214話 大改革 11
GoToもいろいろ言われて大変ですね。感染者も増えてどうなることやら。
葬送曲塹壕陣地 最前線
「クソ!!野戦司令部と無線が通じないぞ!」
「先ほど敵軍が停止したのと関係があるのでしょうか?」
「分からないが、我々の任務は陣地の死守だ。巨人共は重戦車が相手してくれているが歩兵が2万以上接近中だ。奴らを撃退しなければならない!!各部隊に配備されている迫撃砲は何門有る?」
「81mm迫撃砲が60門程かと!」
「全部隊に連絡して距離の有るうちに砲撃開始せよ!その後、阻止射撃戦闘を開始する」
「敵陣両翼より騎馬兵が突出!我が陣地を迂回して後方に回り込む気です!!」
「12・7mm重機関銃で阻止線を張らせろ!絶対に迂回させるな」
「報告!迫撃砲による攻撃により軽装歩兵に混乱が見られますが、中央の重装歩兵は盾をかざして幾つかのファランクス陣を組み、前進しています!」
「傭兵は?事前情報によると4000程居た筈だが?」
「それについては情報分析班からの報告が。深夜に敵陣を抜け出す多数の人影がドローンにより確認された為に一部を捕虜にしたところ、多くが傭兵として雇われた冒険者で、相手が我々、軍団、葬送曲と知り脱走していたそうです」
「と、なると当面の敵は騎馬兵と6000の重装歩兵か・・・」
「で、伝令!!敵巨人の攻撃により野戦司令部は倒壊したとのことです!各部隊は当初の作戦指示に従って敵を撃退せよ。との事です」
「な、司令は?司令官はご無事なのか!?」
「はい、司令官はご無事ですが、司令部の倒壊に数人が巻き込まれて救出作業の指揮を取られています」
「了解した。行って良し!」
「では!!」
伝令の団員は敬礼をすると走り出す。
「大隊長、我々からも救出部隊を出すべきではありませんか?」
「野戦司令部に詰めて居た団員は多くない筈です。応援を!」
「ならん!!司令官殿は戦闘を我々に一任して下さったのだ。我々はそれを確実にやり遂げねばならない!」
熱くなっていた団員も冷静さを取り戻した。大隊長の握り拳からは、爪が食い込んだのであろう、出血していた。
「申し訳ありません、野戦司令部には大隊長の同期もおられますのに」
「せめて、我々も巨人共を攻撃しましょう!84mm無反動砲や110mmパンツァーファーストⅢならば巨人に致命傷を与えられる筈です」
「「大隊長!!」」
「・・・・良かろう。重戦車だけでは駆逐に今しばらくかかりそうだからな、援護してやるとするか?」
「「ハイ!!」」
「報告!敵騎馬兵、12・7mm重機関銃のキルゾーンに無警戒で入り込み、壊滅、逃亡したのは10騎にも満たないだろうとの事です!」
「良し、これで我々は前方に集中することができる」
「敵、重装歩兵の全てが、塹壕陣地から距離500m圏内に入り込みました。一部の軽装歩兵およそ5000がファランクスの影に隠れるようにして接近中です」
「敵はおよそ1万、こちらは3000か・・・」
「一気に蹴散らしてしまいましょう!!」
「火力の差は歴然です!」
「・・・・撃て、地獄を顕現せよ!!」
『発砲許可!全火力使用許可!!』
『撃て、撃て、撃て!!』
塹壕陣地の各所に隠蔽されていた銃座から、5・56mm軽機関銃、12・7mm重機関銃、19式7・62mm自動小銃、84mm無反動砲等が放たれた。
12・7mm重機関銃の集中射撃を食らい、盾をかざして作られたファランクスは無惨に崩壊し、盾に隠れていた重装歩兵の命を奪う。隠れる場所の無くなった軽装歩兵は槍や剣を握りしめて陣地に突撃して来るがたちまち、5・56mm弾、7・62mm弾の雨を浴びて地面に倒れ伏す。
丸太のような棍棒を振りかぶって単眼巨人が走り出したが、逃げ場を奪うようにして放たれた84mm対戦車榴弾砲の直撃を受けて爆発四散した。
総攻撃の開始命令の10分後、立っている小都市国家連合軍の将兵は皆無となった。わずか10分で1万を超える人命が失われたことになる。
『残敵掃討!!』
大陸共通語で、降伏勧告が行われた後、戦場の掃討が行われる。これは、死体処理の際に死んだふりをしていた敵兵による不意討ちを避ける為だ。
その結果50人程の小都市国家連合の将兵が降伏したが、無傷の者は居らず、皆何処かしら負傷していた。
すぐに野戦病院に運ばれて、薄められた世界樹の雫による治療を受ける。これは小都市国家連合の将兵の為ではなく、治療の為に手足の切断等して軍団の医療関係者がPTSDにならない為の配慮である。
その頃には野戦司令部の救出作業も終了していた。重軽傷者5名・・・・死者1名。戦死したのはマコトと度々戦場を共にしたエルフの少佐の参謀だった。
それは、軍団にとっても初と言っても良い死者だった。いつだったか軍団、葬送曲は不死者の軍団だ。だから死者がいないのだ。という何の根拠も無い噂が流れる程に死者が出ない軍団だった。武器が銃というこの世界ではオーバーテクノロジーの塊であることも含めても尚、死者が出ない理由が有った。それは異常なまでの事前情報の収集と分析に有った。魔法と科学の力をこれでもかと使い、情報を集めて分析した上で安全マージンをしっかりと取り相手に対処して来た。
今回の死者の理由はイージス聖教国という国家が隠れて小都市国家連合という国家を援助したことが理由だ。いわばズルだ。しかし、戦争にズルもへったくれも無い。負けるべくして負けた。情報不足で。
翌日、小都市国家連合を構成する8個の都市にビラが空中からまかれた。内容は
宣戦布告に関係の無い国家の介入を招き入れいたずらに戦禍を広げたことへの報復の宣戦布告であった。小都市国家連合首脳部は今回の戦争は自分達の敗北で賠償を支払えば終わると考えていただけに、この宣戦布告には慌てた。降伏の使者を出そうにもヤマト公国の国境は硬く閉ざされていた。静かに、そして熱い熱狂をその内に蓄えて。
軍団に初となる死者が出てマコトぶちギレです。どうなるやら?誤字脱字報告、
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