144話 新領地 7
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首都ゲイボルグの王城に到着すると、マコトは直ぐ様に謁見の間に通された。
急な来訪のせいか、謁見の間には警備の近衛騎士の他には、十数人の貴族の姿しか見えない。
以前の子爵位の叙爵の際は、謁見の間を埋め尽くさんばかりに百人以上の貴族が居たので違和感が半端ない。
玉座には既にゲシュタルト王国のヘイマン国王が座っていた。
「ドリンドル子爵、前へ」
マコトを謁見の間に連れて来た近衛騎士が、促す。
そこで、マコトは玉座まで10歩程の距離にある小さな目印の所まで進み、片膝を付いた。
そこで、ヘイマン国王が口を開いた。
「ドリンドル子爵、否、ヒイラギ子爵よ今回のアマゾニア王国遠征誠に大儀であった。
今回も凄まじい戦果を挙げたそうだな?」
ヘイマン国王が言うと、謁見の間に居た貴族の1人が羊皮紙を開いて口上を述べる。
アレは、軍務大臣だっただろうか?
「ドリンドル子爵はアレフガルド王国のガザ平原において、侵攻して来たアマゾニア王国軍のガルーダ元帥率いる数十万のアマゾニア王国軍を、ゲシュタルト王国軍主力が連合軍の援軍要請に向かう際に殿軍を務め、これを立派に果たし、ハリマ帝国の援軍と共にこれを撃破せしめ、多大な戦果を挙げゲシュタルト王国と連合軍の勝利に貢献したものである」
と一気に読み上げた。内容はもっと長ったらしかったが、大体こんな内容である。
「そこで、恩賞を取らす!!」
ヘイマン国王が、玉座から立ち上がると侍従が巻かれた羊皮紙を国王に差し出す。
「ドリンドル子爵には、今回の戦並びにこれまでの働きに対し、我が国の統治下にある、旧アレフガルド王国を正式に我が国に併合し、その北の領土の1/4を褒美として与え、また、辺境伯を名乗ることを許可するものである!!」
列席した貴族のほとんどが事前に話しを通してあったらしく、平然としていたが、そうでない者もいた。アレは財務大臣だっただろうか?
一歩前に踏み出すと、
「陛下!!たかだか子爵風情に一国の1/4もの領土を与え、辺境伯とするなど前例がございません!どうか、ご再考を!!」
ヘイマン国王が一喝する。
「黙っておれ!!他に誰が数十万もの軍勢に対峙し、これを撃破せしめるか!
以前の子爵の授爵の際も、その方は反対しておったが、結果を見るが良い!
ドリンドル子爵の働きで戦後会議で我が国がアレフガルド王国の領土を丸々手に入れても文句を言う国はおらなんだ。
1人の子爵の働きで一国が丸々手に入ったのだぞ!?貴公にその様なことが出来るか?出来まいて!!余は働きに応じた褒美を与えているに過ぎん!!」
国王の怒りに触れて、財務大臣は戦々恐々として後ずさった。
マコトは、国王の怒り具合を見て事前の根回しをしていなかったのかと不安に思った。
以前の叙爵の際も、突然の成り上がりの子爵を快く思わない貴族からの物資の購入の際の妨害等あった為、穏便に授爵したいものである。
「尚、開拓の為の資金も用立てようと思ったが、度重なる動乱で国庫にも余裕が無いということで出来なかった、あい済まない」
国王は頭を下げた。財務大臣達のせめてもの横槍だろうが、これには流石に居合わせた諸侯も慌て出した。
「イエ、陛下。ご心配には及びません。幸い領地運営が良好で、初期の開拓も済んでいる領地のようで、何とか自領内で資金繰り出来そうです」
マコトは、そういうと立ち上がり胸を叩いて自信を表して見せた。
「そういうことならば一安心だが、どうしても資金繰りに困るようであったら報告せよ。
余の個人的な私財を投げ売ってでも支援する故」
「陛下、一貴族を特別視するのは、いかがなものかと・・・・」
またしても、財務大臣が口を出す。
「黙らんか!!こんな事でヒイラギ子爵が我が国を見捨てたら、どうする?
その際の兵力の補填は、財務大臣、貴公がしてくれるのか?」
「そ、その様な・・・・・」
「であれば、黙っておれ!!次に同じ事を言わせたら、その首を胴体と切り離してくれる!!」
ヘイマン国王は、ひとしきり怒って見せると、マコトの方に向き直り、
「ヒイラギ子爵を余が、全力を持って支援にあたる故に、心置きなく新領地の開拓に当たってくれ。
それとアレグリア侯爵が先日帰国して居る、そなたに要件が有るとのこと故に別室の控え室を使うが良い。以上だ」
「ゲシュタルト王国とヘイマン国王陛下に栄光あれ!!失礼します」
マコトが、謁見の間から退出すると、城付きのメイドが待機して居り、
「アレグリア侯爵様がお待ちです。ご案内致します」
と手短に要件を述べて歩き出す。
王城での用事はまだまだこれからだ・・・・・。
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