185話 王都炎上 2
世間はコロナの話題が絶えません。早く終息するかワクチンが出来ると良いですね。
マコトは通信指令室に隣接する作戦指令室に主だった幹部を集めた。
「イスマル皇国にアシュラ王国め、まさか宣戦布告もせずに攻め込んで来るとは!!」
「王都と我らがヒイラギ辺境伯領の同時攻撃。どちらにどれだけの戦力を派遣するか?」
「港町は要塞化が進んでいた筈、旧式の爆裂筒とか言いましたか?を積んだ旧式の帆船ごとき相手にもなりますまい」
幹部達は、ドリンドルからの報告書を読み終わると、ざわざわと意見を出し合っていた。
マコトは、それらを黙って聞いていたが頃合いを見計らって右手を軽く上げた。
それだけで幹部達は皆、押し黙った。
「皆の意見は良く分かった。王都ゲイボルグへの救援は空中戦艦比叡、空中空母赤城、空中駆逐艦島風、並びに第501重戦車大隊から1個小隊と葬送曲から歩兵500名とする。他の貴族家に配慮せずに強襲揚陸艦を配備していれば、もっと送れただろう。現場指揮官には謝罪する」
マコトは、陸軍の幹部達が座る席の方を向くと頭を下げる。
陸軍の幹部達は慌てるが、マコトの話しがまだ途中だと察して発言はしない。
「我が領地に侵入して来た愚か者達には、空中戦艦金剛、空中駆逐艦の雷と、多目的戦闘ヘリ、バイパー8機全力であたる。港街シーサイド、並びに軍港1、港町2は鉄筋コンクリートによる防壁が築かれて地上配備型の127mm速射砲で防備を固めている。恐らく援軍の仕事は敗走する敵艦隊の掃討となるだろう」
一旦、話しを区切るとマコトは、
「これは、此処に居る幹部の殆どが知らないことだが、各港の沖合いには秘密裏に海堡という人工島を作り、127mm速射砲や30mm対空機関砲で守りを固めている。敵艦隊は恐らくこの海堡すら抜くことが出来ずに海の藻屑と消えることだろう」
マコトは会議の参加者を見渡すと、
「これは港町の防備を固めて、住民用のシェルターを作った上で町や住民の財産を守る為に取った処置である。今まで秘密にしていたことを謝罪する」
マコトは、今度は参加者全員に頭を下げる。裏を返せば、海堡の存在は港町を守る守備隊を信じていないとも取れるだけにマコトは頭を下げた。
「司令、あ、頭をお上げ下さい!」
「我々は大丈夫であります」
「今回の防衛戦では、その海堡の守備隊とも連携が取れるのでしょうか?」
海軍幹部からの質問にマコトは、
「あぁ、各港を守る海軍海兵隊、海堡守備隊、軍団・海賊、空中艦隊、陸軍・航空部隊の各隊には共通の周波数表を配布して共通して敵艦隊に当たって貰う」
「豪勢ですな!!」
「これは敵艦を1隻でも逃がせば笑い者ですぞ」
「腕が鳴りますなぁ!」
ヒイラギ辺境伯領に侵入して来た敵艦隊に対応する幹部達は、指を鳴らしたり、腕を振り回したりと士気が高い。
マコトは、その幹部らの気遣いに感謝した。
そして、王都の救援に向かう空中戦艦比叡、空中空母赤城、空中駆逐艦島風の艦長、陸軍幹部達に視線をやると、
「王都救援艦隊には自分も同行する!役割だが、戦艦比叡には王都郊外にて戦車小隊と歩兵300を展開させた後、これ等と協力して王都を包囲している敵地上部隊を排除して貰う!次に空母赤城、こちらには王都から離れたイースタの街上空で待機して航空部隊を展開、王都上空の制空権を確保して貰う!最後に駆逐艦島風、これに自分が乗艦して旗艦とする。任務は王都上空に侵入して、王立高等学院に歩兵200を降下させ、同建物及び中に居る人々の安全を守ることに有る!!」
一部の事情を知る幹部達からは失笑が漏れる。
1人の幹部が言う。
「司令、王城と陛下は、御守りしなくて宜しいのですか?」
マコトは、真面目顔で答える。
「王城には、守備兵や近衛兵がわんさか居るから大丈夫だろう。降下中に間違って矢で射たれても敵わん」
誰かが言う。
「本当に敵わないのは、王立高等学院にいらっしゃるミナサリア嬢ではありませんか?」
マコトも失笑して、
「自分にそれを言わせるなよ。結婚前から尻に敷かれていると分かるだろう」
作戦指令室が爆笑に満たされた。
マコトは、右手を軽く上げることで騒ぎを治めると、
「空中戦艦長門と空中駆逐艦・綾波には今回は領都で臨戦待機だ。
敵がこれで全てとは限らないからな。各艦長にはある程度の裁量権を与えておく、最良と思える行動を取れ!!以上、解散!!」
各幹部達は、自分の役割に関係する幹部同士で作戦指令室から出て行く。
1人残ったマコトはぽっりと呟く。
「無事で居てくれミナ・・・」
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