138話 新領地 1
Pv36万、ユニーク3万8000件突破!!応援ありがとうございます。
イスマル皇国を会議場から追い出してからは、話し合いはスムーズに進んだ。
まず、アレフガルド王国の領土とその利権のほとんどはゲシュタルト王国のものとなった。
アマゾニア王国の領土は、ほぼ4分割されて四か国連合によって分配された。
ハリマ帝国は、アレフガルド王国で産出される薬草を割安で、ゲシュタルト王国から買い上げるという利権を手に入れた。
大まかな戦後処理は、そのような形に収まり、後は四か国連合の国々が、それぞれに配分された領土で、アマゾニア王国の残党の獣人達を処理していくことになる。
残酷なようではあるが、アマゾニア王国軍がアレフガルド王国で行った蛮行を考えると、致し方無いことである。
他の国々も、沈黙でもって応えていたが、唯一、イージス聖教国のみが、ゲシュタルト王国と四か国連合による大量殺戮に抗議するとの声明を発表したが、何処からか行われたお布施がイージス聖教国に届いたとの噂と同時に、イージス聖教国による非難の声明は行われなくなった。
要するに、声明はお布施を得る為の言い訳に過ぎなかったのである。
イージス聖教国の国教であるイージス教は、各国にある程度の信者を獲得しており戦力としては、聖教騎士団くらいしか持たないイージス聖教国を各国が無下にできないのは、そうした理由があった。
4日間にもわたる交渉会議が、終わり、いよいよ祝勝会だ。
各国は、この日の為にそれぞれに母国から補給物資を輸送しており、準備に余念が無かった。
アマゾニア王国各地に散っていた四か国連合の部隊も、この日ばかりは元アレフガルド王国の首都アースガルドに参集した。
約20万の兵士が収まったアースガルドは嘗ての栄華を示していたが、同時にアマゾニア王国の蛮行の酷さも物語っていた。
人口が激減した今のアースガルドでなければ約20万もの将兵を受け入れることなどかなわなかっただろう。
ゲシュタルト王国と四か国連合の首脳陣は、雇用促進の為に生き残ったアースガルドの住民達のエルフに宴の手伝いを依頼したと同時に一緒に祝勝会に参加することを許可した。
これも、戦後統治の一環である。
仇敵であるアマゾニア王国を滅ぼしたゲシュタルト王国と四か国連合は、敵では無いが味方なのか?と考えるエルフ達も多く、戦後の統治に影響を与えると考えられた。
そこで、マコトは不満分子を集めて軍団、突撃を作ったし、今回の祝勝会の宴の参加を首脳陣は許可した、我々は敵では無いというメッセージを込めて。
結果でいうとこの施策は、成功であった。
ゲシュタルト王国と四か国連合、そしてエルフ達、皆が1ヶ所に集い、酒を酌み交わすことで、乱闘騒ぎなども複数箇所で起こったが、各国の首脳陣はそれらを敢えて放置した。
乱闘騒ぎは直ぐに治まり、殴りあって顔を腫らした人族とエルフが肩を組んで歌を歌い、エルフの娘達が回復魔法をかけて回っていた。
それは、かっての首都のあちらこちらで見られた光景で、少なくとも刃傷沙汰に至るケースは無かった。
新しい時代が幕を上げようとしていた。
誤字脱字報告、感想、評価、ブックマーク大歓迎です。応援宜しくお願いします。




