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209話 大改革 6

体調は相変わらずですが、沢山の応援を頂いたおかげで、今回は少しだけいつもより文章が長いです。変わらない応援を宜しくお願いします。

 某国 商家の地下2階 裏オークション


 「割符を確認させて頂きます」


 黒服のいかにも日陰者といった感じの男が、マコトに参加資格証の提示を求めた。

 入り口でも行われた為に2回目の確認だった。

 マコトは黒いスーツ様の服装に黒い仮面で顔を隠していた。

 マコトは無言で金属製のカードを取り出した。

 黒服の男が自分の持っていたカードを取り出して、カードを重ねるとカードが白く光った。


 「確認出来ました。カードに刻まれた数字の席にお進み下さい」


 カードの光りがおさまると、12という数字が淡くカードに浮かんでいた。

 マコトが席に座って、何気無く室内を伺う。室内はすり鉢を半分に割ったような形状で、客席側が高くなっており、品物が披露されるであろうステージは一段と下になっていて、客席側から見下ろす形式になっている。

 入り口は、マコトの降りて来た階段しかないがステージの裏にはカーテンに遮られているが品物が搬入される用の入り口が有るに違いない。

 客席は、隣席との間隔が余裕を持って設置されており、30席程有るようだ。

 地下2階にこれだけの空間を作り出すのには、やはり土魔法等が使われているに違いない。室内の空気を循環させている風にも魔力を感じる。この裏オークションの開催者はどれだけの魔法使いを抱えているのだろうか?

 マコトが、そんな考察を働かせている間にも次々と来客が訪れる。1人1人を鑑定で確認して行くのを忘れない。中にはスキル阻害の魔法具(アーティファクト)を持っている客も居たが、そんなモノお構い無しに素性を暴いて行く。


 客層は、様々で各国の貴族から、豪商、犯罪組織のボスなんて人間も居た。マコト自身は、ゲシュタルト王国内で密貿易をしており、ダークエルフの諜報部隊に人知れず葬られた、某国の豪商の身分を使いこの裏オークションに参加していた。

 30分程もすると、客席はほぼ満席になり黒服の男達が階段の扉を閉めたことからもこれで裏オークションの参加者は全てなのだろう。

 マコトは、万が一この裏オークションが罠であった時の為に、左脇に18式9mm自動拳銃を、右脇には音響手榴弾(スタングレネード)を隠して持っていた。偽装の為に体格はかなり肥満体となってしまっているが。


 突然、ステージに光が差す、その光りの輪の中にはいつの間にか1人の道化師(ピエロ)が居た。


 『紳士の皆様方、大変お待たせ致しました!それでは、オークションの開催で、ございます!狙ってる品物も興味を持たれた品物もどんどんと競り落としていって下さいませ。此処だけの話し、1割が私の取り分なので!ホホホホホホッ!!』


 道化師(ピエロ)が話しをしているうちに、最初の品物、檻が運ばれて来た。


 『最初の商品はこちら!今は無き、エルフの国アレフガルド王国の王族ハイエルフにございます!!こちらも、今は無きアマゾニア王国により滅ぼされたと信じられていた王族ですが、なんと!生き残りが居たのです!見た目は勿論美形でしかも無垢な身体!愛玩用にするも良し、玩具にするも良し、魔封じの首輪の為に精霊魔法は使えません。では1000万円から!』


 「1500万!」


 「1600万円」


 「1750万!」


 「・・・・2500万」


 道化師(ピエロ)が拍手する。


 『2500万円で9番の紳士が落札です!では、次の商品は・・・・』


 マコトは静かに、オークションの進行を見つめて居た。最初のアレフガルド王国の王族には少し、興味を引かれたが自ら国を滅ぼした連中だ。金を支払ってまで手に入れる価値はない。

 オークションは、どんどんと進行して行く。エルフや、ドワーフ、人間の奴隷が10人程続くと、次は魔法の剣や、防具といった魔法具(アーティファクト)だ。

 しかし、ここでもマコトは入札しない。

 


 客席に飲み物等を配っていた露出度高めの衣装を着た人間の女性がマコトにすり寄って来た。


 「お客様、飲み物はいかがでしょうか?」


 「アプルの果物酒を瓶で、グラスも頼む」 


 女性が合図を送ると黒服が、冷えた果実酒の入った陶器の瓶とコップを持って走って来た。女性は、それを受け取るとコップをマコトに渡して、酒を注ぎ始めた。

 マコトが一杯グイと一気に飲み干すと次を注ぐ。


 「お客様は、入札に参加されないのですか?それとも何かお目当ての品が?」


と探りを入れて来る。

 マコトは、あらかじめ渡されていた、本日の出品商品のカタログを出すと手描きで描かれたその品物の絵を指差した。

 女性は息を飲むと、


 「大変失礼しました」


と頭を下げると、そのままマコトの世話を焼いた。

 ステージの上では、裏オークションの盛り上がりを示すように道化師(ピエロ)が逆立ちをしたりしながら司会進行を進める。


 『それでは、本日の目玉商品の1つだ!伝説の魔物、雷獣(らいじゅう)の魔石です!!』


 「「オオオオオオッ!!」」


 会場内がざわめき出す。


 『とあるルートから冒険者ギルドを通さず、このオークションへとやって来た国宝級の品です!2000万円から、どうぞ!』


 「2500万円!」


 「2600万!」 


 「2700万だ!」


 「くそ2750万円!」


 「3000万!!」


 どこか、(いかずち)を纏っているかのような拳大の大きさの魔石を鑑定して、マコトが動く、


 「1億」


 「「ハァァァ!?」」


 しかし、道化師(ピエロ)は仕事を忘れていない。パァン!と手を鳴らすと、


 『12番の紳士が1億円で落札です!!』


と大声で宣言した。

 マコトは、女性に大金貨を1枚渡して席を立った。

 黒服の男達が階段の扉を開けて、地下1階に上がった。

 そこには、既にマコトが落札した雷獣(らいじゅう)の魔石と預け金の残り5000万円、白金貨50枚が用意してあった。

 待たせて居たこれもまた仮面をした団員に、白金貨の入った革袋を持たせて、魔石はマコトが持って階段を登り、偽装の商家を後にする。


 「「またのお越しを!!」」


 裏オークションの関係者達がマコト達を送り出すが、どこか白々しかった。

 マコトのスキル、マップ作成では敵を示す赤い光点が10個待ち伏せしていた。


 マコトは、左脇から18式9mm自動拳銃をこっそりと取り出すと月明かりの下で、お供の団員に合図した。彼女は革袋をリュックのようにして背中に担ぐと、19式7・62mm自動自動小銃を構えた。


 「居るんだろう?出て来いよ!!」


 マコトは前方の暗闇へと呼び掛けた。


 「何故分かった?」


 裏オークション会場に居た客のような服装の男が2人、剣を携えて姿を現した。


 「それだけ、殺気を放っていたら誰でも分かるさ。左右の建物の屋根に弓手が8人隠れて居るんだろう?そちらが本命か・・・・」


 男が叫ぶ。


 「伝説の雷獣(らいじゅう)の魔石は我らがシロン神聖王国にこそふさわしい!」


 マコトは、考え込むと、


 「シロン神聖王国、確か勇者を自称する奴が、王国を乗っ取って作った国か?」


 男が激高する。


 「勇者様は自称ではない!もう良い、死ね!!」


 男が合図を送るが、矢は飛んで来ない。


 「何をしているのだ!奴らは。もう良い我らだけで・・・・・」


 パン!パン!パン!


 タタタン!!タタタン!!


18式9mm自動拳銃と19式7・62mm自動小銃の銃声が闇夜に響き渡る。

 それで、剣を手にしていた2人の男達は倒れ伏す。


 パタパタパタパタパタパタ!!


 闇夜に、ヘリの回転翼の音が響き出す。市街地外500m程に待機していたヴァイパー多目的戦闘ヘリが迎えに来たのだ。建物の屋根に居た弓手を始末したのも、ヘリの貨物室(カーゴ)に待機して居た6名の団員による狙撃だった。

 市街地の広場に着陸すると素早くマコトと、もう1人の団員を乗せて離陸する。

 マコトは、ポケットから雷獣(らいじゅう)の魔石を取り出して手にした。少し帯電している気がする。


 「司令、ソレが目的の物ですか?」


 ヘリで待機していた団員が聞いて来る。


 「嗚呼、上手くいけば、我らは最強の矛、電磁投射砲(レールガン)を手にする」


 「レールガン、ですか?良く分からないけど、大切なモノなんですね!」


 作戦の成功で、明るい機内からマコトは、ずっと窓から外を見ていた。






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