104話 論功行賞 5
イースタの街で一晩を過ごしたマコト達は子爵達に見送られて、王都ゲイボルグへと出発した。
約900人の捕縛した盗賊団とイースタの街の衛兵100人を連れて。
出発早々に、問題が発生した。
捕縛した盗賊達の家族達が現れて、助命嘆願を始めたのだ。
元々、盗賊とはいえ本来は火龍アラドームにより、家を無くした者達だ。
当然家族は居るだろうし、盗賊に身を堕とした理由も理解はできる。
しかし、未遂ならばまだしも彼らはイースタの街を襲い、死傷者も出した。
これは、ゲシュタルト王国の法において盗賊と見なされる立派な犯罪であり、弁明の余地は無かった。
マコトは彼らを処刑する気は無かったし、王都で衛兵に引き渡した後の裁判で犯罪奴隷では無く、罰金刑が処されて借金奴隷となる可能性もあった。
マコトはそのことを拡声器で何度も言って聞かせたが、盗賊の家族等は言うことを聞かず、ただ家族を返せの一点張りだったので説得は無理と諦めて強硬突破することにした。
隊列の前後に軽機関銃を搭載した車両を持って来て、ゴム弾で威嚇射撃を行った。
一度の威嚇射撃で、盗賊団の家族等はバラバラになり逃げ出した。
その間にマコトは捕縛した徒歩の盗賊達を急がして、衛兵達も走らせた。
盗賊の家族達はそれを恨めしそうに見るばかりで、それ以上は何もして来なかった。
盗賊達を急がしたおかげか、普段ならば1日はかかる道のりを半日程で踏破し、マコト達は陽のあるうちに王都ゲイボルグに到着した。
マコトは車両で先触れを出しており、マコト達が到着すると同時に普段は開かれない軍用の大門が開けられて、マコト達を受け入れた。
900人近い盗賊達は王都の衛兵に引き渡され、マコト達は報酬として白金貨10枚1000万円を受け取った。
イースタの街の衛兵は王都の軍用の宿舎に泊まるらしい、ここで別れとなるのでねぎらいの酒代として大金貨1枚10万円を隊長に渡しておいた。
1人につき、数杯は麦酒が飲めるだろう。
マコト達、葬送曲の面々は別れて宿を取ろうとしたが、王都の衛兵隊長から宿が用意されている旨を告げられて、衛兵の道案内のもと、宿に向かった。
そこはそこそこにグレードが高く、多人数でも泊まれるということで、人気の有る宿だった。
式典までは後2週間程有るが、その間の宿代は王国持ちということだった。
式典までの2週間、マコト達は交代で王都の観光をしたり、王都の冒険者ギルドで依頼を受けたりして過ごした。
そして2週間後、儀礼用の制服に身を纏ったマコトは、献上品の運搬と護衛を兼ねた10人のエルフの団員と共に王城からの迎えの馬車に乗り込んだ。
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