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189話 王都炎上 6

皆さまお久しぶりです。1週間ぶりとなります。コロナは未だに一部地域で猛威を奮っており、第2波の警戒で気が抜けません。今回はネタばれとなりますが戦闘シーン少な目です。物語の進行上申し訳ありません。その分来週は頑張りたいと思います。

忘れてました!Pvが100万を突破しました!応援ありがとうございます。

 王都ゲイボルグ 王立高等学院


 「城門の外は敵兵で溢れて居るそうだ」


 「ここに居る貴族の子弟の総意としてヘイマン陛下に講和の使者を送るように上奏してはどうだろうか?」


 「何を腑抜けたことを!嗚呼、我が領地の兵さえ居れば、自分が外壁の敵兵を撃退して見せるのに!!」


 「貴族達は捕虜として生かされるかもしれないが、我々平民はどうしたら良いのだ?財産を差し出せば助かるのか?」


 ゲシュタルト王国の家柄や大商人等の子弟として集まった将来には、ゲシュタルト王国を担うであろう知識層の集まりである王立高等学院の教師、生徒達は式典等が行われる大広間に集まり、不安を忘れようとするかのように大声で議論を交わし有っていた。


 そこから少し離れた大広間の片隅に小さな集団が居た。

 大声で意見を交わすこともなく、小声で会話をしていた。その中には学院長の姿も有った。


 「ミナサリア様これから、どうなるのでしょうか?私怖いですわ」


 「この貴族街まで2つの城壁が有るとはいえ、イスマル皇国には新兵器が有ると聞きましたわ。この昼夜を問わず聞こえて来るド~ンという音がそうなのでしょうか?」


 「私の兄は王国軍の指揮官をしておりますの、無事ですと良いのですが」


 「皆さん、諦めてはいけませんよ!我が国には軍神とも言うべき御方と軍団(レギオン)がいらっしゃいます。そうですね。アレグリア侯爵令嬢ミナサリア様?」


 学院長が少女達を励ますようにまくし立てた後、期待のこもった視線をミナサリア嬢に向ける。

 それまで、顔を伏せて令嬢達の会話を聞いていた少女、ミナサリア・フォン・アレグリアは、毅然とした態度で、


 「マコト・フォン・ヒイラギ・ドリンドル辺境伯と、その軍団(レギオン)は決してこのようなアシュラ王国とイスマル皇国の蛮行をお見逃しにならないでしょう!皆さん希望を持ちましょう!!」


と周囲の貴族令嬢や裕福な家庭の少女達を励ました。

 しかし、そこへ、


 「ヒイラギ辺境伯だと~!?」


 大広間の中心で、演説ぶっていた。貴族の子弟達が集まって来た。

 彼らは王国軍閥の貴族の子弟で必ずや王国軍がイスマル皇国とアシュラ王国を撃退すると大声で叫んでいた。


 「どこの馬の骨とも知れない、成り上がり貴族がたった1人が貴族の戦力で2ヶ国の軍勢を相手に勝つと言うのか?ハッ、馬鹿馬鹿しい!!王国軍のみでこの国難を救ってみせるのだ!!」


 「でも、防衛戦には近隣諸侯の軍団(レギオン)も加わっているわ!」


 少女の1人が言い返す。


 「彼らは、我々と同じ古い青き血が流れる由緒有る貴族家だ。成り上がりと一緒にしてもらっては困ります。レディー?」


 ミナサリア嬢が座っていた椅子から立ち上がる。


 「ヒイラギ辺境伯は、将来の私の夫は、決して身分で人を差別すること無く、そして、どの貴族よりも高潔な方です。あの御方の侮辱は許しません!」


 「ミナサリア嬢、貴方はとても誇り高い人だ。しかし、現状王都を守っているのは王国軍・・・・」


 ドカ~ン!!


 さして遠くない場所で、何かが破壊される音がした。


 「敵襲!!アシュラ王国の竜騎士(ドラグーン)が兵士を数人同乗させて飛来して錬成場の広場と、魔法実技場の広場の2ヶ所に降下し、扉をファイヤーボールで破壊し、学院内に敵兵が数百人侵入しました!!」


 学院の警備をする警備兵が身体中に木片の刺さった状態で、大広間に駆け込み倒れた。

 床に血溜まりが、出来ていく。

 ミナサリア嬢が叫んだ。


 「治療魔法の使える者は彼の救護を!男子生徒達は大広間の複数の出入り口を椅子や机で塞ぐの!急いで!!」


 高等学院の生徒や教師達は慌てて動き出す。

 扉の取っ手に棒状の物を噛ませて、(かんぬき)とした後に机や椅子、棚で扉が開かないようにバリケードを作った。

 その直後、


 ドンドンドン!!!


 複数の出入り口扉を叩くような音がしだした。

 開かないと分かると、


 ドカン!ドカン!


 鎧が扉に体当たりするような金属音がしだした。


 「ゲシュタルト王国の貴族の子弟達はこの中だ!急いでこじ開けろ!!」


 アシュラ王国語の訛りの強い大陸共通語が聞こえて来た。


 「貴族の子弟以外は、殺しても構わん!!とにかく急げ!他の部隊とも合流しなければならんのだ」


 その言葉を聞き、平民出身の生徒達は震え出した。

 しかし、次の瞬間、


 ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!


 大広間の天井から、イヤ、その上空から、ここ最近毎日のように聞いている爆発音のような音が連続して、規則正しく鳴り響いた。


 「どうした!?何が有った?」


 先程、冷酷な指示を出したアシュラ王国の指揮官らしき男の声が響く、


 「船です!巨大な船が空中に浮かんでいて、イスマル皇国の爆裂筒のような武器で竜騎兵を全滅させました!!」


 「何!?」


 「伝令!!空中の船から兵士が降下、その数約200!旗印は白地に赤い丸から線が伸びている模様、一部の者からはゲシュタルト王国、ヒイラギ辺境伯の軍団(レギオン)だとのことです!!」


 「「「わぁぁぁ!!」」」


 その会話を聞いていたバリケード内の王立高等学院の生徒、教師達から歓声が上がった。


 「黙れ!!餓鬼共、救援は200。こちらは600だ、すぐに殲滅させてお前達をそこから引きずり出してやる!!」


 足音がバリケードの向こうから消えて行った。


 大広間の中は興奮の坩堝(るつぼ)だった。

 ミナサリア嬢は1人、その興奮の渦から離れてマコトから贈られたアクセサリーを握りしめて、マコトの名を呟いた。







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