141話 新領地 4
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しばらくは内政系が続くと思います。
「そして、我が娘ミナサリアと婚約して欲しい」
アレグリア侯爵の言葉にマコトは思わず咳き込み、アレグリア侯爵を凝視した。
アレグリア侯爵は落ち着いた様子でグラスに2杯目の酒を注ぐと一気に飲み干した。
「勿論、今のドリンドルの領地は保証されて子爵位も残る。
2つの爵位を授かることになるな。しかし、アレフガルド王国の新領地と爵位の件は一応兄君、国王陛下の承認が必要となるが問題無いだろう。だが、婚約の件は決定事項だ」
そう言ってアレグリア侯爵は、空になったグラスを机の上に置く。
「アレグリア侯爵、お話が急過ぎます。
ドリンドルの領地も未だに火龍アラドームの被害からの復興の最中にこの遠征が始まり、統治もままならないのに新領地に婚約とは・・・・」
道理で酒でも飲まなければ話せない訳だとマコトは思った。
しかし、アレグリア侯爵は話しを続ける。
「ドリンドルの領地は、君が留守を任せたエルフのアリシア嬢と言ったかな?
その彼女が頑張っているようだと、弟のモーラスが報告して来ているよ。
しかも、鉄や銅の他に銀の鉱脈が見つかったと思ったら、今度は金の鉱脈が開拓地の近くで発見されたらしい。
この情報はまだ極秘で君にも連絡はいっていない筈だ。
知られれば金に五月蝿い法衣貴族達が騒ぎ立てるだろうからな。
いやはや全く、君には女神の加護でも付いてるのかね?」
アレグリア侯爵の話しは初耳の事ばかりだった。軍務に気を向け過ぎていた。
しかし、女神の加護は無いが死神の加護は有るが幸運というものは無かった筈だ。
「しかし、ミナサリア嬢との婚約というのは・・・・・」
こればかりは青天の霹靂である。
アレグリア侯爵はジト目になると、
「ヒイラギ子爵、イヤ、敢えてドリンドル子爵と呼ぼうか?
娘があれだけ君に好意を寄せていたのに気付かなかったとでも言う気かい?」
そう言われて、思い出すのは気楽に楽し気に話しかけて来る姿と、領地に何度も誘われて行く機会が無かったことを責める怒った姿だった。
しかし、それは命の危機から救った行為に対する感謝の現れだと思っており、まさか好意を寄せられていたとは夢にも思わなかった。
その考えが表情から読み取られたのか、アレグリア侯爵はため息をつくと、
「ミナサリアも、もう16だ。君に助け出されたのが14の時だったかな?
それから、私が領地に帰る度に君の事を聞かされ、君が訪問しに来た時どのように対応するか等聞かされ、君が来ないと愚痴を聞かされ2年だ!!
もう娘の目には君しか映っていない。責任は取ってもらうからな!!」
最後には鬼気迫る勢いで、アレグリア侯爵は机越しに身を乗り出して来た。
「会った当初は平民だった君が、あれやこれやしている内に娘に釣り合うだけの武勲を立てて貴族になった。
あの時は久々に胃が痛くなるのが収まったよ。
しかも、その後も武勲を立て続けて今に至る。娘の目の確かさを実感したよ」
そう言って、アレグリア侯爵はグラスに3杯目の酒を注ぎ、一気に飲み干した。
「任せたよ。ヒイラギ子爵!!何、君にも気になる女性の1人や2人居るだろうからな!娘さえ正室に迎えてくれれば、側室や愛人を何人持とうが構わない。
その甲斐性はありそうだからな!!」
そう言ってアレグリア侯爵はソファーにもたれ掛かるといびきをかき始めた。
マコトがどうしようかと思っていると、マコトをここまで連れて来た使者の男性が室内に入って来て、アレグリア侯爵に掛布を掛ける。
どうやら、男性はアレグリア侯爵の執事のような存在のようだ。
男性は、マコトの方に向き直ると、
「旦那様はここ数日睡眠時間を削ってまで、ゲシュタルト王国の為に活動をなさっておいででした。
どのようなお話しがあったかは存じませんが、前向きにご検討下さい」
男性が言い終えると同時に、似た格好の男性が現れてマコトを城の城門まで案内した。
立ち去る男性から城に目をやると、マコトは宿営地まで歩き出した。
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