195話 王都炎上 12
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王都ゲイボルグ 王立高等学院
安全を確認した生徒や、教師達が大広間の扉を塞いでいたバリケードを取り除き始めていた。
アレグリア侯爵令嬢ミナサリアは、その様子を他の貴族家の令嬢達と眺めていた。
「退いたぞ!!」
バリケードが全て取り除かれると、扉がこじ開けられて軍団、葬送曲の団員達が突入した。
「クリア!!」
「クリア!!」
「オールクリア!!」
学院の生徒と教師達しか居ないことを確認した団員達は安全を確認した。
「マコト様!!」
ミナサリア嬢が、生徒達の中から飛び出してマコトに抱き付いた。
咄嗟に団員達が銃口を向けた。
「待て、待て、待て!!大丈夫だ!知り合いだ!!」
突然、マコトの視界が真っ白になった。
マコトは地球の日本の故郷の神社に居た。
以前にも、有った白昼夢だ。
「マコトちゃ~ん!!」
後ろから抱きしめられた。
「優香か?」
「マコトちゃんは、また何処か行っていたの?」
「警察学校だ。警官になるんだよ」
「夢がかなったんだね!」
「まだ分からないさ、卒業するまでは」
「大丈夫だよ。マコトちゃんなら・・・・」
「マコト様・・・・?」
白昼夢はいつの間にか覚めていた。心配そうにミナサリア嬢がマコトのことを見上げていた。
「嗚呼、ミナサリア嬢、大丈夫ですよ」
「もう、ミナとお呼び下さいませ・・・・。もしかして、他の女のことを考えてらっしゃいました?」
「そんな事は無いさ、ただ昔のことをね・・・・」
沈黙が2人を支配した。
周囲では、団員が避難の際に負傷した学院の関係者達を治療しながら、2人のことをチラ見していた。
「司令、臨時第2中隊より連絡で、第2城門を攻めていた敵を殲滅したそうです。これよりこちらに合流するそうです」
通信兵が報告する。
「そうか、後は王城にワイバーンで降下したアシュラ王国兵だけだな?」
「・・・・・・」
「どうした?まだ何かあるのか?」
「空中空母赤城の艦載機からの報告で、王都を目指すイスマル皇国の援軍15万を確認したそうです。しかも、裏切ったゲシュタルト王国の貴族の有する軍団も確認されたそうです」
「何だと?奴ら王都がほぼ解放されたことを知らないのか?」
「もしかすると、アシュラ王国がイスマル皇国に情報を与えなかったのかもしれませんわ」
「ミナサリア嬢、それはどういう事です?」
「まだ、確信が持てません。父の、アレグリア侯爵の居る王城に行けば分かると思いますわ」
「そうですか。しかし、貴女をお連れする訳には行きません」
「何故ですか!?」
「王城は、まだ安全が確認できたと言えないからです!!」
「・・・・・・・!?」
ミナサリア嬢は唇を噛み、俯く。
マコトは思考する。
『それに、さっきの白昼夢は一体?自分をこの世界に送り込んだ死神達も何かを隠していたのか?それよりも、目先のことを片付けなければ』
マコトは、周囲を見渡すと、アイテムボックスから拡声器を取り出すと、話し出した。
『学院の皆さん、私はヒイラギ辺境伯です!ただ今、王都を侵略者達から取り戻す為に戦っています。学院の周囲の安全は確保しましたので皆さんには、このまま学院に待機して頂きます!!』
何人か反論しようとする者達が居たが周囲に止められていた。
「我々は一部を残して、学院から移動しますが皆さんを見捨てる訳ではありませんので安心して下さい!!」
マコトは、拡声器を再びアイテムボックスにしまうと、教師達が集まって居る所に行き、学院長を見付けた。
「学院長、良く聞いて下さい。我々はこれより王城の奪還に向かいます。しかし、王都郊外に新たな敵が迫りつつあります。有力貴族の子弟である生徒達を人質にさせない為にも誰も学院から出さないようにお願いします」
学院長は長い白い髭を震わしながら、言った。
「分かりました。我々は我々にできることをしましょう!!」
「お願いします。臨時第1中隊!!50名を残して150名で、臨時第2中隊と合流するぞ!!走れ、走れ!!」
団員達が残る班と、王城奪還に向かう班に別れて走り出す。
マコトは、ミナサリア嬢に近付くと、
「事情は、アレグリア侯爵から聞くよ」
と言って走り出そうとした。
その背中に、ミナサリア嬢は、
「恐らく、叔父様と父様は玉座の間にいらっしゃる筈です。その護衛の中に王国の影と呼ばれる者が居る筈ですのでその者に情報をお聞き下さい!!」
と叫ぶ。マコトは右手を挙げ、拳を作って見せて走り出した。
その背中は段々と他の団員の影に隠れて見えなくなって行った。
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今回は戦闘はありませんでしたが、後々の伏線となっておりますw




