146話 新領地 9
Pv43万超え、ユニーク5万5000件突破!応援ありがとうございます。
野球も無事に日本がV奪還で良かったです。
アレグリア侯爵息女ミナサリア嬢に室内から廊下の壁際まで追い詰められたマコトは、必死で突破口を探していた。
ミナサリア嬢を静止してくれると思ったアレグリア侯爵からは見放されてしまった為に自分でどうにかするしかなかったがマコトには元の世界でも、転移して来てからも浮いた話しが無く、女性経験も皆無だった為にこういった時の機転がきかなかった。
いや、もう答えは出ているのだ、ただマコトが認めようとしなかっただけで。
「分かりました。婚約しましょう!」
「「え!?」」
ちょっと待て、何故アレグリア侯爵まで声を上げるんだ?貴方が持って来た話しだろうに。
「本当、本当によろしいのですか?」
ミナサリア嬢は、壁に突いていた手を引っ込めてもじもじし出した。
そういうところは年相応なのだなとマコトは思った。
「はい、勿論です。ただし、私は辺境伯となり新たに拝領した領地も未だに目にしていない状態です。どうか、今少しの間の時間を頂けませんでしょうか?」
ヘタレと言うなかれ!!こんな状況では、時間の先伸ばしでもして状況を整理しなければ、纏まるものも纏まらないのだ。
「分かりましたわ、領主としての立場の重要性は理解しているつもりです。ただ1つだけ、お願いをしてもよろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」
「御手紙をお書きしてもよろしいでしょうか?そして、御公務に支障の無い程度で構わないので御返事を頂けないでしょうか?」
「分かりました。必ずとは確約は出来ませんが、可能な限り返信を出しましょう」
「まぁ!嬉しい!きっとですよ」
そう言ってミナサリア嬢は、廊下を王城の奥へ数歩走り出すと、振り向き、
「きっとですよ!!」
と言って恥ずかしそうに走り去った。
マコトは、笑顔でそれを見送っていたが、ミナサリア嬢が廊下の角を曲がって見えなくなると視線を室内に戻した。
すると、そこには静かにその場から離れようとしているアレグリア侯爵が居た。
マコトはツカツカと扉の所に戻ると、荒々しく扉を閉めた。
「どういう事ですか?結婚ありきで話しが進んでいましたが、ちゃんとお嬢様とお話しされたのですか?しかも、視線で助けを求めたのに無視されましたよね?」
アレグリア侯爵は、視線を右往左往させていたが考えが纏まったらしく、椅子に座り直してテーブルに両肘を付いて、マコトに対して向き直ると、
「結果良ければ全て良し・・・・・・・!!」
と宣った。
マコトは無言でテーブルを横に蹴り飛ばした。
支えを失ったアレグリア侯爵は椅子から転げ落ちた。
そして、見下ろすマコトと見上げるアレグリア侯爵という図式が出来上がった。
「し、仕方なかったんだ!!あの娘は君の事となると眼の色の変えたようになって、冗談で別の婚約者候補を紹介しようものなら、喉元に刃物を突き付けるなんて事までやり出して望んだ通りにさせるしか無かったんだ!!」
「奥様には、ご相談されなかったのですか?」
「妻は、あの娘が幼い頃に病で・・・、それ以来あの娘が生き甲斐だったのだ」
マコトは無言で、アレグリア侯爵に手を差し出した。
「・・・・・・?」
「仮にも、義父となる方を、いつまでも床に座らせておく訳にはいきませんからね」
「あの娘の事を頼む、ヒイラギ辺境伯!!」
マコトの手を取り立ち上がると、アレグリア侯爵は頭を下げた。
「ミナサリア嬢にも約束しましたからね、言った事は守りますが婚約期間中にあの性格をもう少しどうにかするようにお願いします」
「う・・・・、分かった。もっと同世代の貴族の子女と交流を持たせて何とかならんか努力しよう。いざとなれば王立の貴族の子女が通う女学院にも行かせよう」
「始めから、そうなさっていれば宜しかったでしょうに」
「言ったであろう?あの娘は私の生き甲斐だったのだよ」
そのおかげで、世間に疎い、思い込みの激しい子女に育ってしまいましたけどねとマコトは思ったが、口には出さなかった。
誤字脱字報告、感想、評価、ブックマーク大歓迎です。応援宜しくお願いします!!




