110話 鉱山都市ドリンドルへの旅地 2
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王都ゲイボルグを出発して1週間が経った。
移民団の移動は順調で、ここまでの脱落者は0である。
これは、この時代の大規模移民団としては、奇跡に近かった。
例え、国主導の移民団であっても、盗賊や魔物の襲撃、食料品の不足、体調不良者の置き去り等によって、少しずつ脱落者が出るものである。
それをマコトは十分な準備と強力な軍団による護衛により0に押さえていた。
移民の人選を事前に行っていたという点も大きいかもしれない。
おかげで移民の間で問題が起こることも無く、順調に旅路を急いでいる。
色んな要因が交わって、この奇跡のような移民団は成立していた。
しかし、問題が無かった訳では無い。
この1週間の間に荷馬車は5台が破損して、1台は放棄せざるを得なかった。
食料品の箱に入っている筈の塩が砂に入れ替えられていたり、他の貴族からの嫌がらせとおぼしきものから、頻発する魔物との交戦等、数え出したらきりがない。
だがマコト達は、それらを乗り越えて確実に鉱山都市ドリンドルへと向かっていた。
王都を出発して10日目、広い草原で移民団は問題に直面していた。
この先の街道上にオーガが4頭、陣取って居るのを先行していた多目的ヘリ、バイパーが発見したのだ。
どうやら、街道で待ち受けて居れば人間の方からやって来ると学習した群れらしく、周囲には荷馬車の残骸が散乱しており、動く気配は無いとの報告であった。
多目的ヘリ、バイパーの固定兵装である20mmガトリング砲ならばオーガであっても、一掃できるが街道を荒らしてしまうと、荷馬車の通行が困難になってしまう。
マコトは、敢えて危険度の高い地上戦でオーガを討伐することにした。
切り札である歩兵戦闘車を前面に押し出しての強硬突破だ。
2両の歩兵戦闘車がオーガに近付いて行くと、4頭のオーガは新しい荷馬車の人間が来たと勘違いして動き出した。
歩兵戦闘車とオーガの距離が800m程まで詰まると、歩兵戦闘車1号車の車長が攻撃命令を下す。
「指命!!目標、前方のオーガ群!!撃ち方始め!!」
ドンドンドン、ドンドンドン、ドンドンドン
歩兵戦闘車の主砲である35mm機関砲が、吼える!!
グォォォォォォォォ!?
見たことの無い、攻撃に、35mm機関砲の砲声にオーガが、戸惑いの断末魔を上げながら倒れて行く。
「撃ち方止め、撃ち方止め!!」
車長が攻撃停止の命令を出す。
土煙の中から、1頭の一際大きなオーガが姿を現す、仲間の死骸を盾にして生き延びたらしい。
ウォォォォォォ!!
オーガが、歩兵戦闘車に向かって走り寄って来た。
歩兵戦闘車から歩兵が降り立ち、110mm個人携帯対戦車誘導弾のプローブを伸ばして発射態勢を整えると
「後方の安全確認!!」
背後に他の団員の居ないことを確認すると、通称パンツァーファーストⅢを発射した。
するとカウンターマスが放出され、弾頭がオーガに向かって飛翔して行く。
オーガは飛翔して来る弾頭を真っ向から迎え撃とうとしたが反応できる筈も無く、オーガの胴体に命中した。
ズガーン!!!
オーガは、真っ二つになり倒れ伏した。
オオオオオオオッ!!!
戦闘を遠目に見ていた、移民団が歓声を上げる。
オーガの死骸をアイテムボックスに入れると、マコトは移動を再開させた。
移民団は、自分達を守る軍団の強さと自分達の新領主の強さを再確認した。
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