193話 王都炎上 10
1週間振りです。こんにちは。東京都は再び感染者が連日100人を超えるというニュースが続いています。コロナは自然終息を待つのでは無く、特効薬ができるまで収まらないのでは無いか?と思う今日この頃です。
王都ゲイボルグ第1城壁~第2城壁間
「キシャ~!!」
「また出たぞ、走竜だ5時の方角!後方の班で迎え討て!!」
「「了解!!」」
タタタタタタタタッタタタタン!!
幾つもの19式7・62mm自動小銃の銃声が鳴り響く。
「うぉぉぉ!!」
走竜に騎乗していたアシュラ王国の騎士は、走竜の身体を盾にすると走竜から飛び降りて、槍を構えて走って来る。
「撃て!!」
タン!タン!タン!
数発の銃声の後に、超人的動きを見せたアシュラ王国の騎士は前のめりに倒れ込んだ。しかし、その意思は折れておらず尚も這いつくばって葬送曲の隊列に近付こうとしていた。
「貴殿の戦働き見事でした」
1人の小隊長が騎士に近付くと、兜の上から数発19式自動拳銃を撃ち込んだ。騎士は絶命して動きを停めた。
『おかしい、アシュラ王国の竜騎士の勇猛果敢さは大陸に広まっているが、その下級的存在である走竜の騎士までもがここまで勇敢になれるとは?アシュラ王国で何かが起こっている、もしくはこの戦に何かがあるのか?』
人種の小隊長は、19式自動拳銃を握りしめたまま考え込んだ。
ゲシュタルト王国で戦う彼らには知るよしもなかったがこの時、アシュラ王国では深刻な物資不足が起きていた。その理由は、軍団、葬送曲が討伐した火龍アラドームの懸賞金が発端だった。
竜騎士以外に誇るべきものの無いアシュラ王国は、他国で対応の出来ない危機に対して竜騎士をいわば傭兵として貸し出すことで外貨を得て外国から物資を購入するという国家財政が自転車操業的に行われて来た。
そこに、数百年前に懸けた莫大な懸賞金という爆弾が放り込まれたのだ。
アシュラ王国は当初、その軍事力を背景にゲシュタルト王国から譲歩を引き出そうとした。しかし、ゲシュタルト王国のハイマン国王は懸賞金の支払いがなければ戦争もやむ無しと宣言。
アシュラ王国が現地に送り込んだ使者と言う名の工作員の現地での火龍アラドームの素材の確保も失敗に終わり、逆に賠償金の上乗せまでされる次第であった。
その結果、深刻な経済危機に陥り払うべき外貨が無い為に他国から物資を購入することができず、イスマル皇国へのワイバーンの提供、竜騎士の派遣と不利な状況が続き、旧アマゾニア王国領内におけるゾンビの大量発生という稼ぎ時にも関わらず、関係各国はゲシュタルト王国のヒイラギ辺境伯の軍団
に対応を任せてしまい、稼ぎ時を逃した。
そんな切羽詰まったアシュラ王国に声をかけて来たのが、イスマル皇国である。
因縁あさからぬゲシュタルト王国を共に攻めて、懸賞金と賠償金を取り戻し、更に領土を得ようではないか?
そんな悪魔の囁きにアシュラ王国は迷うこと無く飛び付き、ワイバーンを売却したせいで国内に余って居た竜騎士だった騎士達を急遽、走竜に乗せて戦力化して体裁を整えて、ゲシュタルト王国へと侵攻したのであった。
先にとどめを刺された騎士も、元々はワイバーンに騎乗する竜騎士
であった。その為、誇り高い騎士の地位と祖国をそこまでに追い込んだゲシュタルト王国の、しかも、ヒイラギ辺境伯の有する軍団、葬送曲
に一矢報いんと気力を振り絞っていたが、あっさりと返り討ちにあってしまった。
ここまで長々と述べて来たが、アシュラ王国が侵攻して来た理由は要するに持てる者への逆恨みであった。
そんな理由で元は一頭でも強力なワイバーンに騎乗していたという経験から、仲間と連係して攻撃をするという考え方に思い至らず、走竜での散発的な襲撃となったがこれが結局ゲリラ攻撃のようになり、20式重戦車を有する軍団葬送曲の地上戦力主力の足止めとなるのであった。
タタタタン!タタタタン!タン!タン!
「ちくしょう、これで何度目の襲撃だ?」
「20回目から、数えるのは辞めちまった」
『総員!横陣隊列へ移行せよ!イスマル皇国の攻城部隊本隊のお出ましだ!!』
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