200話 王都炎上 17
ニュースでコロナなという単語を聞かない日がない今日この頃、遂に先週の日間Pvが7000を越えて、総合Pvも120万を突破しました。皆さまどうもありがとうございます。ついでに今回で第200話となりますので、何かイベントをと考えたのですが仕事が忙しく出来ませんでした。スイマセンm(_ _)m
思わず投げつけてしまったスピアを拾い上げながら、マコトは不思議に思ったことを尋ねた。
「そういえば楓、この槍には少量のミスリルが使われているみたいだが、それ以外には特殊な能力は無いと鑑定で出たんだが、どうやって雷を纏わせていたんだ?」
スピアを受け取りながら、楓は、
「あぁ、その事?それはこの子の能力よ」
そう言うと同時に、楓の鎧の胸元から1匹のネズミのような動物が頭を出して、周囲の様子を伺うように鼻をふんふんと鳴らす。
「雷ネズミのライちゃんよ!この子のスキル放電で槍に電気を通していたのよ!!」
マコトは顎に手をやってしばらく考え込み、やがて
「電気を使うネズミぽい動物、それってピ○チュウ・・・」
マコトの眼前に雷を纏った槍が突き出された。
「雷ネズミ!!それがこの子の種族名よ、中々希少種何だからね」
怒ったようにそう言うと、楓は槍を引いた。
マコトは、降参とばかりに両手を上げた。
「すると、君の持つスキルの1つはテイマーかな?」
というマコトのかまかけに楓は、
「ええ!!何で分かったの?誰にも言ってないし、分からない筈なのに・・・」
マコトは、続けて、
「それで確信したよ。もう1つのスキルはステータス隠蔽だね?」
と言った。
楓は、何で分かったのよ!と言わんばかりの視線を向けて来る。
マコトは、楓に向かって種明かしをするように話し出した。
「まず、君の空を駆ける姿は見てはいないけど、この世界では凶暴な生物の代表格であるワイバーンと心を通わせていた。これは熟練の竜騎兵でも難しいことだ。それを十数歳の君がやって見せた。これだけならば、偶然でも説明が付くが雷ネズミ、あんなモノまで手懐けているのはあり得ない。ならばスキルの存在を疑うのは当然だ」
楓は俯いて、ライの頭を撫でていた。
マコトは続ける。
「次に、自分は鑑定というスキルを持っている。そのスキルで君を調べようとしたが出来なかった。これはつまり、鑑定のスキルを妨害する何らかの力が働いていると容易に想像が付く。そう、スキルだ!!」
楓は、雷ネズミを抱きしめている。
マコトは、口調を明る目に変えて、
「と、まぁ自分には想像が出来るのはここまでだ。恐らく死神に言われたのだろう?スキルの事は内密にするようにと、でなければ君のような有用なスキルを持つ存在は良いように利用されるだろうからね~!!」
マコトは、態度を改めて楓に向き直った。
「それでどうする少女よ。君は私、ヒイラギ辺境伯の食客となった。ただ平和な日々を送ることもできるし、困難な険しい道を選ぶこともできる。さぁ、どうする?」
楓は、槍を掴むと立ち上がり、しっかりと視線をマコトに向けて言い放った。
「困難な険しい道を!!私は自分の道は自分で切り開く!!」
そんな楓に対してマコトは黙って拍手した。拍手は広がり、その場に居た全ての葬送曲の団員が拍手をしていた。
「さぁ、諸君!!新しい同胞の仲間入りだ。この城で敵が残っているのは玉座の間へと続く大回廊、ここに残存する敵兵力は集結しているだろう、いざ行かん!!」
「ま、待って下さい!!」
楓が、マコトの行動を遮った。
「うん?味方だった者達は討てないかな?まぁ、自分は寛大だ。今日だけは部隊の後方に・・・・」
「私に、先を行かせて下さい!!彼らをアシュラ王国の人達を説得してみせます」
「うん?」
マコトは首を傾げる。
「おい、お嬢さん、何を言い出すかと思えば、そんな話を司令が飲むと・・・」
楓を制止しようと前に進み出た1人の団員の動きが止まった。それは背後からのマコトの殺気によるものだった。
団員は、息も絶え絶えに仲間の元に戻った。団員が仲間に介抱されているのを尻目にマコトは、楓の前まで進み出た。
「彼らは侵略者で我々はそれを討とうとしている。その意味が分かっているのか」
マコトの声は冷え切っていた。
しかし、楓は負けず、
「それは、私でも一緒だった筈です。私が・・・サンダガの長門楓が呼び掛ければ少なくない数のアシュラ王国兵が投降する筈です。これ以上、血を長さない為にもお願いします!!私に先陣を切らせて下さい!!」
マコトは踵を返すと、
「誰かある!!」
と大声を出すと、数人が進み出た。
「アレを希望通りに先陣に組み込め、死なせるな・・・・」
「「「了解!!!」」」
楓は思わず狼狽えてしまったが、1人の団員から肩を叩かれ
「説得しに行くんだろう?」
と言われて、状況は漸く理解して遠ざかって行くマコトの背中に頭を下げた。
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