140話 新領地 3
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祝勝会の明けた次の日の朝は、まさに死屍累々といった有り様であった。
アマゾニア王国軍に勝利した高揚感と、今まで口にしたことの無い旨いアルコール度数の高いビールをしこたま飲んだ連合諸国の将兵達は階級や身分に関係無く眠り込んでいた。
流石に国の代表達は侍従が寝室に連れて行っていたが・・・・・。
特に元ハリマ帝国親衛隊の一団とマコトの軍団葬送曲と、突撃はこれから同じ釜の飯を食う仲間としてエルフ、人族関係無く入り乱れていた。
流石に女性陣と男性陣とでは別れていたが。
むっくりとマコトが起き上がると、手を叩き
「ハイハイ、葬送曲、突撃の諸君、宿営地まで戻るよ。
二度寝はそこでね。城が片付けられないからね」
と団員達を起こす。
その他の国も、隊長格が部下を掌握して行動を起こしていた。
アレフガルド王国のかっての首都アースガルドには多くの空き家がいまなお存在していた為に、各国の将兵を寝泊まりさせることができた。
マコトもそんな街角のエリアを軍団の宿営地として確保していた。
団員達がもぞもぞと支度をしている間に各国の将官から、気に入ったビールの購入希望が殺到して、アースガルドに滞在中に、各宿営地に届けることになった。
特にハリマ帝国の将兵からは、多くの購入希望が殺到した。
これは地球からの転移者であるジークハルトが、ビール擬きを普及させていた為にビール好きが多いといった理由があった。
「儂らの宿営地もヒイラギ子爵の宿営地の近くに移すからの」
そう言って元ハリマ帝国親衛隊のジークハルトは、親衛隊の面々を連れて先に城を出て行った。
マコトも、団員達を休ませる為に城を出ようとしたところ、アレグリア侯爵の使者に呼び止められた。
内容は、1人でアレグリア侯爵に割り当てられた個室に来るように、とのことであった。
指揮官としての経験を積みつつあった突撃の団長エリックに部隊の指揮を任せて、マコトはアレグリア侯爵の個室に向かった。
古参のエリックの指揮ならば、他の古参のエルフ達も手伝いスムーズに行くだろうとの考えからだった。
使者に連れられてマコトは城の奥まった部屋へとやって来た。
「アレグリア侯爵、ドリンドル子爵をお連れしました」
「入れ」
使者が扉を開き、マコトに中に入るように促す。
マコトが室内に入ると使者は入らず、扉の前に立ち扉を閉めた、どうやら人払いをするようだ。
マコトが室内に目をやると、書類に埋もれた机にアレグリア侯爵が座って書類整理をしていた。
「もう少しで一段落するから、ソファーに掛けて待っていてくれ」
アレグリア侯爵は、そう言って仕事を続けた。
仕方なく言われた通りにソファーに腰掛けて待っていると10分も経っただろうか?書類を書く音が止まり、アレグリア侯爵が背伸びをした。
「待たせたね。ヒイラギ子爵、一杯どうかね?」
そう言って、アレグリア侯爵は酒と思われる瓶とグラスを2つ戸棚から取り出すと言った。
「頂きます」
これから話される内容は、酒が入ってないとやれないような内容なのだろう。
そう察したマコトは、酒の入ったグラスを受け取る。
「それでは、勝利と散っていった英霊達の冥福を祈って乾杯!」
2人で一気にグラスの中を空にする。かなりアルコール度数の高い酒で後味に僅かな苦味が残る。
アレグリア侯爵も対面する形でソファーに座ってグラスに2杯目を注いでくる。
それにマコトが口を付けたのを見ると、アレグリア侯爵は話しを切り出す。
「ヒイラギ子爵、君には元アレフガルド王国の領土の1/4を任す。
貴族位も辺境伯になる」
マコトは飲んでいた酒を吹きそうになる。
今回の戦でいくらかは領地が増えると思っていたが、まさか1国の1/4とは思わなかった。
アレグリア侯爵の話しは、それでは終わらなかった。
「そして、我が娘ミナサリアと婚約して欲しい」
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