表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/355

202話 王都炎上 19

コロナで大変な時に100年に1度と言われるようなな台風が日本に接近中です。読む人の住んでいる場所によってはもう上陸しているかもしれないですね。まだの人は身の安全に十分に注意して下さい。

 マコトが玉座の間前のバリケードまで来ると既に葬送曲(レクイエム)の団員がバリケードの撤去を始めていた。皆、価値がありそうな家具なので慎重に取り扱っていた。バリケードを守っていた近衛騎士団は、ほとんどが座り込みまだ音響手榴弾(スタングレネード)の影響下から抜け出せないようだ。


 マコトは魔法が使える団員を選出して、玉座の間へと向かう先遣隊を組織した。


 「「浮遊(レピテーション)!!」」


 マコトを含めて10人程が、バリケードを飛び越えた。マコトは両脇を抱えられて飛び越えた。

 近衛騎士団の何名かは、よろよろと立ち上がって剣を抜いて来た。しかし、マコトはまともに取り合わずに玉座の間への扉を開けた。


 「「ヤー!!」」


 待ち伏せしていたらしい近衛騎士が2人左右から斬りかかってきたが、一歩下がって剣戟を避けると、そのまま回転して左脚を軸にして、上段踵回し蹴りを放ち、1人の近衛騎士の首を踵に引っ掛けると、そのままもう1人の近衛騎士の方に蹴りやった。

 常人には不可能に近い動きで有ったが、マコトの身体能力のステータスは既に常人の域を突破しており、仙人に近い領域まで達していた。


 蹴り飛ばされた近衛騎士は、もう1人を巻き込みゴロゴロと転がって行った。

 他にも数人の近衛騎士が剣を抜いていたが、それを止める声がかかった。


 「双方共に、そこまでにせよ」


 近衛騎士が剣を収めて膝を着くと、玉座の間の様子が伺えるようになった。

 玉座には、ゲシュタルト王国国王ハイマンが腰掛けており、その横には弟のアレグリア侯爵が、その周囲には近衛騎士団団長や宰相、各大臣や数人の貴族達が居た。


 マコトは、臣下の礼を取ると、


 「ヒイラギ辺境伯、王国の危機と知り、急ぎ馳せ参じました」


と口上を述べた。

 それに対して、ハイマン国王は、首を振りながらため息を吐くように喋った。


 「王都近郊の東西南北を守護する四家からは敵の圧力により援軍が出せないとの報告が有った。実際に当主が戦死した家もあるそうだ。しかし、他にも貴族家は有るというのに一番乗りは最も遠いヒイラギ辺境伯か・・・・裏切った貴族家が有ったことといい、臣下の忠誠心を図る良い好機の戦よな?ともあれ、ヒイラギ辺境伯良くぞ参った。一番槍は、どうやらソナタのようだ」


 マコトは、臣下の礼を取ったまま応えた。


 「王都内に入り込んだ敵勢力は、そのほとんどが討ち取られるか降伏しており、一部のみが逃亡しております。しかし、王都近郊にイスマル皇国本隊とおぼしき軍勢と反乱を起こした2家の伯爵家の軍勢が集結しつつあります。アシュラ王国は、その兵力をほぼ失ったようです。残る敵、その数およそ16万かと」


 「16万ですと?そのような数、今の状況では無理でございます!!」


 「籠城だ!籠城して援軍を待つしかない!」


 「陛下、ここは講和しかありませんぞ、逆襲の機会はきっと来ますぞ?」


 貴族達が口々に勝手なことを言い出して、場は騒がしくなる。


 「五月蝿いぞ!宮廷雀共が!!決定されるのは国王陛下だぞ!」


 アレグリア侯爵が普段の温厚そうな顔を強張らせて怒鳴った。

 玉座の間は静まり返り、ハイマン国王に視線が集まる。

 ハイマン国王は、重い口を開く、


 「余は、侵略者と反逆者共に下げる頭を持って居らん、しかし、籠城して来るかも分からない援軍を待つ気にもなれない。ヒイラギ辺境伯よ、余はソナタこそが鍵だと思っている。ソナタならば16万の軍勢、退けるのは可能ではないのか?もし可能であるならば、その功績として長らく我が国には居なかった公爵位をソナタに授けようと思う」


 「な、なりませんぞ陛下!何処の骨とも知れぬ冒険者上がりの成り上がり、辺境に追いやっておけば良いものを公爵位などと!」


 「陛下、私めを講和の使者に!必ずや、我が国に優位な講和条件を結ばせて見せましょう!!」


 「貴様ら黙らぬか!!陛下の御言葉である!」


 再びアレグリア侯爵が、法衣貴族達を黙らせる。しかし、その視線はマコトへと期待の眼差しを向けていた。

 近い将来に義息となるマコトが辺境伯位と公爵位を手に入れれば、将来的に大派閥をゲシュタルト王国内部に形成することも夢ではない。アレグリア侯爵が期待に胸を膨らますのも仕方なかった。


 マコトは、ハイマン国王の視線、貴族達の視線、アレグリア侯爵の視線、団員達の視線に晒されて、少しの間、悩んだ後に言った。


 「軍勢という、組織を破壊することは出来ますが、1人1人の兵を殺すことには限界が有ります。王都郊外の敵を撃破した後に、取り残しが王国内部で盗賊などになるのを防ぐ為に掃討する必要が有ります。最低でも5000人用意は可能ですか?」


 ハイマン国王は、傍らの大臣としばらくの間話し会い、答えを出した。


 「近衛騎士団の残余が指揮する形で王都の冒険者達を雇用する。なんとかソナタの望む数は揃えられる筈だ」


 マコトは頷くと、


 「では、飛行戦艦と飛行駆逐艦による空爆と砲撃の後に、飛行空母の艦載機による、掃討の後に本格的な殲滅戦に移行します。空爆は本日から始めますが、殲滅戦は2日後を予定しております。それまでに準備を、それでは私は作戦の指揮が有りますので・・・」


 マコトは、既にバリケードが排除された大回廊を通って城外へと出て行った。


 


 それを見届けた後に、軍務大臣がハイマン国王に話しかけた。


 「宜しかったのですか、あのような約束をされて?門閥貴族達が黙っておりませんよ?」


 ハイマン国王は玉座に深く座りなおすと、


 「彼に出来なければ誰にも出来ない。今、この場に居らん門閥貴族共には何も言わせんさ」


と静かに言った。その真意の深さに軍務大臣は黙って一礼した。








誤字脱字報告、感想、評価、ブックマーク大歓迎です。応援宜しくお願いします。まだ☆マークの評価をされて無い方は宜しくお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ