159話 領地開発 11
昨日は言い忘れましたが、新年明けましておめでとうございます。今年も良い年であるようにお祈りしております。
マコトが領地巡察を終えて、領都ノースガルドに帰還して飛行艦の創造に着手していたその頃、ゲシュタルト王国の王都ゲイボルグでは王国の主要な大貴族を集めての重要な会議が開催されていた。
議題は、北方の辺境伯たるマコト・フォン・ヒイラギ・ドリンドルからもたらされた、イスマル皇国によるゲシュタルト王国船籍の貿易船や、他国の貿易船に対する海賊行為である。
海賊のアジトから発見された書類や、捕縛されたイスマル皇国の軍人を自称する人種などの証拠を元にゲシュタルト王国内でも捜査が行われて、結果、イスマル皇国が黒であると判断したゲシュタルト王国首脳部は、正式にイスマル皇国に対する抗議の使者を送った。
しかし、イスマル皇国はゲシュタルト王国による捏造だとして、逆に面子を傷つけられたとして賠償を要求して来る始末であった。
ゲシュタルト王国首脳部は使者に無礼な対応をしたイスマル皇国を仮想敵国から、準敵国へと警戒レベルを上げて徐々に戦争の足音が近付いて来ていた。
舞台は戻ってマコトの領地ノースガルド。
マコトは鉱山都市ドリンドルに残して来た、アリシアからの報告書を読んでいた。
アリシアの補佐役としてハリマ帝国から移住して来た元ドイツ軍人の転移者ジークハルトと、その部下達を付けていた。
ティーガーI以外のハーフトラック等の車両類、小銃などの火器類はマコト達の軍団、葬送曲と共通化を図り、その習熟訓練の地としてコダの森が選ばれて日々、魔物や、獣の討伐を行っているそうで、順調に貯まるマコトのスキル、兵器創造のポイントもそれを物語っていた。
その報告書の中で気になる点があった。
鉱山でまた、シルバーゴーレムが出現したというのだ。しかも、位置は前回とほぼ変わらない鉱山の坑道の中で、以前崩落した坑道の再調査の為に開通作業をしていたところ、いきなり瓦礫を押し退けて3体のシルバーゴーレムが現れたという。
幸い、早期に避難が完了して駆け付けた元ハリマ帝国組の団員が12・7mm重機関銃で足を破壊した後にドワーフの工兵隊が爆破するという前回通りの手順で撃破したが、報告書の中でアリシアは坑道の奥にゴーレム系統のダンジョンが存在する可能性を示唆していた。
鉱物系のゴーレムが出現するダンジョンともなれば、宝の山だ。
普通の領主であれば討伐などに苦悩するのであろうが、幸いマコト達にはゴーレムを容易く撃破する術がある。
マコトは、アリシアに調査を慎重に行うように手紙を書きつつ、飛行艦の進捗率の報告書に目をやるのであった。
領都ノースガルドの郊外に設けられた巨大な作業用の天幕。
その中では、少しずつ飛行艦の戦艦級と駆逐艦級が出現していた。誰が作業するでもなく、独りでに空間を引き裂いて現れて来る。
限られた少数の警備の団員のみが、その存在の知っていた。
その全容が明らかになれば、世界は変わるだろう。
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