長門楓に新たな少女か・・・死神達の管理機構は何をしているのだ?イヤ今回の件はイレギュラーなのか。しかし、地球とこの世界を結ぶサンプルが手に入ったことは彼女には悪いが運が良い」


 いつの間にか、最初の降下地点へと戻っており、証拠隠滅の為にパラシュートが焼却処分されていた。


 ド~ン!!


 遥か後方から爆発音がした。召喚の儀式の間の魔法陣が爆破処理されたのだろう。

 空中駆逐艦白波が前部と後部の格納庫ハッチを開けて、人員を迎え入れて居た。

 十数人のイージス聖教国の捕虜も見える。彼らは自決や、自爆を防ぐ為に口がふさがれていた。


 「今回の件は作戦としては失敗だが、自分の目的達成の為に大きな一歩となるだろう」


 思考の海へと沈もうとしていたマコトの元へ、1人の女性兵士が走って来た。


 「司令!保護した少女が医務室で目を覚ましました!!」


 「分かった。今から向かう」


 さて、話しの通じる人物であれば良いが。翻訳機能はしっかりと働いてくれるかな?それとも、自分達が普段話しているのは日本語なのか?悩みどころだな。

 そんなことを考えつつ、マコトは白波の医務室へと向かった。






 

召喚の儀式阻止は失敗してしまいました。彼女はいったい何者何でしょうか?これからもどしどし応援宜しくお願いします。感想を頂けると作者が喜びますw

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