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201話 王都炎上 18

コロナが続く中、安倍総理の退陣表明ビックリしましたねぇ。難病を患っているということで、静養してもらいたいものです。200話を超えてPvも120万件を突破しました。皆さんの応援のおかげです。ありがとうございますm(_ _)m

 玉座の間へと続く大回廊


 そこには、様々な部屋から集められたであろう、タンスやテーブル等の家具でバリケードが構築されておりゲシュタルト王国の近衛騎士団30人程が玉座の間の扉を背後に背水の陣を敷いていた。

 対するアシュラ王国兵は400人程、バリケードを崩そうと剣や、城内で手に入れたのか少数の斧でバリケードに挑むのを、そうはさせまいと近衛騎士が長槍でバリケード越しに応戦していた。

 大回廊は全長約200m近く有るが、そのほとんどが戦場か双方の兵士で埋め尽くされていた。


 曲がり角からひょっこりと顔を覗かしたマコトと(かえで)は頭を引っ込めるとうずくまって顔を突き合わした。


 「どうするんだアレ?どっちも火が着いちまっているぞ?止めるのは難しいんじゃないか?」


 「アシュラ王国兵の後方に今回の指揮官アレス将軍が居たの、彼を説得すれば戦闘は止まるわ!」


 「良し、じゃあ市街地はゲシュタルト王国の応援の軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)が制圧したことを伝えてくれ。制空権も我々が確保したと、あと王都郊外にイスマル皇国の軍勢が迫っているのは内緒な?」


 「イスマル皇国の奴ら、まだやる気なの?アレス将軍もこの戦争を嫌がっていたのよ」


 「それでも、内緒にしてくれ。援軍が有るのと無いとでは士気が変わってくるからな、それで交渉が進んだり、俺達ゲシュタルト王国の援軍の存在をアレス将軍が疑うようなら、こっちに向かって手を振ってくれ。自分達が出て行く、それで戦闘は終わるだろう」


 「分かったわ!」


 (かえで)は1人で、アシュラ王国の軍勢に向かって走って行った。片眼の望遠鏡で覗いていると一悶着有ったようだが、一際立派な鎧を着て兜を被っていない初老の男性が(かえで)を抱きしめた。恐らく彼がアレス将軍だろう。(かえで)は彼と、その周囲の兵士に語りかけていたようだが、しばらくするとこちらに手を振って来た。合図だ!!


 「総員、罠を警戒しつつゆっくりと前進!!」


 約450人の兵力が戦場に現れる。一部のアシュラ王国兵がこちらに対して、応戦の構えを取ろうとしたが、アレス将軍と思われる人物が止めた。

 軍団(レギオン)の全員が大回廊に姿を現すことが出来なかったが、その分兵力の多さを伝えることができただろう。

 アレス将軍らしき人物まで10m程の位置で部隊を止めた。

 マコトは銃口を下げると1人でアレス将軍の元へと歩いて行った。


 「はじめまして、アレス将軍。ゲシュタルト王国で辺境伯の地位を授かっているヒイラギ辺境伯と申します。今回は将軍に降伏して戴きたく参りました」


 アレス将軍は驚いたように話し掛けて来た。


 「まさかドラゴンスレイヤーのヒイラギ辺境伯がゲシュタルト王国の援軍とは、なるほど我が軍勢が手玉に取られる訳だ。前に敵、後ろにも敵、その上で数でも劣るとなれば降伏するしかありますまい。しかし、儂はどうなっても構わないが兵士達の助命は嘆願したい」


 アレス将軍は頭を下げた。


 「了解しました。武器を置き、指示に従って頂けるので有れば皆さんの命は保証しましょう」


 アレス将軍は頭を上げると、


 「ありがたい。しかし1つお聞きしたいが、この先で何人かの我が軍勢の将兵が足止めをして居った筈だが彼らはどうなった?」


 「彼らは既に捕縛しました。残念ながら一部死者が出たようですが」


 アレス将軍は目を閉じると何かに祈るようなしぐさをした。


 「いや、すまない。実はその中には儂の息子も居ったのでな、無事を祈ったのだ」


 そう言って、アレス将軍は背後のアシュラ王国兵に向かって、


 「儂らはゲシュタルト王国、軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)に降伏する、皆の武器を集めよ!!」


と叫んだ。そして、マコトに向き直って、


 「すまないが、戦闘をしているゲシュタルト王国騎士団を止めてくれないか?背後から襲われるとおちおち降伏もできないのでな?」


 「分かりました。臨時第1中隊長!!」


 1人のエルフが進み出た。マコトは音響手榴弾(スタングレネード)を1つ手渡した。


 「玉座の間を守備する近衛騎士団を説得して来い!話しの通じない相手だったらコレを使え」


 エルフの男性指揮官は敬礼すると、50人程連れて玉座の間前のバリケードに向かった。

 その間、臨時第2中隊長が指揮して、アシュラ王国兵の武装解除を行った。

 そこで、アシュラ王国兵が驚いたのは、兵の名前を1人1人聞いて武器に名札を付けて回収していたことだ。戦死していた兵士の武器も同僚に聞き取りをして同じように扱った。

 この時代、敗者の持ち物といえば勝者の戦利品と決まっており、この対処には驚かれた。


 (かえで)がマコトの所までやって来た。


 「どうした?」


 「私の武器も預けた方が良いかな?って思って」


 「君はもう、ウチの食客だろう?それにアシュラ王国兵も味方だと思っている君が武器を代表して持っていれば安心だろう?」


 「そうだね!!うん、分かった!」


 そう言って、(かえで)は槍を抱きしめた。思い入れの有る武器なのだろう。


 バン!!!


 突然、大回廊に爆発音が響いた。どうやら近衛騎士団の説得に失敗したらしい。

 やれやれと動揺するアシュラ王国兵をなだめながら、玉座の間に向かってマコトは歩き出した。






 

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