139話 新領地 2
ビールの名前やら、ドイツ料理の名前はネットで集めて来た物なので、説明が間違っているもの等は遠慮無く指摘して下さいませ。
城下町で将兵等が、酒を酌み交わしている間に、かっての王城でも酒宴が開かれていた。
参加者は、ゲシュタルト王国、四か国連合の首脳陣に、アースガルドを統治するのには欠かせないエルフの有力者達だった。
アレグリア侯爵はマコトを1人の男性の元に連れて行った。
「親衛隊長、彼が・・・・・」
金髪碧眼の壮年の男性が振り向いた。
「おお、君がヒイラギ子爵か!顔合わせは初めてだな。
私がハリマ帝国、親衛隊長のジークハルトだ。ドイツ第3帝国の親衛隊の中尉をしていた」
「初めてまして、日本国のヒイラギと申します」
「積もる話しもあるだろうが、例のモノは?・・・・」
「あちらに、白ビール、黒ビール、ヴァイツェン、アルト、デュンケル、オクトーバーフェストで人気のメルツェン、日本でも人気のピルスナー、ドルトムント、ぬるいのから冷たいのまで分かる限りで集めました」
「私は北方の出身でね。ビールのことをエールという、南方の出身はラガーというがね。ツマミの方はどうかね?」
「良く分からないので、おおざっぱに集めましたがフランクフルトに、ボックブルスト、ヴァイスブルストの腸詰め類に、アイスバイン(塩漬け肉の煮込み)、ザワーブラウデン(マリネした肉のロースト)、クヌーデル(ジャガイモ団子)後は、この世界の肉料理を集めました」
「よろしい!!エールについてとことん教示しよう。おっと、このエールは常温の方が旨い・・・・ケーニッヒ!」
「ハイ!隊長!!」
「ケーニッヒのことは知っているな!?コイツは儂の甥のようなものだ。
親衛隊皆がそうだがね?ケーニッヒ!ヒイラギ子爵は知っているよな?
儂の故郷の酒を持って来てくれたのだ、さぁ飲むぞ!!」
「「お供します!!」」
物珍しさから、各国の要人もビールに群がって来た。
ジークハルトが久しぶりの故郷の酒に酔いしれながら、ビールの説明を各国の要人にして行く。
「おお、それが君の故郷の酒かね?ジークハルト君?」
ハリマ帝国のオリバー公爵が酒に酔って近寄って来た。
「オリバー公爵、あまり私については・・・・・」
「あぁ、そうだ極秘事項だったな?つい酒で口が滑ってしまった・・・。
しかし、少しぐらいは許して欲しいな、漸くアマゾニア王国との戦争に目処がついて国に帰れそうなんだ」
「その事何ですが、公爵、私は親衛隊長を辞任しようと考えています」
「な、何だと!?我等が帝国を離れて何処へ行こうというのだ!?」
「先帝陛下には、見ず知らずの自分を引き立てて頂き感謝していますが、儂も年です。身の回りを整理してゲシュタルト王国のヒイラギ子爵を頼ろうと思っております。話しはこれからですがね」
「親衛隊長、君が居なくなったら帝国最強の親衛隊はどうなる?アレは実質君の私兵だろうが!!」
「彼らも儂について来てくれるとの事です。孤児やら何やらから育てて来て、儂の我が儘にも付き合ってくれる。良い子等に育ちました。皇帝陛下には既に連絡済みで、私物なども既に輸送の手筈は整っています」
「分からない、何故今なのだ。これからも帝国は躍進を続けて行こうというのに?」
「ただの年寄りの我が儘ですよ。戦に明け暮れて、戦に飽きた年寄りのね。という訳で、ヒイラギ子爵、元ハリマ帝国親衛隊一同お世話になりますの?」
マコトは、慌てながら、
「願っても無いことですが、本当によろしいのですか?」
「良いのです。先帝陛下とは腹を割って話をすることが出来ましたが、今の皇帝陛下は親衛隊を当てにしつつ、何処か距離を置いていました。儂が死ねば即座に解散させられていたでしょう」
マコトは、アレグリア侯爵を伺うように見るが、アレグリア侯爵も首を振るだけであった。
「分かりました。元ハリマ帝国親衛隊の皆様の受け入れ、このヒイラギ・マコト・ドリンドル子爵承りました」
「おお、ありがたい。では、皆、今宵はヒイラギ子爵の好意の酒を空にするまでは帰れんぞ!?」
「「オオオオオオッ!!」」
マコトは、親衛隊の面々を見渡し、
「流石に足りなくなるな。ええぃ、大盤振る舞いだ!スキル異世界マーケット全力稼働だ!!」
マコトは、アイテムボックスから取り出すふりをして、スキル異世界マーケットで、次々とビールやツマミを買い足していった。
その世は日が変わるまで酒宴が続き、ハリマ帝国の猛将の引退が国を問わず祝われた。
しかし、それを冷ややかに見つめる瞳があった。
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