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174話 領地改革 4

先週にPv(アクセス)70万件突破を報告させて頂きましたが、今回までに何と!!約73万件近くに達しました。これも一重に皆様の応援のおかげです。感想お待ちしています。その際は、作者が豆腐メンタルという点を考慮して頂けると幸いです。

 海賊船は飛行駆逐艦島風から少しでも距離を取ろうと、帆を張り走り出す。

 しかし、そんな海賊船の見張り台から再び大声が挙がる!


 「前方12時の方角、近海の主グラントシーサーペントだ!!」


 この世界、シーサーペントといえば、陸のワイバーンと並び称される程に船乗りにとって厄介な存在であった。そして、海賊に続く航路開拓の邪魔者であった。

 そんな中、永き年月を経て、経験を積み、知識を重ね、巨躯(きょく)を得る俗に言うユニークモンスターというモノが存在する。

 それが、海賊船の目の前に現れた近海の主グラントシーサーペントである。

 マコト達、軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)が以前討伐したアーマードスタンプボア、あれもスタンプボアがユニークモンスター化した魔物である。


 「何だってこんなタイミングで近海の主が!?」


 海賊船の船長は、パニックに(おちい)る。

 実は、このグラントシーサーペント、飛行駆逐艦島風の(コア)となったアーマードスタンプボアの魔力を感じ取り、外敵が縄張りに侵入したものと思い込み巣穴から姿を現したのであった。

 海賊船の乗組員達はその事に気付けない為に、グラントシーサーペントが自分達を狙って姿を現したと勘違いをした。

 飛行駆逐艦島風の方でも、グラントシーサーペントを確認したが精霊魔法使いたるエルフの乗組員が多く居た為にある程度は事情が想像できたことから比較的冷静に対応することが出来た。


 「こうなりゃ、自棄(やけ)だ!!バリスタ用意!前方のグラントシーサーペントに一撃入れて、この海域を離脱する。上手く行けば、辺境伯の戦闘艦とグラントシーサーペントが殺り合ってくれるかもしれねぇ!!」


 パニックに(おちい)った海賊船の船長は、そんな作戦とも言えない運任せの行動を手下達に命じた。

 海賊船の乗組員達や、航海長、副船長といった幹部達も良案が思い付かずに船長の命令に従った。

 一番良かったのは、全力で逃げ出すことだったのだが・・・・・。


 「バリスタ、太矢(クィレル)装填完了!!」


 「良し、撃て!!」


 本来ならば、バリスタといった原始的な兵器は、そうそう動いてる相手に当たる物ではない。

 しかし、今回はグラントシーサーペントが目指す相手、飛行駆逐艦島風との延長線上に海賊船が居た為に、ただまっすぐに飛ばせば太矢(クィレル)は当たった、イヤ、この場合は当たってしまった。


 カーン!!!


 バリスタの太矢(クィレル)の金属製の矢先は、金属に弾かれたような音をたててグラントシーサーペントを(かす)めて、海中に没した。


 ギロリ!!


 まさに、そんな擬音が付きそうな動作でグラントシーサーペントは初めて海賊船の存在に気付き、泳ぐのを止めた。


 「オイオイ、話しが違うぞ!こっちを見てる!!」


 「誰だよ!バリスタ撃てって言ったのは?」


 「そりゃあ、お前、船長だろ?」


 海賊船の乗組員達の視線が、船長に集まる。


 「な、何だよ!お前等、他に方法があったかよ!!」


 今まさに、グラントシーサーペントに捕捉されたというのに、海賊船上では仲間割れが発生していた。

 それを見つめる第3の目があった。

 そう、飛行駆逐艦島風である。


 「目標2、船上で仲間割れの模様です」


 「目標3、完全に目標2を敵と認識した模様、行動を再開しました」


 「艦長、いかが致します?今ならば、目標2・目標3を同時に攻撃出来ますが」


 飛行駆逐艦島風の艦長もまた、元ハリマ帝国親衛隊組であった。

 軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)突撃(マーチ)の大半を占めるのは、エルフ達だが、指揮官としての適正で見ると、圧倒的に元ハリマ帝国親衛隊組の方が高かった。

 エルフ達は、個々の能力は高くとも複数の人間をまとめるという才能が無く、また、その必要性も薄かった。

 その点、マコトと同じ転移者である親衛隊隊長であったジークフリートは、元々は孤児であった彼らに集団生活というものを学ばせ、近代的な集団戦術というものを叩き込んでいた為に指揮官の適正が高い者が多かった。

 そういう経緯で、指揮官級の者には元ハリマ帝国親衛隊組が多かった。


 「目標3を最優先目標として攻撃する主砲76mm砲で目標3を攻撃せよ」


 島風の艦長は淡々として命令を下した。


 ズドン!!!


 一撃で、グラントシーサーペントの長い首がほとんどちぎれんばかりに吹き飛んだ。

 これは、竜族の素材は全身貴重である為に頭部が胴体から切り離されると、後の捜索が困難になることを想定しての処置だった。


 ギョロロロロロ!!!


 グラントシーサーペントは海竜としての意地を見せんと、鳴き声にならない声を挙げて氷柱を空中に生み出し、飛行駆逐艦島風に向けて発射した。


 「回避!!」


 「間に合いません!!」


 ガン!!


 氷柱が飛行駆逐艦島風の船体に突き立つ。


 「損害報告!!」


 「少々お待ちを・・・・来ました!!12・7mm機銃座が1機破損、人的被害は無しです!」


 「竜種の生命力を甘く見ていたな・・・・」


 その呟きの視線の先にあったのは、力尽き海中に沈みつつあるグラントシーサーペントの姿だった。





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