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112話 復興

 高騰する食料品、麦や米といった農産物はともかく、肉類、野菜類はマコトは迅速な行動を取った。

 冒険者ギルドへの依頼である。

 肉食可能な魔物や、動物、森で採れる野草等の買い取り額を普段の倍にしたのだ。


 そして、冒険者ギルドに集められた食料品を普段の価格で、市場(しじょう)に流したのだ。

 その差額は、マコトのヒイラギ子爵家で持った。

 商業ギルドに依頼して飲食店で、高額な値段で料理を提供したり、商店で暴利を(むさぼ)るところが無いか、相互監視させた。


 そうすることで、他の領地からの食料品等の買い取り量をできるだけ少なくした。

 これは、マコトが資金を出し(しぶ)った訳では無く、地域一帯が深刻な食糧不足に(あえ)いでいた為に、自分達で(まかな)える分は自分達でどうにかしようといった考えからだった。


 元々あった4つの村は、元からあった物を復興するので、比較的順調に進んで行った。

 問題は森を切り開いて、新規に村を作る場所だ。

 木々の伐採自体は、軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)の工兵隊がチェーンソーを用いて行い、残った切り株も重機を使用して排除した。


 問題は、そこからだった。

 元々は森であったことから、森に住んで居た魔物や、動物達が切り開かれたことを理解せずに、頻繁に現れるのだ。

 フォレストラビットや猪系のボアならば、村人と柵で対応出来るが、悪知恵の働くゴブリンや、力自慢のオーク等が現れたならば、葬送曲(レクイエム)の出番となる。


 しかし、全ての村には、いずれ半分独立性を持たせた形にして、軍団(レギオン)を引き揚げるつもりだっただけに、この問題は深刻だった。

 しかし、救いの手は意外な場所から現れる。


 冒険者ギルドが、開拓村に臨時の出張所を設けさせて欲しいと言って来たのだ。

 (おり)しも、現在は食糧不足による食用肉の買い取り額の増額で、ギルドは好景気に()いていた。

 そこに、肉が向こうからやって来る村が有るという。

 冒険者ギルドが目を付けない筈がなかった。


 マコトは、冒険者ギルドとの簡単な打ち合わせの結果、出張所の開設を許可した。

 それは、買い取り額の増額の対象になっていないゴブリン等が現れても、区別すること無く討伐すること等であった。


 こうして、マコトは授爵から間を置かずして治める村を1つ増やして、1つの街と5つの村を治めることとなった。

 軍団(レギオン)葬送曲(レクイエム)も深いコダの森を中心として活動をしていたが、爵位を得たおかげか、周辺の小領主、騎士爵や、男爵、子爵といった貴族達がマコトを通じて、軍団(レギオン)に依頼をしてくるようになった。


 おかげで、沢山の貴族達に貸しを作り、ヒイラギ派閥とも言うべきものが出来つつあった。

 また、鉱山都市ドリンドルに流入して、そのまま鉱山で働くことになった避難民も多かったが、おかげで、鉱山の生産性も上がり、今までの産出の上位を占めていた鉄、銅のほかに、銀の鉱脈が発見されて鉱山の価値は一気に高まった。





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