145話 新領地 8
いつも応援ありがとうございます。最近は急に冷え込みましたね。読者の皆様におかれましては、健康に留意してお過ごし下さい。時系列が滅茶苦茶ですが、今作品を予約投稿している現在、WBCの韓国との準決勝が勝利に終わり、明日の決勝も勝利できることを願っております。頑張れ日本!!
謁見の間から歩いて5分程で、城付きメイドはある部屋の前で立ち止まる。
「こちらでアレグリア侯爵様がお待ちです。それでは失礼します」
と立ち去ってしまった。
仕方なく、マコトは扉をノックした。
「ドリンドル子爵です。アレグリア侯爵、参りました」
すると中から、
「鍵は開いている、入って来たまえ」
とアレグリア侯爵の声で返事があった。しかし、マコトは予感がして、そっと扉を開けた。
「マコト様!!」
部屋の中から飛び出して来た存在があった。護衛が居れば、マコトを突き飛ばしていただろう。
しかし、マコトは、その人物を優しく受け止めた。
「お久しぶりですミナサリア様」
飛び出して来たのは、アレグリア侯爵の息女、ミナサリア・フォン・アレグリア嬢であった。
「もう!父上からお話しは聞いているのでしょう?私の事はミナサリアか、ミナとお呼び下さい。私達はもう婚約者なのですから」
「その事です!!何故私のような者との婚約を望まれるのです?
貴女ならば、もっと良い縁談もありますでしょうに・・・・」
「運命ですわ!!」
「ハァ?・・・・・」
「旅の途中で、盗賊の一団に襲われ護衛の騎士も1人、また1人と倒れる中、颯爽と現れて盗賊団を薙ぎ倒した武勇、一目で運命の人だと悟りました。
一介の冒険者との報告を聞いた後は、この思いは胸の中に押し込もうとしましたが、その後の活躍の数々!!
あれよあれよという間に、貴族の地位を手に入れられて、瞬く間に私が、降嫁することが出来る地位まで登り詰められました。
一度は諦めた初恋が叶おうとしているのです!これを運命と言わずして何と言いましょうか!!」
ミナサリア嬢はハァハァと息を切らしながら、鬼気迫る勢いでマコトを廊下の壁まで追い詰めて、壁にドン!!と手を付いた。
いわゆる『壁ドン』であった。
これは、普通は立場が逆では無かろうか?
マコトが視線で、室内のアレグリア侯爵に訴え掛けると、あろうことか視線を反らしやがった!!!
マコトは、冷静に考えた。
この世界に転位する前は30歳を迎えていたが、転位後のステータスでは20歳と若返っていた。それからおよそ2年が経過していた。
22歳の辺境伯と16歳の王位継承第4位の侯爵令嬢と端から見ても似合いの2人である。
マコトも金髪碧眼の髪をストレートに伸ばしたミナサリア嬢は、平凡な日本人であった立場から見ても美少女であった。
しかし、平凡な日本人であったからこそ、あまり日本人であった頃から変わらぬ容姿に自信が持てなかった。
同じく容姿端麗なエルフ達との付き合いは、部下と上官という関係があったからこそ、平常心で付き合うことができた。
少なくないエルフからの好意も気付かない振りをすることができた。
しかし、目の前のミナサリア嬢はマコトへの愛情を隠そうともせずにぐいぐいと攻め立てて来た。
マコトも心のどこかで、アレグリア侯爵から縁談の話しがあった時から逃れられないのは気付いていたが、まさか当のミナサリア嬢がここまで自分の事を想っていたとは思わなかった。
というか、一歩間違えればストーカーレベルの想いの重さである。
初めて会った時は凛とした侯爵令嬢であったのに、今では『壁ドン』である。
今まで放置して来たツケが回って来たのだろうか?
頼みのアレグリア侯爵は我関せずを決め込んだ、だからここはマコトが解決するしかなかった。
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