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163話 開戦 2

Pv60万、ユニーク7万突破です。応援ありがとうございます。引き続き変わらぬ応援を宜しくお願いします。

 開戦から1週間でマコトはめぼしい港町2つ、軍港1つを占領して行った。

 手に余る港は、港湾施設や軍船を破壊して放置していた。

 マコトは飛行戦艦比叡に乗艦して指揮を取っていたが、占領したり、破壊した港が10を超えたことにより、陽動としての役割は充分に果たしたと考えていた。

 そこに、先行していた飛行駆逐艦島風から無線連絡が入る。


 『我、島風、30km先に船舶多数を認める。恐らくイスマル皇国海軍。約100隻なり』


 1週間、使者が帰国にかかった日数分も考えると、10日もあったのに防衛態勢を取るのにそれだけの時間がかかるとは、マコト達が優秀なのか、イスマル皇国が無能なのか?

 いずれにしても、やっと海戦らしい海戦が出来ると、飛行戦艦比叡と飛行駆逐艦島風の乗組員は張り切っていたが、マコトは冷ややかに視線を敵艦の来るであろう方角に向けていた。

 相手の持つ弓矢や魔法、大砲擬きを持ってしても、総金属製で空中に浮遊する飛行艦にダメージを与えることはできないだろうと考えていた。

 飛行駆逐艦島風から、続報が入る。


 『イスマル皇国海軍と認む。龍母艦5、戦艦15、巡洋艦30、小型艦50。

戦艦には大砲を積載、砲撃を行うも当方被害無し』


 どうやら、大砲擬きの量産に成功したようだ。

 出撃態勢の遅れもそのせいかもしれないな。

 しかし、相手は前後左右の二次元を想定した敵だ、三次元を想定したこちらが圧倒的に有利だ。


 「そういえば、龍母艦というものが5隻居るらしいが貴官は把握しているか?」


 元ハリマ帝国組の飛行戦艦比叡の艦長に聞いてみる。

 知らない物は、知っていそうな者に聞く。

 聞くは一瞬の恥、知らぬは一生の恥だったかな?


 「ハッ!龍母艦と申しますのは、飛行生物を積載した大型の輸送船で、敵艦に油壺を投げつけて火災を発生させたり、互いに空中戦を行い、制空権を確保する為の艦です!」


 なるほど、飛行生物が居るのか、これは、こちらも忙しくなりそうだが・・・。


 「対艦ミサイルで敵、龍母艦を攻撃する、その後に主砲の射程内に入った残敵を掃討する。艦長指示を」


 「了解しました。砲雷長、対艦ミサイル発射用意!目標、敵、龍母艦5隻目標配分は任せる」


 「了解。遼艦島風からの情報を受信。目標を確認!目標をA~Eと呼称します」


 飛行戦艦比叡の艦橋があわただしくなって行く。


 「対艦ミサイル1発射!続けて2、3、4、5発射!!」


 巨大な船体では、艦橋からは発射された対艦ミサイルは確認できなかった。

 じわりじわりと時間が過ぎて行く。


 「島風からのデータリンクを確認中・・・・、対艦ミサイル1~5、目標A~Eに全て命中しました!!」


 「「おおお~!!」」


 訓練では、何度も繰り返した行程だが、初の実戦でのミサイル誘導という偉業に艦橋の皆がざわめいた。

 しかし、厳しいようだが敵はまだ100隻近く残っている。

 マコトが、釘を指そうとすると、


 「浮かれるな!敵はまだ残っている!総舵手、戦闘海域まで急行せよ!!」


 飛行戦艦比叡の艦長が乗組員達に釘を指す。

 艦橋の乗組員達は本来の仕事を思い出したかのように各部署に戻った。

 艦長は、マコトに振り向くと、


 「これで宜しいでしょうか?」


と訪ねて来るが、マコトはただ黙って頷いた。







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