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134話 アマゾニア戦争 19

台風による大風の中、書いております。直撃でない地域でこれでは、直撃の地域はさぞ大変でしょう。頑張って下さい。

 ハリマ帝国軍との連携を密にしたいと考えていたマコトは、親衛隊のティガーIに近付くと車体の薄そうな場所を金属製のカラビナでノックした。

 一度目では駄目だったので、二度目を叩いてみると、ハッチから乗員が辺りを伺うように少し開けた後に漸く、ハッチから身を乗り出して来た。


 「何処の歩兵だ、階級章も所属章も付けて無いとは」


 おお、言葉が通じる!と思いつつ、マコトは言った。


 「ゲシュタルト王国のヒイラギ子爵だ、軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)を率いている。そちらの指揮官と連絡が取りたいのだが?」


 「葬送曲(レクイエム)?ブリーフィングで話のあったゲシュタルト王国の武装組織か?イヤ、失礼しました!自分は戦車第2小隊第1分隊長のケーニッヒ曹長であります!無線機はお持ちで?」


 「あぁ、通信手!こちらの曹長と情報のすり合わせをしろ!!

  それで?貴隊はどのような命令を受けている?」


 「ハッ!ゲシュタルト王国軍と連携して敵を蹴散らせと、詳しくは親衛隊長殿とお話下さい!」


 「了解した、すまなかった曹長」


 「イエ、光栄であります。ヒイラギ子爵殿」


 通信手と曹長が情報交換している間にマコトは考え込んだ。

 この件には間違い無く地球の出身者が関わっている。

 こちらの装備を値踏みしていたようであったが、理解できない物に驚いていたようだな。特に防刃防弾チョッキ等は目を丸くしていた。

 文明的にはこちらの方が進んでいるが、完全武装の降下猟兵に戦車付き等、今すぐにでも指揮下に置きたいくらいだ。

 相手の指揮官、親衛隊長とか言ったが話しの通じる相手だろうか?

 少なくとも、指揮権を奪われること無く対等な立場を維持しないとな。


 マコトが考え込んでいると通信手に肩を叩かれた。


 「司令、相手の指揮官が直接話しをしたいと申しておりますが?」


 「出よう」

 

 通信手は、ダイヤルを微調整すると、繋がりました、と送受信機を渡して来た。


 「こちらはゲシュタルト王国、ヒイラギ子爵だ、そちらは?」


 少々雑音が入って、無線が入る。


 「こちらはハリマ帝国軍、親衛隊長ジークフリートだ。堅苦しい話しは無しにして君は地球の出身だね?何処の国かね?」


 「日本国と言います。もしかしたら大日本帝国の方が分かりやすいかもしれませんが」


 「それで理解した、私はドイツ第3帝国出身だ、古くはドイツ共和国と言ったがね。チョビヒゲの我らが総統が全てを滅茶苦茶にしたと思ったら、この世界に来ていた。

  君はどうかね?」


 「今の話しで、大体理解しました。自分は我らが枢軸国が戦争に負けて約60年後の時代からやって来ました。女神様の加護付きで」


 「そうか、やはり我が祖国は破れたか・・・・。加護というのは、アレかね?

  我が軍の装備品を魔物とやら等を倒して、得たポイントを引き換えに得る力かね?」


 「概ねその通りですが、今は戦争の話しをしましょう。今我らは約10万のアマゾニア王国軍を貴隊が生み出した混乱に乗じて約4000人で半包囲しつつあります」


 「ハハハッ!!まるでロシア戦線のようだな。我らは機甲中隊を中心にして約1500人で敵陣の中央突破を謀っている」


 「では、我々は分断された敵を包囲して、殲滅しましょう。残った敵はお任せします」


 「話しの分かる相手で結構!会話をしていて楽しくなる。戦闘後、我がハリマ帝国自慢のビールとハムとチーズで乾杯しようではないか!!」


 「では、自分は貴君の祖国のドイツビールを持参しましょう」


 「何と!!それも女神の加護か?羨ましいの~、しかし、この年になって祖国のビールが飲めるとは僥倖!!一刻も早く敵を殲滅しなければならんな?」


 「ハリマ帝国もその方針で?」


 「この国でアマゾニア王国軍がやった蛮行は耳にしておる。奴らは獣じゃよ。人では無い」


 「では、(いくさ)の祝勝会にて」


 「ウム、貴官も死ぬでないぞ」


 無線機の送受信機を通信手に返すと、マコトはハリマ帝国が分断するであろう、アマゾニア王国軍の隙を見逃すまいと神経を集中させた。






 

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