19話 奴隷商にて 2
奴隷商編もう少し続きます。あまり生々しい表現は避けているので大丈夫とは思いますが、苦手な方はすみません。
ミケーレの声に応えるように6人のエルフ達が、檻の中で横一列に並んだ。
思っていたよりも環境は良好なようで、汚れている感じも無く白い布で織られたワンピースのようなものを皆着ていた。
「どうですか。痩せ過ぎもせず余計な肉も付いておらず、まさに理想の肉体。今すぐにでも魔物とだって戦えます!!」
ここぞとばかりにミケーレが、エルフ達の健康状態を引き合いに出してアピールする。
そこで、マコトはミケーレに、
「エルフ達と話してみて良いだろうか?」
と聞いた。
脈が有ると感じたのか、どうぞどうぞと勧めて来たのでエルフ達と話すのをアリシアにバトンタッチした。
マコトはミケーレを呼び、値段の交渉を始めた。
「やはり忠誠心に問題があるように感じられます。1人500万円は高いです。1人400万円でどうでしょうか?」
ミケーレは、
「マコト様、エルフを軍から引き取る時に私共も少なくない金額を払っております。その上でこの待遇で面倒を見ております。470万円。」
「エルフは女性も戦士と言ってましたが、1対5はバランスが悪すぎます。420万円」
その時、アリシアが背中に触れて奴隷達からの合意を得たと合図して来た。
「エルフは男性も女性も立派な戦士ですよ。450万円。」
待ち構えていた金額が来た。エルフ達の合意も得たことから引き取ることにした
「分かりました。今後もこちらにお世話になるでしょうからその金額で買い取りましょう。」
ミケーレも満足な額なのか再び店を利用する予告をした影響か、満足気な笑顔で握手をして来た。
「今後ともミケーレ商会を宜しくお願いします。」
地上の部屋に戻ると早速、手続きに入った。
エルフ達もワンピース様の服装から街中を歩いても大丈夫そうな服装に着替えていた。
ミケーレのサービスだろうか?
エルフ1人1人の書類を作り、ミケーレ商会お抱えの奴隷紋を刻むスキル持ちの
男性が立ち会いサインと主人の証である血印を押し、ミケーレに6人分2700万円、
白金貨27枚を渡して契約は終了した。
マコトは取り敢えず、6人を連れて金毛の山羊の蹄亭に戻って来た。
奴隷紋は、それぞれ肩に刻まれている為、服を着ていれば奴隷と分かることはない。
契約書の写しは、既にアイテムボックスに収納済みなので紛失の恐れはない。
自己紹介の前に、それぞれを鑑定しておく。万一の為だ。
エリック エルフ 男性 132歳 マコトの奴隷
エリア エルフ 女性 109歳 マコトの奴隷
アミール エルフ 女性 118歳 マコトの奴隷
イレイア エルフ 女性 111歳 マコトの奴隷
カトレア エルフ 女性 131歳 マコトの奴隷
サーシャ エルフ 女性 108歳 マコトの奴隷
鑑定の後に、行った自己紹介と矛盾する点は無かった。
仲間の大半が奴隷ということに思うことがないと言えば嘘になる。
前世では、奴隷というものはとっくに過去のものとなっており、その存在は許されないものだった。
しかし、この異世界では、当たり前に存在している。
そして、自分はその存在を自分達が生き残る為の術として使おうとしている。
仲間達と、いつか心から通じ敢えて本当の仲間となった時には犯罪奴隷ではあるが、なんとかして自由の身になれるように手段を尽くそう。
それまでは仲間として、差別すること無く分け隔て無く一緒に生きて行こう。
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